「『9.11』とベトナム戦争の違い」について思ったいくつかのこと
去る、9月11日(土)、2001年9月11日(火)に米国において同時多発テロが起きてから20年が経ちました。
「9.11から20年後」に際しての所感は過日の本欄でご紹介した通りです[1]。
ところで、同時多発テロの前後で米国の人々の様子が変化したかという点については現在でも議論がなされています[2]。
そうした中で思い出されることの一つが、米国の野球場における試合開始前の国歌斉唱です。
20年にわたる派兵が終わったとされるアフガニスタン戦争は米国史上最長の戦争となりました。それに先立つベトナム戦争の際には、「誰もが愛国者というわけではない」といった理由で大リーグの試合の開始前の国歌斉唱に対する批判が起きることもありました。
しかし、人種差別問題に関連して選手が起立せず、片膝をついて国歌斉唱に臨むことはあっても、国歌斉唱そのものへの批判的な意見や否定的な態度は、ベトナム戦争の際に比べれば顕在化することはないように見受けられました。
もちろん、野球に限っても大リーグやマイナー・リーグ、あるいは独立リーグに関する「9.11」以降の試合を全て検討しているわけではありませんし、球場内の様子についても知り得る内容はごく限られたものにならざるを得ません。
従って、数多くの例外があることは容易に想像されます。
それでも、徴兵制度の有無や、覇権国としての政治的、軍事的な使命から介入したベトナム戦争と、本土の攻撃に始まるアフガニスタン戦争という戦争の性格の違いなどを考慮するなら、こうした変化について考えることにも何らかの意味があるかも知れません。
[1]鈴村裕輔, 発生から20年目に思う「9.11」と「マスード司令官への自爆テロ」. 2021年9月11日, https://researchmap.jp/blogs/blog_entries/view/76353/ba499743b477aff27de4626ad91c35ea?frame_id=435622 (2021年9月16日閲覧).
[2]The 9/11 Attacks Changed Everything About Life in America. Montclair State University, 9th September 2021, https://www.montclair.edu/newscenter/2021/09/09/the-9-11-attacks-changed-everything-about-life-in-america/ (accessed on 16th September 2021).
<Executive Summary>
Miscellaneous Impressions of Changes of the USA Society before and after the September 11 Attacks of 2001 (Yusuke Suzumura)
The 11th September 2021 is the 20th anniversary of the September 11 Attacks of 2001. In this occasion I express miscellaneous impressions of changes of the USA society before and after the attack.
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