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【25億円調達】ライフイズテックがEdTechで変える教育の未来(前編)
はじめまして、ライフイズテック代表の水野雄介と申します。
このたび2021年9月にシリーズDで国内外の機関投資家から25億円(累計55億円)の資金調達をいたしました。
今、教育界は、Society5.0に向けた人材育成の必要性と、テクノロジーの進化という機会が相まって、150年に一度(明治維新以来)の大変革期を迎えています。この未曾有の追い風の中で、僕たちライフイズテックは何に取り組み、どんな社会を作ろうとしているのか、どんな戦略で何に投資していくのか、お伝えできればと思います。
とにかく声を大にして言いたいのは、「教育をやるなら今!」ということ。志高く優秀な人材に一人でも多く教育界の門を叩いていただけることを、そして願わくばライフイズテックで一緒に働けることを願っています(採用ポジション一覧はこちら!)。
0. はじめに
思いの丈が溢れるあまり、予定の倍くらいの量になってしまったので(笑)、前編・後編に分けてお届けします。
前後編を通した内容は以下のとおりです。ぜひ両編ともお読みいただければ幸いです。
(前編)
1. 僕らが提供していきたい価値
2. ライフイズテックの現在:EdTech SaaS
3. 教育市場の国内外の状況
(後編)
4. 2020年代にEdTechで変えたい教育の未来8ヶ条
5. 中期戦略:OMOとテックカンパニー化
6. 一緒に働きたい人
7. 最後に
1. 僕らが提供していきたい価値
僕たちは何のために働くのか。それは次世代の社会を少しでも良いものにして、これからの子どもたちを幸せにするためだと思っています。そして教育はその中核となる営みのひとつです。
その中で、ライフイズテックは何のためにあるのか。誰に何を提供していきたいのか。それをお伝えするには、まずこちらをご覧いただきたいと思います。これは去年の夏、IT・プログラミングキャンプに参加した中学2年生のお母様からいただいたメールです。ここには僕たちが中高生に提供したい価値が詰まっています。
ライフイズテックのミッションは、『中高生ひとり一人の可能性を、一人でも多く、最大限伸ばす』です。これからの時代、テクノロジーの素養を身につけているかどうかは、その子の将来の可能性や幸せになれる確率を左右する重要なファクターになります。だからこそ、すべての中高生がその力を身につけられるように、前述のITキャンプや通学型のスクール、さらには学校向け教材等を通じて、プログラミング教育やデータサイエンス・AI教育のサービスを提供しています。
プログラミングやAIは、彼ら・彼女らの人生を潤す手段の一つです。「こんなのあったら楽しいかも、便利かも」「誰かの役に立てるかも」と思いながら、自分のアイデアを形にし、公開する。それがユーザーからの感謝の気持ちになって返ってきて、自分自身も幸せになる。このループを作りたいのです。
その過程の中で、夢や目標を見つけ、仲間ができて、目指したい先輩にも出会い、色々な場所に行き、学ぶことが楽しくなり、自ら問題解決できるようになり、自分の人生を自分で切り開いていけるようになる。そんな成長のお手伝いが少しでもできればといつも考えています。
プログラミングやAIを使って自ら問題解決ができる、それはすなわちイノベーション人材(の卵)に他なりません。ライフイズテックは2025年までに『イノベーション人材を120万人育てる』ことを事業目標と定めています(2025 Vision)。これは中高生人口の約20%に当たり、日本の将来に対してインパクトのある数字だと考えています。
2. ライフイズテックの現在:EdTech SaaS
次に、ライフイズテックの事業の現在地についてです。
(1) プログラミング教室からのスタート
ライフイズテックは2010年創業、いわゆる「プログラミング教室」から始まった会社です。これまでキャンプとスクールを合わせて延べ52,000人以上の中高生に参加いただき、日本最大規模となっています。
中高生にプログラミングを教えるのは「メンター」と呼ばれる大学生スタッフです。「Life is Tech ! Leaders」というメンター育成プログラムには毎年500人近い応募があり、そこから100時間に及ぶ研修を経て、約150名が採用されます。最近ではその30〜50%が元メンバー(キャンプ・スクール参加者)で、「中高生時代に得たものを還元したい」と戻ってきてくれる好循環が出来ています。また大学を卒業して社会人になった後も、副業でスクールの講師を手伝ってくれるメンターOB/OGもいます。
ちなみにライフイズテックのメンターからは、LOVEGRAPH、SHE、villio、ウゴク、Ubie、Parame などの起業家も輩出しているのですが、その話はまた別の機会に。
(2) 公教育への拡張 / EdTech SaaS
そんなキャンプ・スクールから始まった会社ですが、この2年で学校向けのクラウド教材「ライフイズテック レッスン 」がSaaSモデルで大きく伸張しました。現在、300以上の自治体で、1,650校・32万人以上の中高生にご利用いただいています。
ここ2年は倍々でシェアを伸ばしており、2021年9月期で約11%(EdTech教材導入校では76%)となっています。
