今までの腰痛治療の間違い。
現在腰痛の治療法は数え切れないほど存在しています。
安静にしていた方がいい。
ストレッチをした方がいい。
引っ張ったほうがいい。
あの薬が効く。
注射が効く・・・
などなど色々なことを言う人がいます。
もちろん個別にみれば、ある治療で治った人はいるでしょう。
しかし、 統計的に見ると治癒率がプラシーボを上回るような治療法は未だに確認されていません。
プラシーボとは砂糖や小麦粉、生理食塩水といった薬効のない偽薬のことを指します。
それによって、症状が改善する現象をプラシーボ効果といいます。
つまり現在の腰痛治療は、ほとんどの場合、患者さんが治療に効果があったと思い込んだだけであり、 実際には自然に治癒しただけなのです。
〇〇で治ったと言うのは、個人の感想の域を出ません。
今回は、代表的な腰痛治療法の効果を一つずつ見ていきましょう。
「注意」
ガンや内蔵疾患などの重大な疾患に付随して腰痛が発生する場合があります。
また、事故による骨折などの明確な外傷が原因で起こる腰痛の場合もあります。
ですので病院の受診を否定するものではありません。
むしろ、それらの重大な疾患や外傷がなく、純粋に一般的な腰痛の所見や症状しか無いことを確かめるためにもまずは病院の受診をおすすめします。
安静臥床(動かずに寝ていること)
腰痛治療で最も一般的なのが安静臥床です。
ただひたすら安静にして横になっていることで、 椎間板内圧や神経根圧迫を減少させ、症状を和らげると信じられています。
「4日以上の安静臥床」と「その他の保存療法(自由に動いて良い)」で治療の結果を比べた研究の結果、治療効果に差は無いどころか、「安静臥床」のグループの方が日常生活に戻るのに時間がかかることが分かりました。
つまり、安静にしていることは腰痛改善のために効果が無いのです。
そればかりか、4日も寝ていたら筋力低下や心肺機能低下を起こし、さらに血栓症などを起こすリスクもあります。
日常生活に戻るにも時間がかかるので、どうしても痛みが強くて寝ているしかないという状況でなければ、可能な限り日常通りの活動を続けるべきでしょう。
またこんなデータもあります。
急性腰痛の40%は1週間以内に改善し、2週間経っても改善しないのは14%
つまり4割の人の腰痛は寝てようが、起きてようが1週間で治るのです。
以上から、安静臥床は腰痛治療に無意味な上、リスクがあります。
慢性的な腰痛の方には特におすすめできないと言えます。
薬物療法
腰痛では「痛み止めの薬」がよく処方されます。
飲み薬や座薬、湿布などですね。
「全く効かない」人もいれば「使用している間は痛みが治まる」という人まで、効果の感じ方は様々です。
しかしいずれも言えるのは、薬の効果で治るわけでは無いということです。
結局は腰痛が自然に改善されるまでの間、痛みをごまかすことしかできないのです。
代表的な薬を見ていきましょう。
NSAID(非ステロイド系抗炎症薬)
有名なのはロキソニンとかですね。
確かに痛みは一時的に治まるという研究結果はあります。
しかし
一時的に痛みが治まる=腰痛が治る
というわけではありません。
そして問題なのは副作用です。
胃炎や胃潰瘍などの胃腸症状やめまいなどが副作用としてあります。
あまり長期間の服用はおすすめできません。
非ピリン系解熱鎮痛剤
カロナールとかアセトアミノフェンとして販売されていますね。
副作用はNSAIDに比べて少ないですが、長期使用では肝障害を起こす危険性があります。
ステロイド薬
強力な抗炎症作用がある薬です。
免疫力低下、十二指腸潰瘍、 胃潰瘍、糖尿病、白内障、精神障害、大腿骨骨頭壊死、血栓症。
など重篤かつ多岐にわたる副作用があるため使用は難しい薬です。
長期はもちろん、短期的な使用でも副作用が起こるため、どうしてもステロイド剤が必要な治療のみに使用するべきでしょう。
他にも色々な薬物がありますが、どれもあまり有効ではありません。
注射療法
一般的に「ブロック注射」と言われているものです。
痛みを起こしていると思われる神経の近くにステロイド剤や局所麻酔薬を注射します。
研究によると、長期的な効果は認められないものの、短期的には効果があるようです。
実際、私の周りにもブロック注射で良くなったという人はまぁまぁいます。
しかし、少し期間が開くとまた痛みが出てブロック注射をするという繰り返しです。
腰痛の根治にはいたりません。
主な副作用に頭痛、発熱、細菌感染による硬膜外膿瘍、意識障害、呼吸障害が挙げられます。
また、調査によると25%の人は不適切な位置に注射をされているそうです。
アメリカのガイドラインでは注射療法は侵襲的(生体を傷つける)であり、腰痛治療には勧められないとされています。
骨盤牽引
骨盤をベルトで固定し、足元に吊り下げた重りで背骨を牽引するものです。
また、足首を固定して牽引する逆さ吊り牽引という方法もあります。
実は牽引が腰痛に有効だという証拠は出ていません。
しかも骨盤原因には筋力低下や骨萎縮、下肢の血栓性静脈炎などの副作用があります。
逆さ吊り牽引では、眼球内圧の亢進や血圧が高くなる危険があります。
本気で牽引が効くと考えている専門家はほとんどいないでしょう。
腰部コルセット
腰部コルセットは姿勢の矯正によって腰痛の緩和、もしくは予防することができると言われています。
しかし、腰部コルセットが腰痛に有効だという研究結果は今のところありません。
これまで、長期間にわたる腰部コルセットやサポートベルトの使用は、腹筋力と背筋力の低下を招くと言われていました。
しかし最近の研究によるとその危険は無いようです。
以上から、明確な効果は期待できませんが、特に副作用もないので使ってみて良いような気がするなら問題は無いでしょう。
理学療法
温熱療法
冷却療法
マッサージ
超音波
電気治療
などがあります。
どれも明確な治療効果は認められていません。
効いたと感じられるならプラシーボ効果でしょう。
しかし、妊婦など特殊な状態を除けば、基本的に副作用も無いです。
マッサージなどは気持ちよかったりもするので、効果が感じられるならリフレッシュにもなるのでやってもいいでしょう。
運動療法
ストレッチや腹筋、背筋などですね。
筋緊張を和らげたり、筋肉で体幹を支えたりすることで腰痛予防になるという考え方です。
若者や、普段スポーツする人でも腰痛持ちはいくらでもいます。
逆に全くスポーツやストレッチなどしなくても腰痛と無縁の人もいます。
どう考えても運動と腰痛は関係ありません。
しかし、血流がよくなったり、身体的なストレスの解消になったりするので無意味ではないです。
心身の健康のためにも適度の運動はおすすめです。
運動不足が腰痛の原因とは言えないですが、今まで運動していないのならいい機会なので運動を始めるべきかもしれません。
代表的な治療法は以上です。
どれもさほど効果があるとは言えないのは分かって頂けたと思います。
後は手術ですが、色々な手法があるものの、どれも短期的に効果が認められますが、長期(数年単位)になると保存療法とあまり変わらないというデータもあります。
リスクも大きいので良く考えた方が良いでしょう。
このように、現代の医学では確実に有効な腰痛治療はありません。
今までなんの治療をしてもだめだった方や、慢性的な腰痛を抱えている方は、腰痛がなぜ起こるのかを知ることで改善できるかもしれません。
試してみてはいかがでしょう?
詳しくはこちらの記事をどうぞ。
それでは最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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