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週1の強み

鉄道パーサーの仕事を始めて3か月が経とうとしています。

3か月と聞くと長い期間のように思えますが、私は基本的に週1でしかこの仕事をしていません。そのため、依然として「仕事に慣れた」という実感がありません。乗務するたびに「ミスをしたらどうしよう」という大きな不安と緊張感に駆られます。この点は、出勤頻度が少ないゆえのデメリットと言えるでしょう。そのため多くの企業はたくさん出勤できる従業員を優先して雇うのです。

しかし私には、出勤頻度が少ないからこその強みが、あると思います。今回は、その点について考えていきたいと思います。

 週1しか出勤しない私が、毎日のように鉄道に乗務しているパーサーに敵うはずがありません。ただし、出勤頻度の少ないからこその強みもあります。例えば、車内を移動する速さです。ベテランのパーサーほど、ワゴン稼働に慣れていますから、あっという間に車両を移動してしまいます。おそらく、私の3倍ほどのスピードで移動しています。仕事が速く、キレがあるという点は「さすが」だと言わざる負えません。しかし、乗客の方からすると、仕事が速いのは必ずしも望ましいことではないと思います。

以前、在来線のグリーン車に乗車する機会がありました。グリーン車でも、新幹線と同様に車内販売があります。「せっかくなのでお菓子でも買おうかな」と考えていましたが、アテンダントさんは、どうやらベテランの方なのか、あっという間に席を通り過ぎてしまいました。無理に呼び止めるのも申し訳ないので、買うのは諦めました。

車内販売を利用する人の中には、まず「必ず利用したい」という方がいます。その人たちは、たとえ私たちがワゴンをどれほど速く進めていても、呼び止めてくださるでしょう。しかし、そういう人々よりも「買おうかな、どうしようかな」と迷っていらっしゃる人のほうがずっと多いと思うのです。

そんな彼らに「買う」という決断をしてもらうことこそ、パーサーの真の実力なのではないかと思います。なぜなら「必ず利用したい」と考えている人は、どんな販売員でも商品を購入する一方で、迷っている人が商品を購入するかどうか、誰が販売するかによって変わってくるからです。

私がワゴンを押す速度は、とてもゆっくりです。それは、慣れていないからです。急ぎ過ぎるとお客様の手や足、車内の扉や座席に衝突する恐れがあります。そのため、ゆっくり進めざるをないのです。しかし、ゆっくり動かしているからこそ、多くのお客様にお声かけいただきます。ワゴンを動かしていると、ワゴンに載った商品をじっーと眺める方がいらっしゃいます。彼らは、何かを買おう否かをか悩んでおられるのです。そうした乗客を見かけたとき、私は必ず「メニューをご覧になられますか」とか「気になる用品はございますか」とお尋ねするようにしています。もちろん中には「いや結構です」とお断りいただくこともありますが、多くのお客様は「何か食べられるものはありますか」「飲み物は何がありますか」と質問してくださいます。そうして新たな販売機会へと繋がるのです。この点は、仕事に慣れきっておらず、「失敗したらどうしようと」いう緊張感を強く感じている私なれではの強みであると思います。


それではまた👋


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