ほんの紹介『無敗営業チーム戦略』
コロナでオンライン商談が普及する中で、より効果的に営業活動を行う方法。営業プロセスの基本は変わっていないけれど、ツールの使い分けが大切になります。
チームで業績が上がる
①勝ちパターンをつくる
②活動の実態を見える化
③人が育つ仕組みをつくる
④コミュニケーションのバランスを整える
オンライン営業の勝ちパターン
①初回訪問からの要件整理に勝負をかける
②10分の電話商談でお客様との接点を増やす
③提案モードでなく、お客様と一緒に作るモードへ
共通言語が組織を動かしている状態
①ある言葉について、複数のメンバーが同じ認識・理解で使っている
②その言葉が様々な場面で、メンバーの行動にプラスの影響を与えている
③その言葉の活用が、個人の習慣や組織の文化というレベルになっている
オンライン商談は段取りと納得感で決まる
・事前準備のやり取りが丁寧で、商談前に必要な情報を共有してくれた
・商談の進め方が効率的。動作や進行がスムーズで安心感があった。
・商談後のフォローは、購買側に発生するタスクに配慮されていた
・画面共有の使い方にリアルタイム性があり、双方向のやり取りだった
・商談の場で使用する資料は絞られており、消化不良感がなかった
・購買側の反応に合わせて進行し、疑問や不安を丁寧に解消してくれた
オンライン商談の事前準備
①商談環境の確認
②アジェンダと時間配分
・この場の目的や進め方の確認
・議論の題材となる情報を提示
・お客様から反応や質問を引き出し、疑問屋懸念点を解消する
・議論の内容を整理し、次のアクションを確認する
③資料やサンプル
・事前にお送りしておく資料
・当日に投影する資料
④事前コミュニケーション
・お客様側の課題意識やご要望を商談前に伺っておく
・どの部分に目を通して欲しいのか、資料を見ていただく上でのポイントは何か、明示すること
・当日はどんな進行で、どんなやりとりをさせていただきたいのか
⑤リスク対策
不明点はありませんかの反応がうすい
・お客様は、わからないことを言葉にするのが難しいので、相手が答えやすい聞き方で確認する必要がある
・不明点をいつ確認するかのタイミングは、営業とお客様とで認識がずれないようにすべき
・こちらからの説明時間や資料のボリュームが一定以上になると、お客様はどこがわからないかもわからない状態に陥ってしまいます
・少し資料を説明したら他社さまからは○○のような声もいただきますが、御社ではいかがでしょうか?のように尋ねます。そして、お客様が少し答えてくれたら、資料にすぐ戻らず、その場でお客様のコメントを深掘りします。これにより、お客様は、何か自分がコメントすると、それを大事にしながら、会話を進めてくれるのだなと実感します。お客様にある程度話ししていただくことで、こちらとしても興味や関心のポイントがつかみやすくなるというメリットもあります。深掘りに対する回答をとらえて、お客様が今おっしゃった○○のポイントについて、ちょうど次のページにございまして、という具合に戻すと、双方向のやり取りが活発に進みます。
・画面共有でリアルタイムの共同編集作業を
・複数人のオンライン商談は当日以外が勝負。事前準備と効率的な進行。
入札案件
・提案時に口頭でやりとりすることなく、提案書と見積価格で判断されるのが基本。競合も同じ条件。勝負をかけるべきは、案件が正式に発生する前、案件発生直後、まだお客様と双方向のコミュニケーションができる時期になります。提案内容を正式に出すタイミングにくると、行動がかなり制限されてしまいますので、お客様と自由にやりとりできる序盤戦に、納得感の醸成をすべくリソースを集中投下できると望ましいです。資料をブツ切れで説明、つっこまれビリティ、画面共有による共同編集作業の武器をフル活用して、提案内容を本格検討する前に、お客様とのズレを最小限に抑えられます。
・この類の案件では、お客様の要件の全体を捉え損ない、こちらが把握している要件に漏れがある、競合が出してくる奇抜なアイデアにお客様が惹きつけられてしまうといったことに注意する必要があります。
段取りと納得感のアクションリスト
