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「アスリートの競技力向上にビジネス思考を活用せよ!」 ー元アスリートのビジネスパーソン15人からの教えー
いきなりですが、質問です!!
あなたなら、以下の問いどう答えますか?
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どうも!下澤悠太です!
今年でプロ生活も6年目を迎え、日々「どうしたらもっとサッカー選手として成長し、活躍していけるか?」という問いと、真摯に向き合いながら生きています。
自分のプレーを振り返る、試合を見る、色々な人からアドバイスをもらうEtc…
そのような取り組みをしていく中で、「サッカー以外の分野から取り入れられるヒントがあるのではないか?」という視点がこの記事の出発点です。
|アスリートにも、『認知的多様性』が求められる?
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『多様性の科学』という本をご存知でしょうか?
本書は、『同じような考え方や視点を持っている似たり寄ったりな組織』と、『様々な価値観や考え、視点を持った人たちが集結している認知的多様性が豊かな組織』を比較しながら、
「複雑な問題に直面にした時ほど、認知的多様性が豊かな組織の方がスムーズに問題解決していける」ということを説いた本です。
本書を読んでいて率直に感じたのが、「これは組織だけではなく、個人としても当てはまるのではないか?」ということ。
つまり、偏った知識や考え方を持っている人よりも、さまざまな視点を持ち合わせている人の方が、複雑な問題に直面した時に、多角的に問題を分析し、最善の解決策を導き出すことができるのではないか?と。
そして、もしそうであるならば、プロサッカー選手として活動している自分にとっても非常に重要な指標になると考えました。
なぜなら、サッカーというスポーツは、ピッチ内外で様々な要素が無数に絡み合っていることで、個人としてもチームとしても複雑な問題に直面することが多いスポーツ(※1)だと考えているからです。
そこで、「サッカー選手として認知的多様性を高めることが、選手としての成長や活躍に相関関係があるのではないか?」という仮説を立てました。
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※1 それぞれ違う価値観を持っている個が集結し、一つの目的に向かって協力しなければいけなかったり、予測不可能なこと(相手や環境による影響を受けること)が多いなど。
|サッカー選手の認知的多様性を高める3つの分野とは?
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自分なりに、サッカー選手としての認知的多様性を構成する分野を、大きく分けて以下の3つに整理してみました。
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①から順番に競技力の向上に即効性がある分野。
そして、①〜③が豊富な選手ほど、選手としての成長や活躍に相関関係があるのではないか?と考えました。
そこで、サッカー界を見渡してみると、①と②に関する情報は身の回りに溢れているため、積極的に取得している選手が多いように感じています。
しかし、③の選手(社会人)としての土台を構築している分野に関しては触れる機会が少なく、①と②ほど重要視されていないようにも思いました。
例えば、育成年代からサッカーをしていて、指導者の方から『止めて蹴る(①)』はしっかり教わるけど、『目標の立て方(③)』や『味方とのコミュニケーションの取り方(③)』などを、細かく教えてもらう機会はあまりないように思います。
では、なぜ重要視されていないのでしょうか?
様々な理由が考えられますが、
例えば、「サッカーはサッカーをすることでしか成長できない。」と無意識に思い込んでいることで、そもそも③の分野に触れる機会が少ない可能性があったり、
今でこそ減ってきているかもしれませんが、「サッカー選手はサッカーだけしておけ!」といった、『サッカー以外に取り組むこと=良くない』という世間的な風潮による影響もあるのかもしれません。(詳しくは第3回で整理します。)
しかし、もしサッカーを取り巻く複雑な問題を解決するヒントが別の分野にあったとしたらどうでしょうか?
例えば、チームとして結果がでず、雰囲気も悪い状態で、どこから手をつければいいのか分からない状況だった時。
実は自分が知らないだけで、他の世界(分野)では「そういう時は〇〇を意識することが効果的」という答え合わせがすでに終わっていたとしたら?
