『偽りの家 家族ミステリアンソロジー』宮部みゆき他(角川文庫)
『鬼畜』松本清張が鬼畜過ぎた。外で3人もの子供をつくってしまった印刷工。妻バレし、女は子供を置いて逃げ、男は子供を処分するよう、妻から言い渡される。一人は事故のような形で亡くなり(おそらく妻の仕業)、一人は見知らぬ土地に置き去りにし、もう一人は毒殺に失敗して崖から突き落とす。1957年初出。児童虐待がミステリの題材として注目されるようになったのは1990年である、と解説にある。この話は、検事から聞いた実際の事件をもとに書かれたものだとも。人間って、おそろしい。
『裂けた繭』矢樹純も、こわこわー、となった。引きこもりの男が、脳内フレンドと会話しながら、殺した侵入者の死体処理をしているのだが、視点にちょっと変なとこがあるなーと思って読んでいたら、まさかのどんでん返し。こういうの、どうやって思いつくんだろう。
斬新なアイデアが一発あれば、新人賞は獲れるんじゃないかと、ここ数年思っている。それまでは自分の書きたいものを書く、熱量だ、と、思っていたのだけど。そしてそのアイデアが、まあ、浮かばないものです。