事業トップ
◻︎オンライン商談における段取りと納得感の重要性を全体に伝え続ける
◻︎オンライン商談の段取りでメンバーがつまずかないよう、IT環境を整える
チームリーダー
◻︎段取りと納得感について、オンライン商談で見本を示せるレベルになるまで練習する
◻︎同行やロープレによって、メンバーのオンライン商談のレベルを把握し、強化する
メンバー
◻︎段取りを改善し、納得感を醸成するコミュニケーションを練習する
◻︎段取りと納得感で勝負できるオンライン商談のスタイルを試行錯誤し、成功事例をチーム内に共有する
企画チーム
◻︎段取りと納得感が優れている営業メンバーのやり方を社内にノウハウ展開する
◻︎効果的な段取りや、納得感を生む資料説明のためのツールを整える
オンラインとリアルを組み合わせたハイブリッド営業が主流になる
・効率を重んじる場面では積極的にオンライン商談を活用し、お客様の感情を汲み取り関係を深めていく場面では対面商談を用いる。そして、商談と商談の間を、電話やメールによるコミュニケーションでつないでいく、といったアプローチがこれからの主流になると考えられます。すなわち、オンライン商談と対面商談を使い分け、電話やメールを組み合わせるハイブリッド営業です。
お客様接点の量と質を向上させる
・電話とメールでお客様接点を増やす
・対面商談、オンライン商談を場面に合わせて使い分ける
・肝は二人三脚。お客様と歩調を合わせながら、一歩一歩は小さいながらも、着実に商談を前に進めていく。一歩一歩の幅が小さくなる分、提案活動のサイクルを素早く回していくことが求められます。
・ハイブリッド営業の二人三脚では営業活動の工程が増えます。そこで、1回あたりにかかる活動を減らす、1回の活動によるインパクトを上げる。ハズレしょうだんや失注を減らすことによって、活動効率を上げていきたいところです。10分電話商談と即時メール。電話は迷惑ではと思考停止せず、タイミングを見計らうことが重要
10分電話商談
①電話商談の設定(価値訴求力)。いつだったら電話可能かをお客様に確認しておき、電話における接触も1アポのように活用し、コミュニケーションの量や頻度を担保する
②課題発見質問(質問力)。数分程度の会話で、お客様のやりたくてもできないこと(悩みや課題)を聞き出し、深堀をする
③要件整理(提案ロジック構築力)。悩みや課題をいくつか聞き出したのち、漏れがないか、優先順位はどうかについて、キワードにして手元で整理する
④お役立ちメール(提案行動力)。聞き出したキーワードに対して、お役に立てそうな情報をすぐにメールで送り、すり合わせをする
価値訴求の四象限(情緒価値(感情軸)×機能価値(思考軸))
①好感・共感。この人と一緒にいて気持ちいい。この人と一緒にいると気持ちが掻き立てられる。この人は自分(自社)のことをわかってくれる
②労務提供・適量コミュニケーション。作業が楽になった、手伝ってもらって助かった、ちょうどいい時に連絡をくれる
③プラスα・提言。それは思いつかなかった!あえて言ってもらえるのはありがたい。当社は◯◯すべきなのか!
④情報提供・人の紹介。それは確かに知っておいたほうがいい。ちょうどそれを調べていたが見つからなかったところだ。人(会社)を紹介してもらって助かる
→お客様とまだ十分に接点を持てていない状況では、④情報提供が有効です。
お送りする情報の分類
①打合せメモと参考資料
②チェックポイント集
③事例資料
④論点マップ・入門ガイド
⑤調査やセミナーのレポート
⑥商品や料金の詳細
接点ができたら、質問力でお客様を理解する
①枕詞。考える観点を提示して切り込む。◯◯さまのお時間を無駄にしないために、伺いたいのですが。個人的な意見でかまいませんので。もし仮に◯◯の点がクリアされたら
②深堀。お客様が話す割合を増やす。と、おっしゃいますと?具体的には?なぜでしょうか?他にはありますか?
③特定。具体的に絞り込む。御社の課題について、特にここ1ヶ月議論されているものとしては、どのようなものがあるでしょうか? 御社の課題として重要度が高いのは、AとBとではどちらでしょうか?
