医療経済学の「逆選択」ってなに?
以前の記事(「なぜ医療に市場原理は通用しないのか?」)で書きましたが医療保険で市場原理が通用しないのは、モラル・ハザードと逆選択の2つが主な原因です。
モラル・ハザードに関しては以前のほかの記事(「モラルハザードとは、コンビニ受診のことである」)で説明しましたので、今回は逆選択に関してご説明します。
逆選択とリスク選択は一枚のコインの裏表であると考えることができるので、まずはこの2つを一緒にお話して、そのあとに逆選択にフォーカスしてもう少し詳しくご説明しようと思います。
逆選択とリスク選択は一枚の「選択」という名前のコインの裏表
逆選択(Adverse selction)とは、ある保険料において、不健康な人(高リスク群)の方が健康な人(低リスク群)よりもよりカバーの手厚い医療保険を購入すると言う現象のことを指します。
※厳密な定義では、逆選択とは高リスクの人の方が「より多い量の医療保険を購入する」ということになっていますが、一人の人間が3つも4つも同じ保険のプランに入っているわけではないので、「より手厚いカバーの保険プランを購入する傾向にある」というより実状に近い表現に変えました。
これは医療保険の購入者は自分の健康に関する将来のリスクをある程度理解していますが(不摂生な生活をしている、運動をしていない等の情報)、それと比べると保険会社(=保険者)が持っている保険購入者の健康リスクに関する情報は少ないために起こります。
一方で、リスク選択(Risk selection)とは、保険会社が加入者をえり好みして、低リスクの人達だけに保険プランを売る現象のことを指します。
つまり、情報の非対称性を利用して、保険の購入者がえり好みをすることで得をして保険者が損をするのが逆選択で、逆に保険者がいいとこ取りをすることで保険者が得をして保険の購入者が損をしてしまうのがリスク選択です。
ここから先は
¥ 300
Amazonギフトカード5,000円分が当たる
ご購入ありがとうございます。この記事が、あなたにとって有意義なものであれば幸いです。引き続きよろしくお願いいたします。