『クラシックの迷宮』の放送10周年記念特集「リスナーの"迷宮"」の持つ大きな意味
昨日、NHK FMの『クラシックの迷宮』では、番組の放送開始10周年記念し、「リスナーの“迷宮”~10周年記念 リクエスト特集~」が放送されました。
今回は聴取者からの投稿に基づき、以下の10曲が紹介されました。
グリンカ/歌劇『ルスランとリュドミラ』序曲」(管弦楽:ボルチモア交響楽団、指揮:デーヴィッド・ジンマン)
高見沢俊彦(編曲:服部克久)/flower revolution(オーケストラ・ヴァージョン)(管弦楽:ロンドン交響楽団、指揮:服部克久)
シュッツ/『ダヴィデ詩篇曲集』から第14番「ヤハウェに向かって新しい歌を歌え」(合唱:ドレスデン十字架合唱団、オルガン:ハンス・オットー、指揮:ルドルフ・マウエルスベルガー)
ゴドフスキー/『こうもり』による交響的変容(ピアノ:マルカンドレ・アムラン)
古関裕而/映画音楽『モスラ」から「小美人の話声と歌」
ロータ/交響曲第3番から第1楽章(管弦楽:ノールショッピング交響楽団、指揮:オーレ・クリスティアン・ルード)
ハチャトゥリヤン(曲構成:いずみたく、編曲:前田憲男、作詞:なかにし礼)/『剣の舞』(歌:尾藤イサオ&ドーン)
ヴァインベルク/交響曲第8番「ポーランドの花々」から第6楽章「授業」(抜粋)(管弦楽:ワルシャワ・フィルハーモニー管弦楽団、ワルシャワ・フィルハーモニー合唱団、指揮:アントニ・ヴィト)
キラール/『出エジプト記』(合唱:ワルシャワ・フィルハーモニー合唱団、管弦楽:ポーランド放送交響楽団、指揮:アントニ・ヴィト)
伊福部昭/映画音楽『釈迦』から「メイン・タイトル」(管弦楽:東京交響楽団、指揮:上田仁)
交響管弦楽の作品だけでなく歌謡曲や映画音楽を取り上げるとともに、しばしばいわゆる「クラシック」の中心的な分野と見做される交響管弦楽の作品も、ゴドフスキーやヴァインベルク、あるいはロータなど、音楽史の傍流あるいは伏流ともいうべき作曲家の音楽が選択されたのは、この番組ならではと言えるでしょう。
それとともに印象的であったのはキラールの『出エジプト記』でした。
すなわち、司会の片山杜秀先生が「番組開始以来、いつかはかけたいと思っていたものの、何と申しましても演奏時間が20分を超えるので、特に60分番組だった時にはこれだけで放送の3分の1を取ってしまうので」と前置きしたのが『出エジプト記』で、こうした記念の企画の時だからこそ紹介できる、ある意味で長らく秘蔵されてきた1曲であったからです。
何より、必ずしも人口に膾炙しているとは言えない作品にも注意を配る聴取者の興味と関心の広さは、番組に対する関心の高さを象徴的に示すものでした。
このように、昨日の「リクエスト特集」は毎回の放送にも増して彩り豊かであり、文字通り「10周年記念」にふさわしい内容でした。
これからも『クラシックの迷宮』が長く続くことが願われます。
<Executive Summary>
The Featured Programme of the "Labyrinth of Classical Music" Shows Its Diverse Characteristics and Importance (Yusuke Suzumura)
The NHK FM's programme "Labyrinth of Classical Music" reaches its 10th Anniversary and broadcasted the featured programme on 21st January 2023. On this occasion, we celebrate this memorial opportunity and examine the meaning of the programme.
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?