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課題を経営層だけが握ると現場に主体性がなくなる

最近、モチベーションクラウド、Wevox、Geppoなどのエンゲージメントを測定するサービス
カオナビやタレントパレットなどの人事データベース策定支援など、
いわゆるHRテックの分野でたくさん新サービスが出てきています。

テレビCMの他、タクシーなどで広告を見かけることもあり、
急速に浸透してきているのではないでしょうか。
企業を訪問しても、導入したという声を聞くことが増えてきました。

皆様の会社ではいかがでしょうか。

こうしたサービスを活用する背景には、これまでの研修や人事制度改定など
では応えられなかった以下のような課題を解決したいということがあるように思います。

■研修はするものの、しばらくすると元に戻ってしまう
・人事制度を整えても活用されなかったり、肝心の社員の意識や行動が変わらない
評価制度が給与を決めるための評価になってしまっており、社員のパフォーマンスの改善につながらない
社員満足度調査を実施したものの、活用法がわからず結果を現場に見せただけで終わってしまっている

これらに共通するのは、
いろいろ分析して発見したことはあった、学んだことはあった。
でも結局、どう行動やパフォーマンスが変わったの?というところが曖昧だったり、うまく結果につながっていないことにあるのではないでしょうか。

時代の流れは何を学んだかではなく、どう変化を創り出せるかに関心が移っていると思います。

冒頭挙げたようなHRテックサービスは、手間なく入力ができ、分析結果がすぐに出るのでリアルタイムで週次、月次のデータを見える化し、変化を捉え、すぐに何らかのアクションを起こせるような環境を提供するとアピールしています。

たとえば〇〇さんのエンゲージメントのAという項目が下がっている。
そこで、何らかの介入を今した方がいいという判断が打てる、
そして、その結果がすぐにまたチェックできる、
ということでPDCAが回せるということがあります。

一見すると、効果が期待できそうです。

しかし、導入した会社から私がヒアリングした限りでは、
意外とつまづいているとの声も多く聞くようになりました。

・ツールを導入したことで見えた課題をマネジャーに伝えても、その課題をどう解決したらいいか、マネジャーがうまく扱えず立ち往生してしまう
・成果指標がイマイチ定まらず、社員の入力が形骸化し始めてしまった
・施策を経営や人事が考えても現場が忙しいなどの理由で実行されず終わってしまう

課題が出てくるまではよいが、それををどう扱うか、
というところが難しく、成果の分かれ目となっているようです。

私は、ここで重要なのは、出てきた課題を現場と対話するプロセスを入れる
ことではなかろうかと思っています。

ついやってしまいがちなのは、分析結果を一握りの経営層だけが持ち、
それを基に改善策を考えて現場にやってくださいと伝える形
です。
そうすると現場は「課題を出す側」経営は「考えて案を出す側」という
構図が出来上がってしまいます。

これでは、現場が主体的に動くということを阻害してしまいます。

現場はなぜそれをやらないといけないかがわからず「やるべきこと」が
ふってくるので、やらされ感を感じてしまいます

また、現場の声は、限られた自分のとれる情報の範囲から導き出されたものであることから必ずしも正しい認識であるとは限らないものです。

そこで、経営や人事側からは出てきた現場の声から必要な情報を現場に
伝え、それをもとに対話する
ことで、お互いに見えなかった背景を理解し合い、新たな実効性のあるアイデアが生まれてきたりします。

「そうだったんだ」と今ある制度や施策に納得したり、
考え方が変わるということもよくおきます。(これはお互いに、です)

うまく進めている会社は現場とコミュニケーションをとるために
データを活用していると感じます。

2019/10/27 vol.110
sakaguchi yuto

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