「御電話」って誰へのお礼?誰への敬語?
「お電話ありがとうございます。株式会社〇〇、筒井が承ります。」
「株式会社☓☓の、山田と申します。」
「はい、本日はどのようなご用件でしょうか?」
ちょっと待った!相手の会社名、お名前をきちんと復唱しなさい!……と、
いやいや、ちょっと待った。もっと前だもっと前。
「お電話ありがとうございます」ってなんだ?
「お電話」とは「電話」に敬語を作る接頭語の「御」をつけて、「お電話」だろう。でも一旦考えたい。「電話」を敬語にするとどうなるのか?そもそも「電話」とはなんなのか?相手の使う道具を指して電話なのか?(スマホ、固定電話、公衆電話etc…)それとも、電話という行為を指しているのか?
今回の「お電話ありがとうございます」は道具に対しての敬意ではないだろう。
冒頭の「電話」とは行為のことである。
さて、「電話」という語は「かける(する)」と「かけられる(かかってくる)」という、能動と受動の2つ使い方ができる。「電話」とは相互行為であり、かけ手と受け手によって成り立つ行為である。
すると、
「お電話」の「御」は相手と自分にも敬語。
「ありがとうございます」は相手と自分にもお礼。
…ということにはならないだろうか?
「電話」という相互行為を表す語は使うべきでないように思える。「入電」のように相手側のみを限定する語を使うべきだ。
今回の正解は「ご入電ありがとうございます」
敬語として「お電話ありがとうございます」は間違ってないのかもしれない。[ご入電〜」の方が間違ってのかもしれない。だが、僕の指摘も我ながら的外れには思えない。これはファミレス敬語ならぬ、ビジネス敬語だ。電話の登場と共に便宜上現れ、そのまま定着した敬語に思われる。
社会に出るにあたって敬語を学ばなくてはいけない。
だが、敬語の型が使えるだけでは駄目だ。
決して敬語自体が大切なのではなく、敬意が大切なのだ。敬語に限らない。その言葉を丁寧に使えるかがその言葉によってコミュニケーションを取る相手を丁寧に扱うかどうかだ。
言葉にこそ最新の注意を払い、
敬意を持って使うべきだ。
そしてしばしば、ビジネス敬語は
フラットさを消滅させていることにも気づく。
確かに、お客様(取引先)はお金を払ってくれるかもしれない。
しかし、対価に足るサービスや商品を提供出来ているのであれば、過剰に敬語を使うべきではないと思う。もっとフラットでなくてはいけない。
対等ではない(相手に不利な)取引をする場合のみ、過剰な敬語が必要になるのではないかと思う。