営業活動についての新解釈『セールスプロセス』
営業活動において、パイプラインとも言いますが、プロセスをしっかり定義することが大事です。
本稿は、営業活動におけるパイプライン、「セールスプロセス」についてまとめました。
一見するととても煩わしく感じられるかもしれません。慣れないうちは負荷に感じるかもしれません。ただ、このフローが習慣化すると、組織として強固な体制が構築できます。
前提
最近の時流として横文字が流行っています。基本的には分かりやすい文章を心掛けているのですが、省略しやい為、名称は横文字を採用しました。
そして、セールスプロセスは扱うサービスや商材、体制によりカスタマイズが必要です。あくまで汎用的な内容としていますので、予めご了承ください。
イントロダクション
セールスプロセスとは、営業活動のステップを現したものです。
プロセスを明確にしておかなければ、どの様なルートを通ってきて成功か失敗か、という判断も出来ません。
それぞれのプロセスを明確にし、長期的な視点で商談ができるようにするには、セールスプロセスは欠かせないものです。
セールスプロセスの概要
セールスプロセスとは、いわゆるパイプラインとも言えます。
営業活動におけるステップを指すものです。
営業活動の結果を以て、常に改善していくことが必要です。
セールスプロセスの利活用方法
各プロセスの目的と共に、ステップを進める条件を同時に定義します。
条件を満たすためには、顧客からのフィードバックを基にします。
基本となるプロセスを遵守し遂行しつつ、時にスパイスとなるプラスαの提案を加え、セールスプロセスを昇華させましょう。
セールスプロセスの効果
滞留している案件数量から営業活動の障害を発見できます。
滞留時間から特定案件の温度感を把握できます。
サービスや商材の導入に関する最適な提案をパターン化できます。
営業担当のノウハウを高水準で平準化できます。
セールスプロセスの解釈
ここからは具体的なセールスプロセスの解釈についてまとめます。
Customer Survey(顧客分析)
商談準備の一環です。
アポイント取得後に行う活動です。顧客の情報を調査することが大事です。
一般的な3C分析を対顧客として把握することは商談において役に立ちます。
Customer(市場・顧客)
商談顧客がどの市場をターゲットにしているか、どの様な顧客ニーズに応えるのか?
ハイレンジで高品質、又はローレンジで安価なのか等
バーティカルSaaSの場合は市場は定まっている為、除外
Competitor(競合)
商談顧客の競合となる企業は?
企業が特定できれば、社内での情報がないか確認したり、接触歴があれば、その内容を確認し活用できます。
Company(自社)
顧客規模や創業時期、所在地などの基本情報などを把握します。
自社サービスの費用感に見合うかどうか等
営業によっては、事前準備を行わず、経験を頼りに商談に挑む場合が散見されます。
プロセスに組み込むことで、実施することを推奨します。
追加で以下要素も確認することが望ましいです。
Temperature(顧客の温度感)
アポ取得時のフィードバックを基に、サービスや商材に対する興味度合いを把握します。
Position(役職)
良い悪いではなく、役職を把握することで、商談準備に活用できます。
役職が高ければ、事業に関する情報を細かく把握し、役職が無ければ、担当者の役割を確認することが必要になります。
Opening Interview
最初の打ち合わせ、商談の見極めを行うフェーズです。
商談の前には、必ずアジェンダを作成しましょう。顧客分析の3C分析やその他情報を把握することで、商談の流れを見定めることができます。
経験を積めば、時間を掛けなくても自然と流れが浮かぶようになります。
また、常に流れを意識した商談を積み重ねれば、パターンが見えてくるので、商談をスムーズに進められます。
主な流れ
会社紹介
一番初めの提案です。会社案内を侮ることなかれ。実績や安心感を感じてもらうことで商談に対する顧客側の姿勢も変わります。
スモールヒアリング
サービスデモンストレーションなどを実施する場合は、デモを活かすための情報を取得しましょう。そこで得た情報を基に、用語をデモに組み込むことで具体的なイメージを与えられます。
サービスデモンストレーション
SaaSの場合は、必ず実施することになるでしょう。デモに関するスクリプトなどはしっかり定めて、伝える内容にブレを生じさせないようにしましょう。
ヒアリング
デモを受けて、顧客の求める課題などを確認しましょう。
BANT+提案サービスの競合情報を極力把握することが望ましいです。
特にNeedsと競合サービス情報はMUSTです。
デモを実施して、「とても使いやすい」という評価に惑わされないようにすることです。一定の導入が進んでいるサービスは、使いやすいことは当たり前ということを認識しましょう。
