鈴村裕輔

名城大学教員、法政大学客員研究員。主な専門は比較思想、政治史、文化研究。 / Dr. Yusuke Suzumura is an associate professor of Meijo University. https://researchmap.jp/suzumura/

鈴村裕輔

名城大学教員、法政大学客員研究員。主な専門は比較思想、政治史、文化研究。 / Dr. Yusuke Suzumura is an associate professor of Meijo University. https://researchmap.jp/suzumura/

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最近の記事

アーロン・ジャッジ選手と大谷翔平選手のMVP受賞を祝福する

現地時間の11月21日(木)、2024年の大リーグのMVPが発表され、アメリカン・リーグがヤンキースのアーロン・ジャッジ選手、ナショナル・リーグがドジャースの大谷翔平選手が受賞しました。ジャッジ選手は2年ぶり2回目、大谷選手は2年連続3回目の受賞でした。 ともに満票での選出で、大谷選手は自信の持つ大リーグ記録を更新する史上最多の3回連続満票となりました。また、両リーグのMVPが満票で選ばれるのは、今回が初めてとなります。 ジャッジ選手も大谷選手も両リーグで本塁打と打点の2

    • 【追悼文】谷川俊太郎さんについて思い出すいくつかのこと

      去る11月13日(水)、詩人の谷川俊太郎さんが逝去しました。享年92歳でした。 谷川さんが詩人として一家をなすとともに国際的な名声を博すだけでなく、翻訳家、作詞家、あるいは映画監督として多岐にわたる活動を行われたことは周知の通りです。 その様な谷川さんの作品を初めて知ったのは、翻訳を手掛けられた絵本『スイミー』(好学社、1969年)で、私のかかりつけ医であった中野小児科の待合室で手に取ったのが最初でした。 その後は『鉄腕アトム』や『ビッグX』などのテレビアニメの主題歌を

      • 【追悼文】阿川尚之先生について思い出すいくつかのこと

        去る11月12日(火)、阿川尚之先生が逝去されました。享年73歳でした。  それまでご著書を通じて存じ上げていたのみであった阿川先生は、私が2011年9月から2012年8月までサントリー文化財団の鳥井フェローを拝命していたことから、財団の催事でお姿を拝見する機会がしばしばありました。  いつも温和な様子で周囲に接せられ、時に愉快な話で人々の頬を緩ませた阿川先生には、一度だけご挨拶することがありました。 フェローであったことをお話したところ、「そうでしたか、それは良い経験

        • 兵庫知事選挙の結果はわれわれに何を教えるか

          昨日兵庫県知事選挙が投開票され、前職の斎藤元彦候補が2回目の当選を果たしました。 斎藤候補は今年9月にパワーハラスメント疑惑などを内部告発された問題で県議会から全会一致で不信任決議を受けて失職し、出直し選挙に臨み当選しました。 こうした経緯から、不信任決議を受けて失職した前職が当選することを疑問視する声もあります。 それでは、このような意見は適切なのでしょうか。 確かに、県議会が斎藤氏に対する不信任案を可決したのは事実です。 これは、斎藤氏に内部告発への対応の方法に

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          ワールドシリーズのテレビ視聴率の上昇を手放しで喜べない理由

          去る11月5日(火)、日刊ゲンダイの2024年11月6日号23面に連載「メジャーリーグ通信」の第175回「ワールドシリーズのテレビ視聴率の上昇を手放しで喜べない理由」が掲載されました[1]。 今回は、2024年のワールドシリーズの視聴者数が7年ぶりに高値を示したことが持つ意味を米国におけるテレビの視聴行動を通して検討検討しています。 本文を一部加筆、修正した内容をご紹介しますので、ぜひご覧ください。 ワールドシリーズのテレビ視聴率の上昇を手放しで喜べない理由 鈴村裕輔

