本と美術の展覧会vol.2「ことばをながめる、ことばとあるく一一詩と歌のある風景」を観た(2018/9/16)
本と美術の架け橋を目指す展覧会が太田市美術館図書館で開催された。
今回は第二弾で、テーマは『詩と歌(短歌)』らしい。
太田市美術館図書館はカーナビで表示されない。3年もののカーナビが対応できないと言う事は、最近できた場所なのだろうか。
ただでさえ新参者に厳しい群馬の道路。曖昧なカーナビでは余計に辛い。
着いてみれば太田駅前。太田駅で検索しておけばよかった。そもそも太田駅があった事も知らなかったけれど。
建物は真っ白で外からもガラス張りの回廊が見える3階建。
屋上ではコスプレイヤーの方達が写真撮影している横で和やかにデートを満喫するカップル。
若人からご老人まで和やかに談話する、道路とは違いなんとも平和な空間。
展示スペースは1階から3階に各1部屋。
詩人・歌人達の紡いだ言葉をグラフィックデザイナー・画家・イラストレータ一達が展示展開していて、1階では最果タヒの詩をグラフィックデザイナーの佐々木俊、祖父江慎、服部一成が表現。2階では詩人管啓次郎と画家佐々木愛が二人で各地を歩くことによって生まれた詩と絵画の展示。3階では大槻三好、大槻松枝の短歌連作と惣田紗希のイラストレーションのコラボ展示。というラインナップだった。
1階の最果タヒの詩のグラフィック化作品のみ撮影可。
立て看板や、水槽に入った文字や、壁に大きく上から下まで書かれた文字。
床に落ちている紙屑も作品で、自分で触れて広げて読んで良いものだった。紙屑は全部同じ内容だった。
詩自体が愚直で潔癖、故に淀んでいるような印象があり尖っていたからなのか、フォントは奇を衒わず文字の置き方で匂いや空気を表現していて、言葉がちゃんと生きていて凄かった。
3階の大槻三好・大槻松枝・惣田紗希の短歌とイラストレーションは、壁一面に描かれた線画が大槻夫婦が結ばれ別れる迄の短歌の連作の切なさと凄くあっていて何度も繰り返し読んでしまった。
20代半ばの女性のもどかしさとか、愛が育まれるよろこび、永遠の別れの悲壮感が淡々とした言葉とイラストの並びではあるけれど痛いほど良く分かり、90年近く前の作品なのに現代でも通ずる普遍的な切なさだった。
全体通して、美術が主張しすぎておらず、言いたいことを活かし、極めて文字が生きている展示だった。
途中の回廊におすすめの本を展示品のように並べられて座って読めるスペースもあるのは美術館図書館の強みだなあと思った。
会場:太田市美術館・図書館
期間:2018年8月7日~10月21日
入場料:500円
※1階のみ写真撮影可