憧れの人にどちゃくそ怒られたけど、正論すぎてぐぅの音も出なかった話
7〜8年くらい前になりますが、当時憧れていたの方にめちゃめちゃ怒られました。
この記事でもそうですが、私は結構大人に怒られてきました。笑
今ではいい経験になったなと思ってはいますが。
今回に関しては私が100%悪く、思い出すたびに「申し訳ないことをしたな」と考えてしまいます。
ただ、その出来事があったおかげで、人と接する時の心構えを育むことができました。
今回はその出来事とともに、学び得た教訓を共有できればと考えています。
教訓はまとめとして記載していますので、最後まで読んでみてください。
音楽業界のスーパースター
当時、私は音楽をやっていたのですが、正直なところ鳴かず飛ばずの状況。
プロのアーティストを参考にああでもないこうでもないと、模索する日々を続けていました。
そんな中で、参考の1人としていた私のヒーローがいました。現在も活躍中の方で名前は伏せさせていただきますが、Kさん(仮名)とさせてください。
私の中では完全にスーパースター。Kさんには、死ぬまでにいつか会ってみたい。
そんな思いを馳せながら、必死に音楽活動を行っていました。
Xデーは突然訪れた
とあるライブの終了後、いつものように打ち上げを行おうとしていると、知り合いのアーティストH(仮名)から連絡がありました。
「お前が好きだっていってたKさんだけど、どうやら札幌に来てるらしくてさ、挨拶くらいだったらできるらしいぞ!行く?」
マジかよ。
ライブだったか何かの手伝いで来ていたのかは忘れましたが、なんとあのKさんが札幌に来ている。
ここ地方都市・札幌には滅多に来ることはないし、願ってもないチャンスが舞い込んできました。
すぐさま自分のCDを持って、飲みかけたビールに後ろ髪を引かれながらも、別会場でライブをしているKさん会いにいきました。
知り合いのHと合流してからというもの、向かっている道中に何をしていたかというと、自分のバンド名と憧れているということ、そして良かったら自分達の音楽を聴いて欲しい。
この3つさえ伝えられればひとまずはOK!という気持ちで、走りながら何度も挨拶の練習をしていました。
しかしながら、走っていたせいかすっかり忘れていました。
Kさんが、業界でも超がつくほどのクセ者らしいということに。
Kさんとついに遭遇
そして、ライブ会場につき、呼吸を整えて会場に入りました。
会場内はライブがすでに終了しており、打ち上げ中。
私はすぐに1人の超絶オーラを放っている人物が目に留まりました。Kさんです。
酔っ払いながらアーティスト仲間と談笑している様子でした。
タイミングを見計らってはチャンスを逃すと思い、意を決して、Hとともに一歩ずつ歩み寄り、Kさんに話しかけました。
「Kさん、初めまして。◯◯というバンドをやっている木葉です。昔からKさんに憧れていて、今日来ているとのことだったのでご挨拶できればと思って来ました!」
いきなり話しかけたせいで、怪訝な顔をするKさん。ただ、話はちゃんと聞いてくれている様子でした。
「あの、これ僕らが出しているCDなんですけど、良かったら聞いてくれませんか?」
良かった、ちゃんと言えた。あとはKさんの出方次第だけど、少し話を聞いてTwitter(当時)で相互フォローができればベスト。
「あぁ、ありがとう。今度聞いておくよ。」
そういう返答を期待していました。別に聞いてくれなくても正直良かったんです。関係性もないし無名のバンドマンなので、社交辞令で「聞いておくよ。」くらいで良かったんです。
ただ、その考えは脆くも崩れ去りました。
Kさんの強烈なカウンターが炸裂
Kさんが一瞬目をつむり、私が不安な様子で見ていると、こう言われました。
「あのぉ、もうちょっと考えた方がいいですよぉ」
一瞬、わけがわかりませんでした。決して、カリスマ性が滲み出ている話し方のせいではなく。
「え・・・?」
わかってないんだなこいつという顔をされ、Kさんはこう続けました。
「いや、まずCD渡すって今の時代おかしくないですかぁ?それに、荷物になるじゃん?ストリーミングないのぉ?」
「あ、実はまだ出せていなくて・・・」
「はいぃー?嘘でしょ・・・」
あんな楽しそうにアーティスト仲間と談笑していたKさんが、今まさに「F◯◯K」と言わんばかりの鬼の形相に変わっていました。
アーティスト仲間の方も、知り合いのHも、しれっとどこかに逃げていきました。少しは助けてくれよ?