メールで商談を進める提案ロジック構築
お客様の次のアクションがスムーズになるよう、わかりやすく書きましょう。ヒアリングした内容をまとめる時には、
・箇条書きで整理し、内容をキーワード化する
・書き出した項目について漏れや優先順位を確認する
・次のステップを明示する
お客様と二人三脚で検討を進める提案行動力
いい感じで進んでいたと思った案件が、お客様の社内検討の停滞によって、いきなり進まなくなったということはよく起こりがちです。ご検討状況はいかがでしょうかという確認をしがちですが、こういったリマインドの質問に良い答えが返ってくることはほとんどありません。
①目の前の担当者を惹きつける
②社内巻き込みようの資料やメールの作成で周りを巻き込む
③継続的に側面支援する
④お客様の社内検討状況を確認しながらネックになりうる要素をつぶしていく
二人三脚のアクションリスト
事業トップ
◻︎オンラインとリアルを組み合わせた自社なりのハイブリッド営業を言語化して全体に伝える
◻︎対面商談ありきから移行するためのステップを明示し、ハイブリッド営業の浸透状況をモニタリングする
チームリーダー
◻︎提案営業の回転数が上がるよう、対面商談とオンライン商談の使い分けについて、メンバーに具体的な方針を出す
◻︎電話やメールが単なる事務的やりとりのみになっていないか、資料の体裁にこだわり過ぎていないかチェックする
メンバー
◻︎お客様接点が増えるよう、対面商談とオンライン商談を組み合わせ、電話・メール・資料の内容を工夫する
◻︎従来の枠にとらわれず、ハイブリッド営業のスタイルを試行錯誤し、成功事例をチーム内に共有する
企画チーム
◻︎ハイブリッド営業で成果を上げているメンバーのやり方を社内にノウハウ展開する
◻︎電話・メール・資料をメンバーが進化させやすいよう、スクリプトや営業ツールを整える
営業マネジャーが注意すべき盲点
①結果主義が強く出すぎると、隠し玉案件が生まれやすい。隠し玉がたくさんあると、本来の見込み案件の実態が見えなくなる。
②行動目標は達成できそうかを注視すると、コールの件数や訪問の件数だけでも増やそうという心理が働き、手段(プロセス目標)が目的化されがちになる
③日報で活動や商談内容がきちんと報告されているかを見ようとすると、重要度の低い案件についても詳しく報告されることで、大事な接戦案件の情報が埋もれやすい
営業プロセスにより踏み込んだマネジメント
①見積もり提示以前の案件状況を見る。パイプラインの状況や商談フェーズは前進しているか?
②行動の量だけではなく、質はよくなっているか?
③異常や抜け漏れは発生せず、優先順位はあっているか?
プロセスをフェーズ定義で見える化する
①見積もり提示以前の案件をマネジメントできる
②チーム全体で商談の状況を正確に捉えられる
③着地見込みの精度が上がる
④行動の量や質をより細かい単位で測定できる
⑤異常や停滞を発見するのにどこの段階でつまずいているのかがわかりやすくなる
⑥経験の浅いメンバーでも、やるべきことがわかる
要件整理 BANTC
Budget予算
Authority決裁者
Needsニーズ
Timing受注予定日
Competitor競合
フェーズとABCDマネジメントのアクションリスト
事業トップ
◻︎自社のフェーズ定義に関する合意形成を推進する
◻︎ABCDマネジメントを現場で行うために、行動の量や質に対する合格基準を明確にする
◻︎重点KPIを定めて、アナウンスする
チームリーダー
◻︎フェーズの定義をチームに浸透させ、メンバーの認識をそろえる
◻︎フェーズや重点KPIに沿った案件指導を行う
◻︎行動の量や質を見ながらABCDマネジメントを実践する
メンバー
◻︎担当する案件のフェーズを前に進め、フェーズ更新をリアルタイムで報告する
◻︎フェーズの認識について違和感があったら声を上げる
◻︎重点KPIに注力し、行動の量、質はABCDの中でもAゾーンを目指す
企画チーム
◻︎自社のフェーズ定義を言語化するため、営業現場の合意を形成する
◻︎フェーズを更新・管理する仕組みを構築する
◻︎重点KPIについて、ABCDの状態が見える化されるツールを用意する
SFAを活用していくために乗り越えるべき主な壁
