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ドイツで暮らしてるけど、実際のところ「人種差別」はどうなの?
ホワイトボードへの落書き
私の職場は従業員の九割がドイツの方だ。そんな中私は実験的外国人第一号として入社し、働き始めてもう二年になる。
最近、会社のホワイトボードに書かれたある落書きを見つけた。もともとそのホワイトボードには「White Board」と書かれているのだが、誰かがそこに書き足して「Old White Man Board」となっていたのだ。
私は同僚とこの落書きを見つけたのだが、その瞬間は特になにも感じなかった。同僚はOldとManの横にそれぞれYoung、Womanと書き加えていたので、私もWhiteの横にBlack、Yellowと書いたのであった。
今改めて考えると、Old White Manというドイツ社会の中心に据えられてきたであろう存在を、皮肉っぽくジョークとして書き加えたのだろう。もしくはなにか文脈があったり、なにかのパロディだったのかもしれない。
とにかくそれについてはそこまでマイナスの印象は受けなかった。ただ、女性社員や私も含めた外国人社員とともに同じ職場で働くうえで、少し配慮に欠けたジョークだとも思えた。
私と同僚が書き加えたことにより、会社のダイバーシティ推進の一助となればとも思うが、これをきっかけに私がドイツへ移住して感じたドイツでの人種差別の実態を書いてみたいと思う。
移民大国ドイツ
と書いてみたものの、私はドイツでほとんど人種差別を受けた記憶がない!
移住前はコロナ禍でもあり、アメリカではアジア人に対するヘイトの動きも激化していると聞いていたものだから、人並みに不安を抱えていたのだが、実際に移住してみるとなんのこっちゃなかったのである。
というのも、ドイツは移民大国だからだと思う。なんとドイツで暮らすおよそ四分の一の人たちが外国にルーツを持つ移民系の家族だそうだ。世界的に見ても移民の数は多く、時期によっても違うだろうが世界で二、三番目に移民が多い国であるらしい。
街を歩けば、アジア系やアフリカ系、東欧系やラテン系など様々なルーツを持つであろう人々が目に入る。当然私もその一員だ。
なので、ドイツではむやみに見た目だけで外国出身だと決めつけることは失礼にあたるのだ。当たり前だが、他の地域にルーツがあろうが、ドイツで育った人というのは100%ドイツの人だ。ドイツで生まれ、ドイツ語を母語として話し、ドイツの文化の中ドイツの学校で育ったのである。そんな人物は誰がどう考えてもドイツ人だろう。
だからといって、そういった環境で暮らす人々は、人種差別をしないよう強く意識しているわけでもないのだと感じる。祖父母や両親が外国出身だからといっても、結局はただの友人や同僚ななのである。そういった人の割合が四分の一もを占めると、そういった特徴は当たり前すぎるのだろう。
なので、もちろん国や地域、そして人によりけりなので一概には言えないが、これからドイツで暮らす方は「人種差別」についてはそこまで心配する必要はないのではなかろうか。特に私の暮らすドイツ西部はそんな感じだ。
対子供は難しい
といっても全くなかったわけではない。これは人種差別として捉えるべきなのかどうか正直なところわからないのだが、ある子供に「チーナ、チーナ」と言われたことがある。
当時はわからなかったがこれは中国という意味だ。きっとその子供は、これまでアジア出身の人をあまり目にしたことがなかったのかもしれない。そんなところへ急にアジア感強め、というか100%の、ロン毛ヒゲ野郎が現れたもんだから、とっさに自分の知っているアジアの国と結びつけたのかもしれない。
ここで、私は中国の人に間違われたことにひっかかっているわけではないということを念を押しておきたい。中国の人を下に見ていたり、なんとなく悪いイメージを持っていたりする偏見が、差別野郎のスタートラインであると思うから。そこには立ちたくない。
ひっかかった点としては、アジア系の見た目から自動的に外国人と判断するのは不用意ではないか?人によってはブチギレられるかもしれないし、いらぬトラブルを招きかねない、そこがひっかかったのである。
といってもその子供は歳の頃は5歳くらい。なのでそういったことはこれから学んでいくのだろう。それに友好的な接触を試みてくれただろうことは感じ取れたので、この件については全然問題ない。
見えない差別?なのか?
前述の通り、私はドイツで暮らす中であからさまに差別された経験はほとんどない。
「あからさまに」はない!というのも、その先は差別か被害妄想かの判断が付きづらくなってくる領域なのだが、無意識下の差別というものは感じたことがある。
なんとなく輪に入れなかったり、ものすごく態度の悪い店員の態度が輪をかけて悪かったり、酔っ払いに大声で驚かされたり、そういったことだ。これらは私が外国人であるからなのか、はたまた私個人が気に食わないのか(もしくはめちゃめちゃ飲みすぎちゃったのか)の判断は非常に難しい。
日本でも友人の少なかった私だから、単に個人の問題や気質のせいなのかもしれない。
なのでこれから海外に出てみようとする一億人のぼっち諸君も気をつけてほしい。
人種差別は絶対許さないという姿勢は保ちつつも、人種差別とは別の個人的な性質からくる問題と、無意識での差別との差はものすごく曖昧だ。というか境界はないのだろうと思う。おそらく私の場合は、相手側の無意識下での差別的エッセンスと己のコミュ障成分が混ざり合い、食い合わせが悪いのだろう。
とかを考えているが、総合してドイツは移民にとって暮らしやすい国ではあるだろう。今後この考えが変わる可能性も多いにあるが、今のところはそんな感じである。