『ゴジラ-1.0』感想書きなぐり(ネタバレあり)
(注意)観たその日に適当に書いているので大変雑です。でもいい作品を観た後って溢れる感情とかそういうものを吐露しておきたくなりますよね。なので許してください。
よかったところ
よかったところその1 ゴジラがこわい
大前提としてゴジラって意味不明な超巨大生物で、由来も生態も知能レベルもさっぱり分からないけど、なぜか日本(しかも東京が多い)を襲う化け物なんですよね。でも、いつの間にか「怪獣プロレス」とか「人類の味方」、「地球の味方」みたいな立ち位置で登場する作品も多くありました。
勿論そういう作品がダメということではなく、むしろそういう作品は大好きですし、そういう作風もむしろゴジラらしさがよく出ていると個人的には思います。
そうした流れを断ち切って「俺の考えるゴジラ」を世の中に打ち出したのが「シン・ゴジラ」…ではなく「ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃」だと思ってます。当時小学生だった私はマジで怖かったことを思い出します。見た目も勿論そうなんですが、千年竜王として覚醒したキングギドラを粉砕したのを見たときはちょっとびっくりしました。戦争で戦死した人たちの怨念が生み出した破壊の化身としてのゴジラというのはなかなか良いですよね…(語彙力なし)
ともかく、先述した金子版ゴジラ、ハリウッドのギャレス・エドワーズ版ゴジラ、庵野版ゴジラのいずれもそれぞれが「俺の考えるゴジラ」の最適解を自らの表現手法で導き出すことに成功したわけですが、山崎貴も「俺の考えるゴジラ」、「俺の作るゴジラ」の最適解を提示してきました。
主人公の所属していた基地を灰燼に帰し、トラウマを植え付けた挙げ句、終戦してようやく復興し始めましたという状況の日本に臨時ニュースのチャイムとともに銀座に現れ、人々や建物を蹂躙しながら放射熱線で永田町を滅ぼす。主人公が見る先には巨大なキノコ雲と咆哮を上げるゴジラ。ゴジラによって戦場での名誉を失い、日本という国を再び失い、そして最愛の女性を失った。まさに絶望という存在が血肉を得て現れた姿は正直なところ、観ているときに背筋が凍りました。
よかったところ その2 CGグラフィックがすごい
零戦と震電といった戦闘機、高雄、雪風、夕風、響(あと1隻あると思うけど忘れた)などの艦船の臨場感がよかったですねー。特に高雄はこんなにデカい船なんだなーって思わせといて無慈悲にぶっ壊す演出にはすごく好感を覚えました。そういう兵器のグラフィックも良かったんですが、そういうのを破壊するグラフィックや銀座の建造物を破壊するところがすごく良かったです。派手に破壊していくところも今作のゴジラがもつ破壊神的な属性を強固なものにしているように感じます。さすが白組。
よかったところ その3 人間ドラマは無駄じゃない
「シン・ゴジラ」では、無駄な人間ドラマが入らないところに評価ポイントがあるというのはあったと思います。まあ確かに恋愛とか無駄なコメディシーンとかキスシーンみたいなメロドラマというかそういう展開は邦画において食傷気味な演出ではあるのかなというところです。
しかし、今回は一応神木隆之介さんと浜辺美波さんのそういう場面がまったくなかったわけではないですし、特撮特有のお約束みたいな展開も多くあったようには思います。特撮特有でないお約束展開もありましたけども。
でも、こういう所って観ている間はあんまり気にならなかったというか、気にする暇がなかったと思います。料理の一口目の印象とか見た目の第一印象である程度大事だと思うんですよね。それと同じで、観ている時にさほど違和感を感じなければそれは余計なものではないと思います。あとで感想を反芻するときは色々なバイアスがかかってしまうものでしょう?あとから考えて出てきたものは必ずしも純然たるものではないのかもしれません。
わるかったところ
わるかったところ その1 なんか規模小さくない?
これは文句というか仕方のないことでしょうけど、ゴジラがどこから上陸してどのようなルートを歩いてきたのかさっぱりわからないのです。勿論外海から相模湾・東京湾へ侵入してきたことはわかります。でも、初代ゴジラでも一応対着防衛作戦が行われていたのですから、上陸前に機雷敷設のみの対応ってのはちょっとスモールパッケージすぎる気がします。それでも銀座を蹂躙するシーンだけでも絶望感がすごいんですけどね。贅沢を言うなら帝都に迫りくる怖さも欲しかったかな?
わるかったところ その2 日本政府もGHQも不介入ってありえます?
これはすんごく野暮なツッコミであることは承知の上ではあります。初期対応が全然なくて(見通しが甘くて対処が行われないとか)被害が甚大なものになりましたという筋書きならわかりますが、二回目の上陸に全く備えもクソもないというのはちょっと無理な感じがします。(日本政府の機能が麻痺しているのは分かるとしても、GHQの本部は有楽町の第一生命ビルなので他人事どころか目の前にある超脅威だと思いますが…)
筋書きとして「戦後という特殊な状況にある市民から見たゴジラ」というものを描きたいことは明白なので、公官庁というより人々の手でゴジラや戦争という自らの中に残る負債にケリを付けたいということだとは思うので、あえて言うとすればというところです。
おわりに
ここまで一気に適当に書きなぐりましたが、全体としては非常に素晴らしい出来栄えのゴジラ映画であったと思います。正直、「シン・ゴジラ」はあんまり人には簡単に薦められない映画だなと思っていますが(勿論出来は素晴らしいですが、ちょっと癖があります)、この作品は展開的にも見やすく、俳優も豪華で、且つ「ゴジラは怖いんだ」ということがよく伝わるという点で素晴らしいエンターテインメント作品に仕上がっており、これは他の人にも薦められるなと感じます。
気が早いことに続編云々の噂もあるようですが、個人的には続編は作らず、また新しい監督の「俺の考えるゴジラ」を提示するような作品が作られると良いなと思う次第です。
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