しかし、ここで私は全てを悟りました。
Kさんは理不尽な怒りではなく、正論なのです。正しい、めっちゃ正しい。
こちらについては、何が起こっているのかを説明します。
音楽業界というのは、従来はざっくり分けると「CD・グッズ売上」「ライブ・コンサート収入」「著作権・ライセンス収入」「ファンクラブ会費」などとあるのですが、CDが売上のウェイトを大きく占めていました。
しかし、当時の音楽業界というのは過渡期を迎えており、徐々にストリーミング配信サービスが台頭していたのです。
今となっては音楽を聴くとなると圧倒的にストリーミングが主流でCDを買う人の方が珍しくなっていますが、当時でもCD売上が驚くスピードで減っており、「もうCDは売れないからストリーミングに舵を切る」、そんなタイミングだったんです。
「ストリーミング始めたら教えてくださぁい。Twitterやってますよね?そっちで送ってよぉ」
そうKさんから言われ、結果オーライですが相互フォローとなりました。
え、むちゃ優しい。カリスマ性のある話し方が気になるけど、むちゃ優しい。
Kさん自身も、もしかしたらですが今後どうなるかわからない音楽業界でどう生き抜いていくか、色々と模索していた段階だったと思われます。
本気で音楽をやられているKさんだからこそ、賛否両論あるけれどもチャレンジしていかないと、という気持ちがあり、私のあまちゃんな考え方が許せなかったんだと思います。
だって、さっきは書いてなかったですが、ストリーミング配信を行っていない理由は、今思うと「申請が面倒だったから」「わからないから」なんです。
それをKさんに見透かされちゃってたんだろうなと思います。
なので、「そんなものもやってないのに挨拶来るなんて、頭おかしいんじゃないのか?売れるわけねぇだろ。一旦出直してこい。」ということ意味での、相互フォローだったのかもしれません。
それでも優しいんですけどね。
その後はというと・・・
大変に申し訳ないことをしたと思ったので、その日のうちにTwitterで謝罪DMをお送りしました。
そして、ストリーミング配信を開始したら連絡させていただく旨伝えたところ、昔使っていたアカウントが入れなくなってしまったので文面は確認できなかったのですが、「よろしく!」みたいな感じだったと思われます。
話し方は気になったけど、やっぱむちゃ優しかったな。
そして怒られた数ヶ月後に無事配信を開始しましたが、結局私はKさんには送りませんでした。
送らなかったというより、その当時は送れませんでした。
申し訳ないことをしてしまったという気持ちが強く働き、あまり迷惑をかけられないということや、また怒られたら嫌だなとビビってしまい、送れなかったのです。
今思うと「送るべきだった」と素直に思えます。
もしそこで改めてDMを送っていたりしたら、「いいじゃん!」と褒めてくださったり、何か関係が繋がっていたかもしれません。わからないけど。
それ以来関係性も何もなくなってしまったので、もったいないことをしたなと強く思っています。
そこで音楽人生が変わっていなかったとしても、自分のマインドは変わっていたように思うからです。
この出来事で得られた教訓
このような出来事があり、当時は辛かったですが、必死に考えて得られた教訓をまとめてみました。
結構この経験の前と後では、人に対する考え方が大きく変わりました。
圧倒的準備不足
まず、怒らせてしまったことは、明らかな準備不足がありました。
普段のTwitterの投稿や、趣味嗜好を確かめるなどのリサーチすらしていませんでした。
憧れとか言ってますが、結局深いところまでは調べられていなかったのです。急に舞い込んだ機会だから準備できなかった、は言い訳に過ぎません。
なぜなら、よくライブハウスや音楽関係者に言われていたんです。
「売れるやつは急に売れるんじゃなくて、売れる準備が出来ているから売れるんだ」と。
これももしかしたら、Kさんに気に入られていたら、そのままトントン拍子で売れていたかもしれません(可能性は限りなく低いですけどね)
仕事もそうですが、準備が成果の9割を決めます。
思いやりの欠如
また、自分本位で相手のことを思いやる気持ちが全くありませんでした。
この出来事の場合、「CDというわざわざ荷物になるもの」をなぜ渡したのか?という点ですね。
これはただ一心に「聴いて欲しい!」というエゴでしかありません。Kさんのことを思っていたら、そんな迷惑なことは絶対にできません。
相手にとって何のメリットもない話を持ちかけているのも、今思うとふざけてます。笑
流行を読む力
そして、ストリーミングの話です。時代の流れを読んでこうなって行くからこういう動きをしよう。というセンスです。
センスは経験値や知識で構成されるものですから、当時は足りていませんでしたし、本質を見抜くことすらしてなかった。今も流行を読むというのは苦手だし考えたくもないんですが。笑
とはいえ、ざっくりとでも未来を見通す能力は必要ですし、その逆の廃りにも敏感にならなければいけません。
「今もCDでしか売上を上げてません!めっちゃ稼いでます!」というアーティストがどれだけいるでしょうか。
未だにストリーミング配信を行っていないアーティストはいますが、一部の大物くらいなものでしょう。
行動力(勇気)
そして最後に、行動力です。今回の場合は、勇気になるでしょうか。
私が以前投稿させてもらったこの記事ですかね。
今はもちろん実行しているのでできますが、当時は勇気がなかったです。
成果は、質よりもまずは量。量をこなしてから質が生まれる。
この原体験があるからこそ、大事にしたい言葉です。
もしKさんと今後どこかで会うことがあったら、覚えていないとは思いますが一応伝えてみようと思います。
「めっちゃすいませんでした!今後は仲良くしてください!なぜなら仲良くした方が理由が3つあって・・・」と(もっと嫌われる)。
このような経験談をもとにしたエッセイを中心に、どんどん投稿していこうと思っているので、みなさん仲良くしてください。
自己紹介noteはこちらです。
色々な記事にスキしてくれるとめちゃめちゃ喜びますので、よろしくお願いします。
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