米国大統領選挙でドナルド・トランプ候補の相手となる民主党の候補は誰か
現地時間の7月18日(木)、ウィスコンシン州ミルウォーキーで開催中の共和党全国大会において、ドナルド・トランプ前大統領が同党の正式な大統領候補としての指名を受諾しました[1]。
トランプ候補は7月13日(土)の暗殺未遂事件後初めて公の場で演説を行い、「誇りをもって指名を受け入れる」と表明しました。
現在、民主党においてはジョー・バイデン大統領の指名を巡り、高齢による認知機能の低下の兆候が劇務である大統領にふさわしくないだけでなく、有権者の支持の点でもトランプ氏に勝つことが難しいとして辞退を促す声が高まりを見せる一方で、同氏はあくまで自らが正当な候補者であることを強調しています。
このような党幹部や有力な支持者とバイデン氏との間の主張の相違や指名を巡る混乱は、トランプ氏を正式な候補として選出し、意気軒高とした様子を見せる共和党を有利にするように思われます。
また、支持率の面でトランプ氏がバイデン氏をしのいでいる点も、政権の交代の可能性を強めると言えるでしょう。
しかし、2016年の大統領選挙の際、当初は優勢とされた民主党のヒラリー・クリントン候補がトランプ候補に敗れたのは、クリントン氏が公開討論において決定的な勝利を収められなかっただけでなく、世論調査において実際とは異なる投票先を回答した有権者が少なくなかったことが、関係者の情勢判断を誤らせたことは周知の通りです。
これと同様に、暗殺未遂事件を切り抜け、共和党の正式候補に指名されたトランプ氏が優勢に選挙戦を進めていいるものの、11月5日(火)の投票日まで3か月以上あることを考えれば、どのような形でも情勢が変化する可能性があることは、過去の結果が示す通りです。
あるいは、2016年の大統領選挙のときと同じく、実際にはバイデン候補への投票を予定していても、昨今の世論調査における支持率の低下や評判の悪化を受け、指示する候補者を問われると本心とは異なる回答をする有権者がいても不思議ではありません。
そのため、現時点でバイデン候補があくまで民主党の正統な候補であることを強調するのは、大統領選挙を取り巻く、現在とこれからの情勢からしても妥当となります。
むしろ、バイデン候補のために積極的に政治資金を集め、献金しているジョージ・クルーニー氏のような有力な支持者が同氏に選挙戦からの撤退を促したこと[2]は、他の有力な支持者から政治資金を集める意欲を奪い、最終的にはバイデン陣営を財政面で追い詰めることになりかねません。
もしかしたら勝利を収められたかもしれない選挙において、資金不足によって十分な活動が出来ず、選挙活動の不足が有権者の投票行動を左右するとすれば、バイデン氏に選挙戦からの撤退を勧告することは、トランプ氏に勝利できることが確実な他の候補者がいる場合を除き、あえて民主党を苦境に追いやり、共和党を利する行動とならざるを得ません。
それだけに、民主党の支持者には、バイデン大統領が自らの判断で正式候補の指名の受諾を辞退しないかぎり、その進退を追求することを控えるのが最も賢明であるということになるのです。
[1]RNC Day 4: Trump to accept GOP presidential nomination as assassination attempt looms over speech. CBS, 18th July 2024, https://www.cbsnews.com/news/rnc-day-4-speakers-schedule/ (accessed on 19th July 2024).
[2]George Clooney: I Love Joe Biden. But We Need a New Nominee. The New York Times, 10th July 2024, https://www.nytimes.com/2024/07/10/opinion/joe-biden-democratic-nominee.html (accessed on 19th July 2024).
<Executive Summary>
Is the US Presidential Election Will Be the Battle between Candidate Joe Biden and Candidate Donald Trump? (Yusuke Suzumura)
The 4th Day of the Republican's National Convention is held on 18th July 2024 and Former Donald Trump accepted the GOP Presidential Nominee. On this occasion, we examine the possibility the election and its lineup.