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鹿と出会う、2度

少し仮眠を取ろうと思ったら、例によって寝落ち。noteは一文字も書けていない。深夜3時、広島のビジネスホテルで私は筆を執ったところ。


仙台藤崎での1週間のポップアップから中2日で広島出張に来た。早朝の新幹線に揺られ午前11時ごろ広島駅に到着。そこから車で30分くらいの場所に移動し(広島の道って、どうしてこんなに運転しにくいの…?ぷんすかぷんすか…)長めのミーティング。夕方ごろに広島駅の方に戻り、早めの夕飯(ランチをスキップしてしまった)の後マーケットリサーチであちこちうろうろ。UFOキャッチャーで軽く汗を流し(?)夜の原爆ドームを眺めて夜9時ごろホテルに戻る。あぁ疲れた、少し仮眠を…の次の瞬間が深夜3時だった。

どうやら私は疲れているようだ。


今日は2度「鹿」に出くわした。


最初の鹿との遭遇はミーティング前に訪れた「毘沙門堂」でのことだった。ナビをミーティング先に設定していたつもりだったが、何を間違ったのかよくわからない行き止まりに案内されてしまった。時間に余裕はあったのでとりあえずどこかに車を止めて確認しようと思い駐車をしたのが、毘沙門堂の駐車場だった。

当然のことながら参拝客用の駐車場なので、私もお参りをすることにした。9月中旬なのによく晴れた、夏のように暑い日だった。急な階段を登り本堂に着く頃にはしっかり汗だくになっていた。

手水舎の前に着いた時、大きな動物が逃げる足音が聞こえた。

鹿だった。手水舎の裏あたりにいたらしい。私から少し離れたところに移動し、こちらをじっと見つめていた。特に怖がっているわけでも、怒っているわけでもなかった。

お参りをした後、斜面の上の方に目をやると、今度は2頭が寄り添っているのを見つけた。1頭はじっと私を見つめ、もう1頭はその周りを、身体を離さないようにしながらうろうろしていた。

私たちはしばらく見つめあっていた。鹿たちは私のことをどう思っているのだろう。闖入者として警戒しているのだろうか、それともお客として歓迎してくれているのだろうか。その表情から読み取る限りにおいては、どちらかというと興味を持っているように感じられたのだがどうだろう。

これが最初の鹿との遭遇。


2度目は広島の市街地だった。「ふみちゃん」というお好み焼き屋さんで早めの夕食をとろうと思い向かっていると、路地裏で「八女茶」の文字を見つけた。

広島で八女茶…はて、どういうことなのだろう…と思いながら、1度は通り過ぎたがやはり気になって暖簾をくぐることにした。

狭い店内には初老の女性がひとり仕事をしていた。

「うちは八女茶しか取り扱っていないんです。先代がどうやらご縁があったみたいで」

なぜ八女茶かを尋ねるとそう返ってきた。

実は私は母が八女の出身だ。それを話すと、きっと盛り上がるに違いない、と思い告げてみると、

「私はほとんど八女には行ったことがないんです。前は主人が行っていたけど、体調を崩してからは足を運んでいないですね」

とのことだった。ただ、私の訪問は嬉しかったようで、彼女もあれこれ話したそうにしていた。

「お茶でも上がって行きますか?」

ぜひいただきたい、と答えた。

「最近はどうやら濃い味が好まれるようで、細かい茶葉が増えましたね。ちょっとどろっとした感じになります」

コクのある温かいお茶は、不思議と清涼感をもたらした。やわらかく、丸く、そして甘いのだが、ピンと張り詰めた苦味があった。

「この前テレビで八女の特集をしていたのを見たら、随分と素敵な場所になっていましたよ」

彼女はいう。

「きっとそれは八女市の方ですね。私の母は八女郡の出身なんです。他の町は八女市と合併したのですが、広川町だけは八女郡に残っていて、そこが母の生まれです。何もないところですよ、八女郡は」

私は続ける。

「そこは『鹿田』という姓が多いんです」

「あの動物の『シカ』ですか?」

「そう、動物の『鹿』に田んぼの『田』です。母の旧姓も鹿田でした」

これが2度目の鹿との遭遇。


この鹿で繋がった偶然に気づいたのは、寝落ちから覚めた時だった。そしてどういうわけか、それについて書きたくなってしまった。なんの“オチ”もないとは分かりつつ、ここまで書き進めた次第。

そういえば「動物占い」の私の動物は「こじか」だった。どうやら鹿には縁があるようだ。


これからどんな鹿と出会うのだろうか。またいい鹿と出会えたらいいな。


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