NHK交響楽団NHKホール12月公演

今夜は、18時から20時までNHK FMでNHK交響楽団のNHKホール12月公演を聴取しました。

今回は、前半にショスタコーヴィチの交響曲第1番、後半に伊福部昭のピアノと管弦楽のための『リトミカ・オスティナータ』と『日本狂詩曲』が演奏されました。ピアノ独奏は松田華音、指揮は井上道義でした。

前半のショスタコーヴィチは井上の得手とする作品ということもあり、全体として軽やかに仕上げつつ細部を丁寧に彫琢した演奏となっていました。

また、後半の伊福部については、楽団史の点でも意義深いものでした。

何故なら、NHK交響楽団が定期公演で伊福部の作品を取り上げたのは1982年3月の第865回における『交響譚詩』(指揮:外山雄三)のみであるため、定期公演に準じる12月公演の曲目となったことで、NHK響としては38年ぶりに活動の中心となる公演で伊福部を演奏したからです。

実際の演奏について、松田を独奏に迎えたピアノと管弦楽のための『リトミカ・オスティナータ』は、ピアノの躍動感と「リトミカ・オスティナータ」、すなわち「執拗に繰り返されるリズム」を体現する伴奏の粘りの対比が印象的でした。

『日本狂詩曲』は、打楽器が生み出す活発さと素朴な祝祭性が曲全体を引き締めつつ、研ぎ澄まされていても線の細くならない各楽器の演奏が濃厚な音楽を形成しており、聞きごたえのある仕上がりとなりました。

2020-2021年楽季の定期公演は中止となったものの、代替として行われる毎月の公演は定期公演の各プログラムの特徴を踏まえつつ、意欲的な選曲や人選となっています。

それだけに、定期公演が再開した後も、従来は一部の作曲家に限定されがちであった同時代の日本人の作品について、より多くの顔触れが演奏の対象となることが期待されるところです。

<Executive Summary>
Stage Review: NHK Symphony Orchestra December Concert at the NHK Hall (Yusuke Suzumura)

The NHK Symphony Orchestra held the December Concert at the NHK Hall and broadcasted via NHK FM on 5th December 2020. In this time they performed Shostakovich's 1st symphony and Akira Ifukube's "Ritmica Ostinata," for Piano and Orchestra and Japanese Rhapsody. Solo piano was Kanon Matsuda and conductor was Michiyoshi Inoue.

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