体験したことを「言語化」して腑に落ちる、わかるという状態になって初めて学びとなる
さて前回は、組織には感情のようなものがあって、それが組織内部にいる人間の行動や考え方に影響を与えているのではということをお伝えしました。
私自身、これまでの経験を通じてそのことを実感してきました。
遡れば大学進学で初めて県外に出た時から、初めて就職する時、異動、転職と節目をくぐるたびに、
「以前の自分は気づいていなかったな。」
と思うことがありました。これからも現在の私を、5年後、10年後の私は同じように振り返るのだろうと思います。
人はある組織に所属し、そこでの考え方に過剰に適応していくと、
「そういうものだ」とこれまでのやり方を唯一のものと考えるようになってしまいがちです。
今までと違う環境に移ることで、これまでの視界がぱっと開けて、自分を外からの視点で振り返りやすくなります。
このような経験は皆さまにもあるのではないでしょうか?
ここに、前回テーマにした、思考の枠を脱却するためのヒントがあると思います。
つまり、自分が経験していることを、一歩離れて外から見てどういうことなんだろう?と客観的に見つめる機会を持ち、その経験を言葉にした時、初めて人はこれまでの経験を意味づけ、扱えるようになるということです。
よく、体験すると学べるという誤解がありますが、あれは違うそうです。
体験したことを「言語化」して腑に落ちる、わかるという状態になって初めて学びとなるということのようです。
人材育成を考える際に、入社時期が同じ新人が二人いるとして、一人はすくすく成長して会社の将来を担う人材に育つが、もう一人はなかなか成長しない。
同じ研修を経験させても、ただその経験が流れていくだけに思える人と、それを学びに変え、自己の思考、行動を変革、成長できる人に分かれる。
この違いも、このあたりに原因があるのだと言われています。
そう考えると人材育成を効果的にするには、いかに気づきの機会を設計するのかがポイントとなってきます。
日々仕事を通して経験していることを、ただ経験させたままにしておかない。そのことが重要ではないでしょうか。
経験を学びに変え、成長していくためには、過去の自己否定が必要です。
これまでの自分のやり方、考え方は違っていたかもしれない・・・と自分を見つめることはとてもつらいことです。
できれば他人や周りの環境のせいにして、過ごしたいものです。
毎日の営業でも、たとえば今日訪問したお客さんの反応は何を意味していたのか?
自分の伝えた言葉が相手にどう感じられたのか?そんなことを毎日第三者の目線で客観視したりする人がどれほどいるでしょうか。
そのような作業が日々の仕事の中に埋め込まれているといいと思います。
それではまた来月もよろしくお願いいたします!
VOL14 2011/7/27 sakaguchi yuto