日本代表 観戦記|要所を巡る戦い|SAISON CARD CUP 2021 U-24日本 vs U-24アルゼンチン
青く染まった味スタ。冷めた空気が肌を伝う。久保建英。三好康児。板倉滉。彼らを筆頭とした、若き才能たちがこの場に集結する。その中でも際立つ、三笘薫へと注がれる耳目。Jを席巻する彼が、世界の檜舞台へと飛び立つ一戦。相手はアルゼンチン。舞台は整った。
その期待に反し、戦いに意識を注げない。注げないのか、分断されているのか。または、その両方か。抽象的な言葉の数々が頭に浮かぶ。
試合における要所があるとすれば、アルゼンチンはそこを押さえた。しっかりと。それは場所であり、局面でもある。日本はボールを保持する。しかし、アルゼンチンはそれを嫌がることはなかった。
何を意味するか。答えは一つではない。しかし、それは急所でもある、守備の幹を広げ、突破すること。日本はそれができなかった。急所に入れなかった。少なくとも意図しては。
日本のパスワークは流れるようだ。素早いパスが何本もつながっていく。ただし、それらが実際的であったかと問われると首を傾げてしまう。少なくとも、チャンスやゴールという結果に転換されてはいない。
アルゼンチンは極めて合理的だった。日本の選手たちが前を向くと、前へと立ちはだかる。身体の衝突時には機先を制する。オフサイドと判定されてからの時間の流し方まで、勝利に必要な手順を淡々と丁寧にこなしていく。同じ競技ではある。それと同時に、異なる競技を見ているような感覚を覚える。
また、選手間の有機性も希薄に映る。選手一人一人の長所が個別に存在し、それが結びつかない。良質な具材を集め、ただ丼に乗せたようなサッカー。そこに相性はあるのか。引き立て役は存在するのか。組み合わせの狙いはあるのか。そんなことばかりを考えてしまう。
大型ビジョンにベンチに腰かける三笘が映し出される。どこまでも暗く、どこまでも深い、その憮然とした表情が忘れられない。
U-24日本 0-1 U-24アルゼンチン
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