プログラミング必修化はみなさんご存知かと思いますが、実は学校現場では教えられる先生が足りていません(新しい分野なので当然ですよね)。
「ライフイズテック レッスン」では、画面上のキャラクターがコードの説明をしてくれるので、先生は「教える」よりもファシリテーションや個別サポートに注力でき、生徒は個別最適な学びが可能になっています。
また従来の学校教材分野ではあまり見られなかったCS (Customer Success) の手法を導入し、先生向けのプログラミング研修を提供したり、先生が授業を行いやすいよう、指導案や授業用スライド、コード早見表、進捗管理画面等、先生向けツールキットをあわせて提供しています。
裏側のプロダクト開発にもチャレンジがあります。ライフイズテック レッスンでは、生徒がコーディングを行う開発環境としてAWS Cloud 9 Editorを導入しているのですが、その実装にあたって本国 (US) のCloud9チームと打合せをした時のことです。日本中の中高生、数十万〜数百万人の利用を想定していると伝えると「そんなクレイジーな使い方は聞いたこともない」と驚かれながらも、「そんな活用ケースがあるのであれば、仕組みも含めて一緒に作っていきましょう」と支援を取り付けることができ、現在は事業性を担保できる仕組みを構築できています。
AWS様との取組については、先日の「AWS Summit Online 2021」でサービス開発本部長の奥苑がお話させていただいた記事がありますので、少し専門的な内容にはなりますが、よろしければご覧ください。
こうして「プログラミング教室」から「EdTechの会社」になり、できることも少しずつ増えてきました。
3. 教育市場の国内外の状況
ライフイズテックのこれからを説明する上で、国内外の教育市場や環境変化をまず整理したいと思います。
(1) 海外市場の状況
海外でもコロナを機に教育DX領域に注目が集まっており、EdTechユニコーンがますます増えています。
インドではEdTech最大手のByju’sが300億円超の資金調達を実施し、時価総額が2兆円に達しました。IPO時には評価額5兆円を超えるとも言われ、インドでは最高評価額のスタートアップとなっています。
また同じくインドのEmeritusは、世界最大級のプログラミングキャンプを運営する米iD Techを200億円で買収するとともに、ソフトバンク・ビジョン・ファンド等から700億円を調達しました。
(2) 国内市場の状況
まず市場環境から見ると、海外の機関投資家も含め、日本の教育市場への注目が高まっているのを感じます。atama+さんの50億円の調達もその現れです。全員が同じ場所で、同じ黒板を見て、同じペースで学ぶという、150年変わらなかった公教育が、ついに変わりつつあるという期待感があるのだと思います。
具体的にはトリプルで物事が変化しています。
1つめは、文科省による「GIGAスクール構想」です。小・中学生一人一台のパソコンやタブレット端末の配布(先日高校生にも、と経団連からも提言がありました)と、全学校へのWiFi環境整備による個別最適学習への挑戦が2020年から始まりました。あわせて経産省の「未来の教室」や、デジタル庁の開設も進んでいます。
2つめは、2020年から始まった「学習指導要領の改訂」です(2020年度:小学校、2021年度:中学校、2022年度:高校で順次改訂)。指導要領は10年ごとに改訂されるのですが、そのタイミングが重なりました。
この改訂のポイントは履修内容以上に「学びの質」が変化することです。これまでの一斉指導で受け身の知識習得偏重の学びではなく、主体的・対話的・進化(創造・探究)といった質の高い学びをいかに実現するかがポイントになっています。
そして、3つめが「コロナ禍」です。大変なこと、つらいこともたくさんありましたが、コロナによってこれまでの常識が大きく変わった、変わらざるを得なかったのは、教育界も同じです。
(3) プログラミングとデータサイエンス・AIへの注力
前述した学習指導要領の改訂に加え、2025年からは大学入学共通テスト(旧センター試験)にも「情報」が正式追加されることが決定しました。これを受け、国立大学協会も英語や数学と同じように「情報」を課すことを検討しており、主要教科はこれまでの5教科から「情報」を含めた6教科になります。特にプログラミングに加えて、データサイエンスも出題されることになる点は大きな変化で、内閣府も「数理・データサイエンス・AI」の基礎を年間100万人(高校卒業者全員)が学ぶという方針を示しています。
これは世界的な流れで、どの国でもここ10年くらいの間にプログラミングが必修化が進んでいますし、データサイエンスを学ぶ機運も大学を中心に世界中で広がっています。
第4次産業革命やAIの台頭。GIGAスクール構想や学習指導要領の改訂、情報の受験科目化。これらの大きなうねりが、コロナ禍によって加速され、国内外で教育のDXが大きく進みつつあります。
後編に続きます
ここまでライフイズテックの提供価値、現在地、市場環境のまとめまでを前編として書かせていただきました。
引き続き後編にて、以下4〜7もご覧ください!
4. 2020年代にEdTechで変えたい教育の未来8ヶ条
5. 中期戦略:OMOとテックカンパニー化
6. 一緒に働きたい人
7. 最後に
ライフイズテックの未来の展望をたっぷり書いております。ぜひ!
(続く)
ライフイズテック代表
水野雄介
2021.10.26