          ワールドシリーズのテレビ視聴率の上昇を手放しで喜べない理由

          第10回クライナー賞受賞者の決定

          去る11月1日(金)、法政大学国際日本学研究所(HIJAS)が第10回ヨーゼフ・クライナー博士記念・法政大学国際日本学賞の受賞者を発表しました。 今回は、フィン・ユルゲン・ホルム氏(テュービンゲン大学)が受賞しました。これで、クライナー賞の受賞者は3年ぶり5人目となります。 ホルム氏の受賞作はケンブリッジ大学出版から2023年に出版した"The Gods of the Sea"です。 本書は、日本の捕鯨について東北地方に着目し、かつてはクジラを海の神である恵比寿の化身と

          第10回クライナー賞受賞者の決定

          【新刊書籍案内】安田裕貴『「家紋の国」はいかに西欧化したのか』(ブイツーソリューション、2024年)

          先日、安田裕貴先生がご新著『「家紋の国」はいかに西欧化したか』(ブイツーソリューション、2024年)を敢行されました。 本書は、欧州以外で唯一紋章文化を持つとされる日本が、「家紋の国」としていかにしてその紋章文化を発展させたかを諸外国の西欧化の過程を参照し、豊富な図像資料とともに明晰に解き明かす好著です。 私も僭越ながら帯に推薦の一文を寄せる機会に与りました。 なお、本書はアマゾンでも購入できますので、ぜひ手に取ってお読みください。 *「家紋の国」はいかに西欧化したの

          【新刊書籍案内】安田裕貴『「家紋の国」はいかに西欧化したのか』(ブイツーソリューション、2024年)

          民主党は「トリプルレッド」をいかに受け止めるべきか

          11月5日(火)に行われた米国の連邦下院選挙は、共和党が過半数の議席を獲得することになりました[1]。 これで、共和党はすでに結果の判明している大統領選と連邦上院選と合わせ、下院でも多数党となり、大統領職と上下両院を制するいわゆる「トリプルレッド」を実現しました。 今後、来年1月に発足するドナルド・トランプ政権の政策遂行の余地は広まり、トランプ次期大統領はより自由度の高い政権運営が可能になります。 今回共和党が「トリプルレッド」を達成した背景には、2021年1月以来のバ

          民主党は「トリプルレッド」をいかに受け止めるべきか

          石破政権を待ち受ける3つの可能性

          11月11日(月)に衆参両院の本会議で行われた首班指名選挙において、自民党の石破茂総裁が再選を果たし、第103代内閣総理大臣に選出されるとともに、第二次石破内閣が発足しました。 1994年6月29日の村山富市首相以来約30年4か月ぶりに決選投票が行われ、1979年11月6日の大平正芳首相以来45年ぶりに過半数未満で当選を果たしたという事実は、第二次石破内閣の権力基盤の脆弱さと石破首相が政権運営に苦慮する姿をわれわれに伝えます。 それでは、今後の石破政権の行方はどのようなも

          石破政権を待ち受ける3つの可能性

          30年ぶりの首班指名選挙の決選投票に勝利したのは誰か

          昨日第215回特別国会が召集され、10月27日(日)に投開票が行われた第50回衆議院総選挙を受けた首班指名選挙が行われました。 その結果、衆議院において第1回目の投票で過半数を獲得した候補者がいなかったため決選投票が行われ、自民党の石破茂総裁が立憲民主党の野田佳彦代表を破って再選され、第103代内閣総理大臣に就任するとともに第二次石伴内閣が発足しました。 今回は総選挙において単独で衆議院の過半数を確保した政党がなく、公示時に政権党であった自公両党を合計しても過半数を下回っ

          30年ぶりの首班指名選挙の決選投票に勝利したのは誰か

          【参加報告】第7回アルザス・新世代ワークショップ「トランスナショナルな日本の空間」

          来る11月8日(金)から10日(日)まで第7回アルザス・新世代ワークショップが開催されました。 会場は恒例のアルザス欧州日本学研究所(CEEJA)であり、今回の題目は「トランスナショナルな日本の空間」でした。共催は法政大学国際日本学研究所(HIJAS)と「国際日本研究」コンソーシアム(CGJS)でした。 ワークショップでは基調報告2件と11件の研究報告が行われ、コメンテーターとしてオンラインで参加した私にとって、日本の空間をトランスナショナリズムの観点から検討する重要な機

