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森田療法の真髄

今日は、森田療法について書こうと思います。

森田療法について少しは聞いたことがある人がいるかもしれませんが、精神医療において西洋医学的アプローチがメジャーな昨今、ないがしろにされていると感じます。

勿論、森田療法で全ての精神疾患が治るわけではありません。

ですが、陰謀論にハマって体調不良を訴える人や、現代人の精神疾患はほとんど森田神経質(神経症性障害)によって引き起こされたある意味ニセの精神病だという感覚がある。

ニセというのは薬はあまり効果が出ないということだ。

森田療法について知ると、精神疾患とはどういった類のものなのか輪郭がはっきりし、必ず改善の道が開かれると思います。

御年97歳になる森田療法家・宇佐晋一先生の新刊「心の講話と全治の道」より少し引用して紹介したい。

心を試すことはダメ

学問を自分に当てはめようとする、そのことが「真実に生きること」を不可能にしてしまうのだ。
…(中略)…真実を見あやまって、「考えた自分」で生活していると、納得のいく方へばかり行ってしまう。
つまり自分にとっての不安や不幸、また危険の及びそうなことや損しそうなことなどを回避することに熱心で、動きがとれなくなり、社会的に孤立してしまう。
森田神経質のとらわれの症状は、じつはごく当たりまえだと思っていた自分という、わかる形の考えでとらえた「自己意識内容の概念化」の、さらに「ガッテン」を目ざした姿なのであった。

宇佐晋一「心の講話と全治の道」p10~11より

これは現代人のほとんどが当てはまると思います。

学問で体調が良くなると信じてやまない現代人の姿。
陰謀論にハマる人も同じ。

もし医者や専門家よりも自分が知っているという感覚があるのなら、その人達が医者や専門家になればいい。

多くの人を救えるはずだが、実際はネット世界でうじうじ信頼性の欠ける情報を垂れ流しているだけだ。

そういうものを間違えて取り込む。
シェディングやエンパス体質はその一例だ。

そしてこういうものを信じている人達は総じて謎の体調不良に悩まされている。

それを見事に言い当てている文章だ。

全治とは

恐らくほとんどすべての人びとが、つかんだと思って喜ぶ「治ったと思う瞬間」は、そのかぎり脱線のはじまりにほかならない。
真に治るのは「治ったかどうか」の問いも答えもないところで、いきなり生活、仕事、勉強、芸術活動や感謝を始める働きに現われる。
…(中略)…自分の心について考えている間はだめで、他人への働きで役立つ前進こそ真の全治のはじまりである。

宇佐晋一「心の講話と全治の道」p61より

精神疾患において、治る治らないは明確ではない。

これは考えれば当然のことである。

心(メンタル)がおかしい、と感じている間は治っていないと考えるのが普通だからだ。

だからこそこういった考えが必要になってくる。

薬で脳みそを操作しようという西洋医学的アプローチの根本的な間違いである。

当然ながら薬が必要な期間もあるだろう。
だが薬によって精神疾患が治る、ということはないのである。

森田療法が教えてくれる現代人が必要なこと

是非本を読んでいただきたいので引用はこのくらいにしておくが、最後に私自身が言いたいことを記しておく。

最初に入った会社で精神を崩し約8年、薬もそれなりに飲んできた。

様々なところでカウンセリングも受け、自分なりに治るための努力もしてきた。

そこで改めて思うのは、治そう治ろうという意識の状態は本当の意味での全治からは遠ざかるということだ。

治そう治ろうという努力を一切やめる。
心の状態を操作しようとしない。
ネットで不確かな情報を信じない、または一切見ない。

森田療法を全ての人に理解してもらえるとは私は思っていない。

現代人が最も必要なことは、頭で考えたことを身体や心に当てはめようとすること、それ自体がおこがましいことであること。

これが本当の意味で理解できたならば、全治の道は開かれたと言っていいだろう。

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