その情報を手段の1つとして持っておいて損はないと思います。
『スポーツ→ビジネス』ではなく、ビジネスからサッカー選手に活かせるノウハウを学ぶ。
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そこで注目したのが『ビジネス』の世界です。
なぜなら、ビジネスの世界では、成果を出すために、『思考力』や『コミュニケーション』、『リーダーシップ』といった、活躍するために必要な土台となるスキル(③)が、体系化されていると感じたからです。
さらに、最近ではセカンドキャリアに関する情報の中で、「アスリートとして培った能力が、ビジネスの世界で活きる」といった、『スポーツ→ビジネス』に関する話を耳にすることが多いですが、
そうであれば、逆にビジネスの世界で求められるスキルやノウハウが、アスリートとしての成長や活躍のヒントになる可能性はなおさら高いと考えました。
言わば、ビジネス領域からの逆輸入といえます。
以上の背景から、自ら立てた仮説を確かめるために、15人の元アスリートで現在はビジネスパーソンとして活躍されている方々を対象にインタビューを実施しました。
(『考える系』『コミュニケーション系』『リーダシップ系』の3つの職種に分け、それぞれ5人ずつに実施。)
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インタビューの中で一番のポイントとして質問したのは以下のものです。
「もし今の知識や経験を持ったまま現役生活をやり直せるなら、より選手として高みを目指すために何を変えますか?」(ビジネス⇨スポーツ)
回答を整理すると、15人中15人がビジネスとスポーツの繋がりを感じ、「ビジネスの世界で色々な経験を積んできた今の脳みそのまま、もし現役時代をやり直せたら、もっと成長できていたと思う」と答えていました。
そこでの学びがとても勉強になったので、ここで簡単に事例を3つ紹介したいと思います。
|【事例1】目標設計は『SMART』に。
例えば、社会人2年目で営業をしている方に話を伺ったところ、『目標設計』と『振り返り』についての話が印象に残りました。
「目標設計のところで、学生時代の自分は”プロサッカー選手になりたい”というザックリとした目標を掲げていた。
今は”目標はSMART(※2)を意識してしっかり設計しろ"と言われている。
もしこれを現役時代から知っていたら、より精度の高い数値で測れる具体的な目標を掲げることができたと思う。
その結果、やるべき行動も明確になり、もっと成長できていたし、少しでもプロに近づけていたかもしれない。」
※2『SMART』
▶︎Specific(具体に)、Measurable(測定可能な) 、Achievable(達成可能な) 、Relevant(経営目標などに関連しているか) 、Time-bound(期限があるか) の観点で目標を設計すること。
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また、振り返りでは、『KPT法(※3)』や『帰納法(※4)』について挙げられていました。
「学生時代はなんとなく自分なりにサッカーノートを書いていたが、例えばそこで『KPT法』で整理してみたり。
また、『帰納法』を使って、自分の成功(失敗)したプレーをいくつかピックアップして、そこから共通点を洗い出し、プレーに再現性を持たせやすくしていたら、もっと成長速度が高まっていたかもしれない。」
※3『KPT法』
▶︎『 Keep(良かったこと、続けること)』 『Problem(問題、上手くいかなかったこと』『Try(次にやること、Pに対する解決策)』に沿って整理するやり方。
※4『帰納法』
▶︎複数の事実から共通点を洗い出し、そこから結論を得る考え方。
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|【事例2】『Youメッセージではなく、Iメッセージ』
組織の企画・運営をしている方とのインタビューでは、『コミュニケーション』に関する話が印象に残りました。
仕事の中で、周りの人をモチベートして動いてもらう際に意識していることとして、以下の2つのポイントを共有してもらいました。
1.まずは共感すること
2.『Youメッセージではなく、Iメッセージ』を意識すること。
(「あなたは〇〇だね」と決めつけるような言い方ではなく、「私は〇〇だと思ったけど、どうかな?」と伝える)。
そして、もしこれを現役時代に意識していたなら、仲間との意思疎通をより緻密に図ることができて、自分も味方もプレーしやすい状況をもっと作れていたのではないか、とも話してくれました。
|【事例3】振り返りは『MECE』を意識
現在はコンサルタントをされている方との話では『振り返りの仕方』についての話を聞くことができました。
「現役時代の時に、コンサルタントが問題解決をする時にベースとなるMECE(「漏れや、ダブりがないか。」)の考えを持っていたら、問題解決能力の精度が高まり、もっと成長することができたように感じている」
現役時代の時に「なかなかプレーがうまくいかない」という問題に直面した時には、「トラップが良くなかったのかな?」といった“技術”にフォーカスして問題を探そうとしていたとのこと。
しかし、今考えると、本来は『心技体』で整理したり、『栄養』『睡眠』『環境』『人間関係』といった様々な側面からも考えることができたはずで、
そこから本当の原因を見つけて解決していけば、もっと効果的に成長速度を高めることができたのではないか?という話をしていました。
その他にも様々な話を伺うことができましたが、どの話もサッカー選手としての成長に繋げられる可能性を感じました。
(今後もインタビューの内容などをnoteで発信する予定です。)
今回のインタビューを通して、改めてサッカー選手としての成長や活躍の土台となるヒントが、ビジネスの世界に散りばめられていることを再確認できました。
土台がしっかりしていない建物が簡単に崩れやすいように、選手としての土台の良し悪しが、サッカー選手としての成長や活躍に影響することは必然なのかもしれません。
例えば、どれだけ質の高い指導を受けたとしても、聞いた選手の傾聴力、理解力、内省する力といった土台が不十分だったら、せっかくの質の高い情報も無駄になってしまうと思います。
だからこそ、サッカー人は①と②の情報だけでなく、③の土台となる分野の情報も積極的に取り入れ、認知的多様性の高い状態を構築しておくことが大切なのではないでしょうか?
そして、それは本気で上を目指している選手ほど大事だと感じました。
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|第2回予告
しかし、ここまで記述してきた認知的多様性を高める重要性については、僕自身は学生時代から感じていて、継続的に取り組んできたことです。
時間さえあれば、本や動画で多種多様な情報に触れたり、サッカー以外の分野で活動している人から学び、「この学びをサッカーに置き換えると、どうなるだろう?」と考え、自分の成長に繋げようと人一倍取り組んできたつもりです。
その結果、学びや気づきだけでなく、変化もあったと思いますし、結果プロサッカー選手になるという目標も叶えました。
しかし、「認知的多様性は必要だが、それだけでうまくいくわけでもない」ということを痛感する経験もしました。 その実体験を第2回では共有していきます。 第2回に続く。
-元の記事(以前、スポナビさんで掲載していただきました)-
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