『寺山修司贋絵葉書展』を観た(2019/12/24)
ディープな内容だけれど軽快な読み口。
どこか掴みどころがなくあらゆる人を惹きつける魅力のある人。
無類の競馬好き。
私が書籍『書を捨てよ、町へ出よう』『青少年のための自殺学入門』を読んで感じた、アングラ演劇の巨匠、寺山修司の印象。
詩の方では、こんなにも言葉で寂しい世界を美しく表現できる人がいるんだなと感銘を受け、中でもさよならだけが人生ならば…で初まる詩『幸福が遠すぎたら』が大好きだ。
演劇の方は、恥ずかしながら存じ上げていない。
『寺山修司贋絵葉書展』は、展示デザインをブックデザイナーの祖父江慎さんが手掛けている。
寺山修司が贋絵葉書造りに打ち込み出したきっかけは、作曲家の田中未知さんが見せた贋絵葉書の世界に魅せられたかららしい。
ギャラリーのあるビルの前にある看板。
すごく惹きつけられる矢印。
ビルに入ったところにある貼り紙。
これが階段の方にも何枚も貼られている。
怪しさ満載。
行ってはいけないけれど行きたくなるオーラを放っている。
会場内に入るとさざなみの様な音が流れており、明るく白い部屋だけれど昔あった見世物小屋の様な怪しさ。
壁にはなんだか不気味で妖艶な内容の絵手紙と絡み付いた赤い糸。
写真はモノクロ写真に後から要所にキツめな色を付け加えた様な、写真に濃い化粧を施した様な色味。それでいて日にさらしてしまった様な色の飛び方もしている。
手紙のやり取りは全て架空の人物と架空の人物とのやり取り。基本は犬神家だけれど、夢野久作や明智小五郎の名前もあった。
贋絵葉書を造る為に、ハンコ屋で横浜と上海の消印をわざわざ特注したらしい。
会場奥には、破いた写真を糸で縫い合わせたものもあり、そこに書かれていた
"亡き父の靴のサイズを知る男"
というフレーズが妙に記憶に残っている。
ディープにも程がある。
しかし、何か惹きつけられる、沼に片足突っ込んでしまった感じ。
私、記憶喪失になったかタイムスリップしたんだろうか…と思うくらいには受け入れ難い異質な空間だった。
会場:Kanzan Gallery
期間:2019/11/1〜12/25
料金:無料