①SFAを上司が見るレベルにもなっていない2割
②SFAをみてはいるが組織の共通言語に至らない4割
③組織の共通言語になっているがSFAのポテンシャルを活かしきれない3割
現場がのぞむ支援のなかで、一番重要なものは、最小限に抑えたデータ入力項目の設計。
使い方を深く理解していないと、営業マネジャーはSFAを単なる数字の集計ツールのように考えてしまいがちです。
受注の進捗を確認する以外のタスク
①内訳やプロセスを分析する。ボトルネックや異常値、うまくいっているメンバーやチームに焦点を当てて、成功要因を探るなど
②商談をピックアップして介入する。受注に向けてサポート
③アクションや優先順位を指示する
④指示に対する実行状況を確認する
SFAをマネジメントサイクルに結びつけるATMダッシュボード
Alaertアラート。停滞や異常を発見し、要注意の案件に介入する
Targetingターゲティング。優先順位の高い行動を推進する
Monitoringモニタリング。業績や進捗を見て分析しながら、次の手をうつ
①受注(売上)の進捗を確認する
②内訳やプロセスを分析する
③商談をピックアップして介入する
④アクションや優先順位を指示する
⑤指示に対する実行状況を確認する
型を機能させるためのグーチョキパー
Gutai具体的なサンプル
Checkpointチェックポイント。その行動の共通点として、いずれも、このポイントを押さえていますよというマニュアル
Performanceパフォーマンスの確認。実際に本人がどのくらいのレベルでじっこうできるか、測定する仕組みが必要です。
リモートワークで減った社内の雑談と個別コミュニケーション
①会議は回数・時間とも減っている一方で、電話・メール・チャットのやりとりは大きく増えた
②報告や案件相談における必要なやり取りは増えたが、雑談や個別相談の回数は激減しており、不要不急のコミュニケーションが失われつつある
③褒める、叱るといったフィードバックが全体的に減っているが、特にメンバーとしては、褒められる回数が減っていると感じている
PM理論
Performance目標達成能力
Maintenance集団維持能力
リモートワークが広がり、メンテナンスの部分が大きく失われ、チーム内のコミュニケーションが業績や商談などのパフォーマンスの方に大きく偏っている。
PM理論と頻度に着目したマネジメント
①商談単位のフォロー。案件相談や同行、商談レビュー。接戦案件を中心に行う
②チームミーティング。朝礼夕礼、営業会議、締め会、キックオフ
③トレーニング。ロールプレイ、勉強会
④対話の場。日常会話、1on1、オフサイト
Managerial Moment of Truth (MMOT) 最強リーダーシップの法則
①現実を確かめる
②そういう現実に立ち至った原因について、メンバーがどう考えているかを検証する
③事態を改善するための計画を立てる
④その計画がどれほど実行されたかを把握するため、フィードバックの仕組みを築くというサイクルを回していくことで、メンバーの成長を促します
多くの営業組織が目標とうまく付き合えない理由
①目標達成のためのきちんとした方法論がない
②目標への意味づけが伝えられていない
③目標よりも大事なことについて話す場がない
営業組織の四つのステージ
①探る。どのアクションやKPIに注力すべきかが絞りきれていない状態。戦略思考型。計算された試行錯誤。→勝ちパターンの発見。高い要求水準によって追い込まれること
②回す。方針や戦略、やるべきことなどがある程度明確になっている状態。指示統制型。型の実行。→組織の硬直化。やることが増えすぎて複雑になること
③手放す。ある程度安定的な成長が続いており、順調に回っている状態。権限移譲型。失敗を厭わず任せる。→順調な成長。言われたことしかやらなくなる
④仕込む。決められたことを忠実にやっていることによる弊害が見えてくる状態。率先垂範型。基準を上げリスクをとる→行きづまり感。水準が気づかないうちに下がってしまうこと
営業は知的創造活動の時代へ
①お客様のことを深く理解する
②お客様と共に新しい可能性を考える
③関係構築の引き出しが広い
④商談を着実に前進させる
⑤ITとうまく付き合い、人間力を活かす