【開催報告】法政大学国際日本学研究所公開研究会「石橋湛山とトランスナショナリズム」
本日、18時30分から20時30分まで法政大学大内山校舎5階Y506教室において、法政大学国際日本学研究所(HIJAS)の公開研究会「トランスナショナルな日本」の第3回が開催されました。
今回は、「石橋湛山とトランスナショナリズム」と題して石橋湛山とトランスナショナリズムの関係について私がお話する機会をいただきました。
講演の中では、「リベラリスト」「リベラル保守」といった評価が通説となっており、「ナショナリスト」という側面は重視されていない石橋湛山について、戦前の言論人としての活動の中でも代表的な議論であるいわゆる「小日本主義」を手掛かりに、一貫して日本の国家としての利益の極大化を追求した所説が「自国中心の態度」としての「ナショナリズム」であることを確認しました。
その後、「人、モノ、情報、想像力の主権国家を超えた拡張と移動」としての「トランスナショナリズム」の概念を考える際、徹底して日本の利益の追求した石橋湛山が、主権国家の内側にあるはずの植民地の放棄という「ナショナリズム」の枠組みを超える議論を行ったこと、さらに植民地の放棄が国際社会における日本の道徳的価値を高めるという議論の枠組みを明らかにしました。
そして、石橋湛山は「トランスナショナリズム」の概念こそ知らなかったものの、その議論は「トランスナショナリズム」が提起するあり方の一つの様態を示していたこと、さらに石橋湛山の言動を「トランスナショナリズム」の視点から分析することは、石橋湛山研究の真価だけでなく「トランスナショナリズム」の研究の一層の発展にも資する可能性があることを指摘しました。
石橋湛山研究において、石橋湛山とトランスナショナリズムの関係を検討した最初の報告となった今回の研究会の場を提供して下さった安孫子信先生、コメンテーターを務めてくださり、私の研究を「信念、理念、理想と現実社会の関係を探求するもの」と評して下さった田中優子先生、そして司会進行役を担当された髙田圭先生のご尽力感謝するとともに、HIJASの皆さんの周到な準備に御礼申し上げます。
<Executive Summary>
HIJAS' Public Research Meeting "Ishibashi Tanzan and Transnationalism" (Yusuke Suzumura)
The Hosei University Research Center for International Japanese Studies (HIJAS) held the public research meeting "Ishibashi Tanzan and Transnationalism" at Hosei UIniversity on 15th December 2023. In this time I speak the relationships between Ishibashi Tanzan and transnationalism.