          【参加報告】第7回アルザス・新世代ワークショップ「トランスナショナルな日本の空間」

          【評伝】マーティ・キーナート氏--日本のスポーツ界の発展に貢献した生涯

          11月9日(土)、スポーツ代理人やスポーツライターであったマーティ・キーナートさんが逝去しました。享年78歳でした。 キーナート氏は1946年7月19日にカリフォルニア州ロサンゼルス生まれ、スタンフォード大学政治学部に在学中の1965年に特別交換留学生として来日して慶應義塾大学に在籍し、卒業後の1969年には再び来日して同大学の日本語コースを修了しました。このとき、慶應義塾大学法学部助教授であった池井優先生の知遇を得て、長く交流することになります。 その後、ローダイ・オリ

          【評伝】マーティ・キーナート氏--日本のスポーツ界の発展に貢献した生涯

          【テレビ出演報告】2024年9月1日から10月31日まで

          本欄では、私のテレビ番組への出演や談話の紹介についてこれまで随時ご報告しています。 今回は9月1日(日)から10月31日(木)までの概要を以下のようにご紹介いたします。 (1)9月14日(土) 『せやねん!』(毎日放送) 大谷翔平選手(ロサンゼルス・ドジャース)の本塁打ボールの持つ市場価値について解説した。 (2)9月21日(土) 『せやねん!』(毎日放送) 大谷翔平選手(ロサンゼルス・ドジャース)の第50号本塁打に関する話題について解説した。 (3)9月24日(火)

          【テレビ出演報告】2024年9月1日から10月31日まで

          宮原禎次の持つ役割の重要さを改めて示した『クラシックの迷宮』の特集「山田耕筰と團伊玖磨をつなぐ作曲家~宮原禎次 生誕125年~」

          去る10月26日(土)のNHK FMの『クラシックの迷宮』は「山田耕筰と團伊玖磨をつなぐ作曲家~宮原禎次 生誕125年~」と題し、宮原禎次が特集されました。 司会の片山杜秀先生が番組の冒頭で「山田耕筰と團伊玖磨の間に宮原禎次を入れると日本の音楽史はよりよく語れる」と指摘したことが象徴するように、今回の特集の趣旨は山田耕筰から團伊玖磨へと結び付けられる日本の音楽史において、マーラーからシェーンベルクへと至る西洋の音楽史におけるツェムリンスキーの役割を果たした人物として宮原禎次

          宮原禎次の持つ役割の重要さを改めて示した『クラシックの迷宮』の特集「山田耕筰と團伊玖磨をつなぐ作曲家~宮原禎次 生誕125年~」

          ヴァンス次期副大統領は第二次トランプ政権でどのような役割を担うか

          11月5日(火)に投票が行われた米国の大統領選挙は、共和党のドナルド・トランプ候補が民主党のカマラ・ハリス候補に勝利しました。 今後、円滑な政権移行のために大統領就任式の前に閣僚候補の指名公聴会が開催され、各省の長官が選ばれることになります。 すでに選挙中から様々な人物がトランプ氏の当選後の閣僚の候補者として取りざたされており、これから実際どのような人選がなされるか注目されます。 その中で、政権の注目すべき人物の一人が次期副大統領のジェームズ・デイヴィッド・ヴァンス氏で

          ヴァンス次期副大統領は第二次トランプ政権でどのような役割を担うか

          トランプ候補が当選した米国大統領選挙の結果に民主党はどう向き合うべきか

          今回の米国大統領選挙は共和党のドナルド・トランプ候補が勝利を収めました[1]。 これにより、トランプ候補は1892年のグロバー・クリーブランド候補以来132年ぶりに連続しない2期にわたり大統領を務めることになります。 また、上下両院選挙のうち、上院では共和党が多数派を占める結果となりました。 ここで現在両党が激しく議席数を競っている下院でも共和党が多数党となれば、このままでは大統領と上下両院の多数派を共和党が制するとしてジョー・バイデン大統領に大統領選への立候補の事態を

          トランプ候補が当選した米国大統領選挙の結果に民主党はどう向き合うべきか