『不倫論』鈴木涼美(平凡社)
「個人を追い詰める結婚制度とは一体何なのか」ということにつきるようです、どうやら。男も女も、一生一人の人と添い遂げるのは難しい。一夫一婦制に無理がある。生涯不倫経験率は男が四人に三人、女は十人に三人。男のほうが多いわけで、そして、女が不倫した場合、結婚生活の破綻につながることが多いらしい。けれど、結婚生活維持のために、よそで恋愛をするということもあるようですよ。
そうまでして守らなければいけない結婚て、何なのか。
「恋愛における行き場のない不安や言い表せないほどの愛しさに、とりあえず行き場と表現を与えるものとして結婚がある」
というのは、確かに、と思う。結婚したら、選ばれない不安や、どっちのほうが好きとか、愛されてないんではないかとか、なんかそういう恋のゲームから解放される。安心。だけど、それは同時に相手に対するトキメキが消えることであり、他所にトキメキを求めてしまうことになる・・・のか。
「男は女以前に自分のことが好きすぎる」
と、書かれていたのにも、納得。どう考えても、男と女は脳の中身が違うよな、と思うことしかり。もちろん、人は千差万別だし、男、女、でくくってしまうのはよくないというのもわかるけれど、なんにも先入観を与えずにいても、男の子どもは電車が好きで、女の子どもはお姫様が、やっぱり好きでしょう(いや、わたしはそういうの興味なかった。電車が好きだったという自分の男性性をアピールする女の人は、逆に意識しすぎて痛々しいと思ってしまう。いや、中には本物もいるんでしょうが、本物はアピールしない気が)。
不倫をいけないこととするなら、結婚なんかしなければいい。傷つくのがいやなら、恋愛しなければいい。とはいえ、恋愛中って、他の何がダメでもこれがあれば生きていけるってぐらい、幸せを感じるものだものねぇ。