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彗星の如くはじまった衆院選の期日前投票に行ってきた
このところ話題の紫金山・アトラス彗星。ネット上では、長い尾を伴って日没後の太陽を追う素晴らしい姿をとらえた写真が多数アップロードされている。これは肉眼でも存在がわかる大彗星だと、元天文少年のわたしは心躍らせて、天気の良い日の日没後には西の空を眺めるようにしていた。
わたしの住む地域からは西の方向は東京都心にあたるので、街明かりが影響するのか、暗い星はあまり見えない。最大でも2等級と言われている紫金山・アトラス彗星は、面積のある彗星のことを考えるとたぶんギリギリ見えるかどうか。なんとなくあのあたりに居るのかな……と、どうにも心の眼で見えたような見えないような気分だった。
日没後に散歩がてら出かけていると、日中はまだ暑さを感じる日が多いけれど、ふっと香るキンモクセイが秋を思わせる。西の空の低いところに輝くはうしかい座の一等星アークトゥルス。やはり季節は進んでいる。そのアークトゥルスと、ひときわ明るい宵の明星とのあいだにあるはずの彗星。ぼんやりと見えるような気がする、そう思えば尾が延びていそうだ、撮影すれば写るかもしれないと、何度かスマホやiPad miniで撮影を試みた。しかし、そう上手くゆくはずもなく、それらしきものはなんにも写っていない。写真を拡大しては、その結果に落胆するばかり。でも良いのだ、この眼では、なんとなくでも確かにそのぼんやりとした姿を見て撮影したのだからと、自分に言い聞かせている。
日曜日は雲ひとつない快晴。これはラストチャンスとばかり、西の空を見にでかけた。本noteの見出し画像は、その日没後の西の空を撮影した写真。集合住宅のあいだに見える光の点が金星。彗星があるはずの位置は画面の中央右寄り上部。肉眼であれに違いないと思って撮影したのに、拡大してもわからない。
彗星に限らず、わたしが見ているつもりのものは、他の人にも見えているとは限らない。そんな現実を思い知らされたような気がしている。
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「彗星の如く現れる」というのは、突然華やかにスターダムに出現する人物なんかに対して使われる表現だけれど、同様の表現を外国語でされるのは寡聞にして知らない。もしやこれは日本語ならではの表現なのか。だとすれば日本人は天文現象をそれだけ身近に感じてきたのだろうか。陰陽師などの影響もあるかもしれない、とそんな妄想をする。“彗星”はその見た目から大和言葉で“箒星”と呼ばれてきたから、かなり古くから認識されていたのではないだろうか。
戯言はさておき、「彗星の如く」を思いもよらぬ急なことの例えとするなら、今月27日の日曜日に予定されている衆議院議員総選挙を連想する。就任したばかりの石破首相はしばらく衆議院の解散はしないと言っていたけれど、結局すぐさま解散し、この度の総選挙となった。
報道のトーンも、どことなく前政権までとは違う感じがして、野党に勢いと存在感がある。直感でしかないけれど、なんだか大きな変化の兆しがあるように思える。
選挙当日は、わたしも妻もどうにも動かせない用事があり、期日前投票を利用することにした。投票についての書類が届いていた土曜日、早速、散歩がてら早速最寄りの期日前投票所まで赴いた。
我が家では、毎回選挙権の行使はしている。申し合わせたわけでもなく、それぞれの投票内容については触れない暗黙のルールがある。以前、子供たちがおそらく興味本位で「お父さんとお母さんは誰に入れたの?」と訊いたことがあって、すかさず妻が「それは言わないことにしてる」と説明していて、内心ほっとしたことがある。それまでも夫婦で選挙の候補者や選挙公約について話したことはあっても、投票内容にまで話したことはなかったからだ。子供が無邪気に訊いたところで、その暗黙のルールを破ることはない。
論点ずらしにはなってしまうけど、その時、わたしは「投票しないのは組織票をもつ候補者に投票するのと同じだから、それで良くないなら、自分の意見に一番近い意見の候補者に入れるようにしている」と子供たちに説明した。早いもので、長男はあと数年で選挙権を持つ年齢。彼にとって、この衆院選は民主主義と選挙権について考える絶好の教材になるかもしれないなと思っている。
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政治的な立場については、わたしも妻もいわゆる無党派だ。投票に際しては、その時々で最も支持できる候補者に投票するようにしている。そして選挙の度に考え、学び、自らの政治的な立場を再確認してきた。選挙権を得て早くも30年。明確な支持政党がない自分は、最も選挙結果を左右できる立場なのではないかと考えている。
最近は、選挙のたびにネット上で無党派層に向けたサービスが公開されることが多い。投票マッチングと呼ばれるものがそれ。報道機関が、おそらく調査を兼ねてやっているものがいくつもある。今回も、無党派のわたしは以下の投票マッチングをやってみた。20問の質問に答えると、どの政党の政策と意見が近いかを教えてくれる。
結果は納得のゆくものだったけれど、新たな気づきもあった。
比例代表では投票マッチングで最もパーセンテージが高かった政党を選び、小選挙区では、マッチングの上位3政党から個々の政策表明を鑑みて選んだ。
衆議院議員総選挙にあわせてもうひとつ、最高裁判所裁判官国民審査もある。形骸化していてこれまで国民審査で罷免された裁判官は存在しないけれど、罷免すべきという票が過半数になれば、その裁判官は30日後に罷免されるというものだ。
以前、捻くれ者のわたしは全員に×印を付けていた。×印が過半数に達することなどないのは明らかだったから、せめてもの抵抗の意思表示のつもりだった。
最近は、いくつかの最高裁の判決に関する報道から思うところがあり、無条件で全員に×印をつけることは無くなった。いまや、ネット検索で国民審査の対象の裁判官の過去の実績を調べることができる。調べ出したらきりがないから、いくつか気になる裁判の結果を調べて納得できない判決を出した裁判官を見つけるようにしている。今回は、6名中2名に×印をつけた。この国民審査にも、政党の投票マッチングみたいにして簡単に選べるようになれば良いと思う。
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わたしは期日前投票を終えたので、あとは来週その結果を見るのみだ。選挙前の最終週、各政党の選挙活動も報道も活発化するのは確実。投票日に向けての駆け引きもあるし、新たなニュースが報道されるかもしれない。
紫金山・アトラス彗星は見えたような見えなかったような観察しかできていないけれど、さて、衆院選は彗星の如きインパクトとなるかどうか。