本当に興味関心があれば、具体的な機能に対する評価と共に、顧客内で利用するイメージなどの話が出てくることが確証の1つです。
クロージング
商談の見極めを行うフェーズです。注意したいのは、顧客自らが次のプロセスへ進める意思表示をする時です。実際に社交辞令であることも往々にしてあることを認識しましょう。
宿題となる要素があれば、次のステップに進めます。
興味関心度合いが低い状態であれば、ナーチャリング対象として、別のアプローチが必要です。
「社内で検討します」という言葉が出てきたら、見送りの可能性が高いと思います。(中には本当に検討して進捗することはあるので、あくまで一例です)
Account Planning
結果までのストーリー策定します。
最初の打ち合わせを経て、見極めを行った上で、プロセスが進むことが見えた段階で、受注までのストーリーを立てます。
初期打ち合わせ段階で、顧客側の意向や温度感、課題感を踏まえて、結果時期までを見定めます。
さらに、結果が出るまでの必要なプロセスやタスクを洗い出すことが大事です。
注意として、この段階で立てたものは商談進捗に合わせて調整が必要になりますので、深く考えすぎず、ラフな感じで問題ありません。
経験を積むことで、ズレた要因を振り返り分析することで、徐々に制度が高まります。
Fact Finding
2回目の打ち合わせ、課題の確認、解決方法の創出するフェーズです。
まず、2回目の打ち合わせに同意してもらえることは、確実にステップが進むポイントになります。
初回商談で宿題があればスムーズにアポイントも取れます。
宿題が無かったとしても、サービスに対する興味関心をフックに、簡易提案などを持つことで打ち合わせの機会を得て、課題の深堀をおこないましょう。
Fact Findingでは、顧客の課題確認、又は潜在課題を顕在化させるプロセスになります。明確な課題を解決する手法などのすり合わせも必要です。顕在課題のみならず、顧客目線で潜在的な課題を掘り起こし、顧客側の反応が良い場合は、競合他社との差別化にもなり得ます。
場合によっては、このFact Findingを複数回実施することもあります。
Test Closing etc
課題解決の意識確認するフェーズです。
サービスによっては、トライアルなどを実施する場合は、ここのプロセスに含まれます。
ここでは、Fact Findingを実施した結果、得られた課題解決方法についてすり合わせをするためのプロセスです。
顧客側の立場や決裁権有無により、内容は変わってきます。
具体的な提案がFITしていそうかどうか?提案の方向性が合っているかどうか?などを確認します。
Presentation
提案資料作成含む、プレゼンのプロセスです。
大規模プレゼンなどであれば、提案資料作成など、準備に時間を要します。しっかりとした段取りで、ロールプレイングなども忘れずに実施しましょう。
Closing
ここからが本当のスタートです。自社としては、プレゼンまで長いプロセスを実行しているので、プレゼン規模が大きければ大きいほど、ホッとしてしまいそうですが、顧客目線で考えたら、ここからが本番になります。
顧客目線で寄り添う形で進めることが大事です。
自社の提案が良かったかどうか?を聞きすぎるというのはよくありません。
主に提案した内容に過不足が無かったか?比較するうえで障害となっている部分が無いか?などを確認しましょう。
公共団体の場合は、評価軸が明確なのでそこまで時間が掛からないことが多いです。
しかし、一般企業の場合、RFPを作り慣れていなかったり、往々にして選定を頻繁に行うことがければ、比較方法などが社内で定まっていない場合もあるので、しっかり寄り添いフォローしましょう。
Result
結果もプロセスとして組み込みます。
受注失注問わず、結果に対しての分析が必要だからです。
受注
喜ぶだけということもありますし、深く理由を聞かないケースすらあります。契約直後は「総合的に」と言われることはありますが、その後のフォロー段階などで確認することは忘れないようにしましょう。
失注
失注してしまったら、次に行こう!として振り返らないことがあります。失注した理由を深くヒアリングしないこともあります。
しかし、各プロセスに工数を掛けてきた以上、その理由を聞けないとすべて水の泡になってしまいます。失敗は成功の基と言われるように、失注理由は今後の営業活動に活かせます。
まとめ
実際の現場で利活用するにはプロセスを進めるための条件が重要になってきます。プロセスの中間になるFact Finding~Presentationの間はサービスや商材により調整は必要です。
ただ、細かいプロセスを設定することで、営業活動における障害が発見出来たり、必勝パターンを誰でも実行できるようになります。
プロセスを遂行することに注力すればよくなります。
是非お試しください。