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『恍惚の人』有吉佐和子(新潮文庫)
「早く死にたい、早く死にたいって、ポロポロ泣きながら言ってるわ」
人間は誰しも最後の最後に死を迎えなければならないって、なんて残酷なことでしょう。
姑が死に、残った舅に振り回され、日常生活が送れなくなっていく一家。昭和47年刊ということもあって、一番の被害を被るのは嫁であるが、でも今もそんなに変わらない家庭はあるに違いない。徘徊したり、やたらとご飯を食べたり、息子の顔がわからなくなったり、おねしょをするようになったり・・・と、老いた人間の介護にうんざりし、死を願いもするのだけれど、なにより心を悩ますのは、「いずれ自分もこうなるのか」という恐怖。
人生って、つくづく罰ゲームですね。
自分もそろそろ親を送る年になってきたこともあり、斎場の前で喪服姿の集団を見ると、いろいろ考えてしまいます。