新宿で息をする方法

土曜日の新宿はお祭りだ。
神輿はないし、出店だってないけど、わんさか、がやがや。
とにかく人と音に圧倒される。
数多いる人の隙間をくぐり抜けながら
色んな人の顔をできる限り見たりするのだけれど、
誰一人として目が合わない。今日は本当に人っ子一人。
それほどにこの街では刺激が多く、忙しないらしい。
僕はそんな人たちの顔を見ながら歩くことで新宿でも息が出来ている。ある意味彼らに助けられているのだ。
意識を自分以外に向け、想像をふくらませる。
あの人は誰を待っているのか、なぜ新宿なのか、
なんであんなに不機嫌そうなのだろう。
新宿は色んな人がいるから退屈させない街でもある。
歌舞伎町なんて行ったらもっと楽しそうだ。

世の中は三連休とのこと。そりゃあお祭りか。
僕は祭りには向かない真っ黒な服で新宿駅をのぼって紀伊國屋書店へと向かった。

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おわり