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HRテック企業のマーケターが人事・HR領域の書籍を22冊読んだ

2024年5月22日に、株式会社PeopleXへ一人目の専任マーケターとして入社しました。「PeopleWork」というプロダクトを中心に、HR領域のビジネスを展開する会社で、私の仕事は各種コンテンツ(サービスサイト、プレスリリース、ホワイトペーパー、書籍)の制作を通じて、会社やサービスのメッセージを世に広めブランドを育てるインハウスエディター的な業務内容ということに、とりあえずはなっています。

入社後すぐに気づいたのが、「自分には人事の知識が足りない」という課題でした。

マーケターにとって顧客理解は何よりも大切です。しかし、われわれのプロダクトを導入いただく人事担当者の切実な悩みがほとんど理解できていませんでした。社内には人事のプロが多数参画しており(参照)、濃いナレッジが溢れ、激しい議論が日々くりひろげられていますが、それらについていくのも一苦労。HR領域の知識不足は、今後確実に業務遂行のボトルネックになると感じました。

また、スタートアップが事業を通じて新しい価値を世に問うていく営みである以上、現在地点をきちんと踏まえておくことは、コミュニケーションの前に最低限求められる前提だと思いました。

ということで、人事・HR領域の書籍を手当たり次第に読んでみました。自分の担当業務の性質上、この二ヶ月の間も、わからないなりに知識を絞り出してアウトプットを量産していく必要がありましたので、行き帰りの通勤時間や業務後、週末の時間に、砂漠で水を渇望するかのようにインプットを積み重ねました。

「編集者は3日で学んだことで10年語れ」。そう言ったのは元「ブルータス」編集長の西田善太氏です。少し時間はかかりましたが、この2ヶ月で人事やHRを取り巻く主要アジェンダを、自分なりに大きく四つに分類し、今後の仕事のベースを築くことができました。

1.人的資本経営の一丁目一番地は「戦略人事」
2.人口減少を前提とした「人材循環社会」の到来
3.DX・SXを背景とした「雇用の構造転換」と「リスキリング需要」
4 HRテックから「Workテック with 生成AI」へ

そして、これらに対応する根幹思想が、PeopleXでも提唱している「エンプロイーサクセス」であるという整理が完了し、かなり見通しがクリアになりました。

読んだ本は以下の通りです。カテゴリごとに紹介します。


人事業務の基本

まずは「人事担当者の仕事」の全体像を抑えるために、「緑本」と呼ばれる定番の一冊を読みました。

人的資本経営・戦略人事

人的資本開示が話題ですが、本質的には開示だけでなく「人的投資」を行って企業経営のあり方を変えていくことが重要と腹落ちしました。また、ふんわりとしか理解できていなかった「戦略人事」という用語についても理解を深めました。

人事制度

人事戦略を具体のレベルに落とし込むと、等級、評価、報酬といった「人事制度」を変えることになるとの理解のもと、その作り方について学びました。

エンプロイーエクスペリエンス・従業員エンゲージメント

「エクスペリエンス」や「エンゲージメント」は対顧客のみならず、対社員においても最近の注目キーワードであり、PeopleXとしても大事にしている考え方です。これらについて、あらためて基礎を理解しました。

HRテクノロジー

PeopleXはテクノロジーの会社ですので、HRテクノロジーの最新動向や、人事×データの領域にて、どんな議論がなされているのかも当然把握しておく必要があります。ここらへんはマーケティング×テクノロジーからの類推も効くため比較的理解がしやすい分野でした。

人材開発・組織開発 

話題のリスキリングや、個々人を対象とした人材開発ではカバーしきれない「組織開発」という分野についても学習しました。

人事の歴史

いわゆる「日本型雇用」が形作られた背景にも興味が芽生え、歴史を遡って学びました。海外との比較の中で、雇用制度と社会がいかに密接にリンクしているか、それを変えるというのはほとんど社会のあり方そのものを変革するのに等しいということを理解し、だからこそスタートアップが挑戦するべきだと確信しました。

以上の22冊になります。

2ヶ月前の自分と比べると、だいぶ知識が増えましたが、学びに終わりはありません。今後も、以下の方法に取り組み、人事・HR領域の学習を継続していくつもりです。

・CHRO、HRBP、人事担当者の方と会う
・Harvard Business Reviewなどの論文を読む
・海外のHR領域のSaaSを深く分析する
・経営や財務など、人事の隣接領域の読書

最後になりましたが、無知な私に効率よく知識を授けてくれた22冊の著者の方に感謝を捧げます。

人事の世界は移り変わりが激しく、テキスト情報に落とし込まれていないナレッジもまだまだたくさんあるはずです。今後は、HR業界のトップランナーの方・実践者の方と広くお話しさせていただき、知見を言語化して世の中に流通させていく活動も進めたいと考えています。こうしたコンテンツ制作活動を通じて、私自身も編集者として、人事領域のエコシステム全体の活性化に貢献できれば幸いです。

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