【実況する美術鑑賞#51】ラファエロ「神殿から追放されるヘリオドロス」【60分で1記事】
・5分の鑑賞で気づいたこと
半円状の画面に描いてある絵ですね。上の方がたぶん実際の建物なんでしょうね。装飾の細い壁面・・教会とかですかね。そういう中に描かれた壁画っていうことでしょうか。
絵の下の方には、この画面を頭に乗っけてるような彫像が4体ほどありますが・・これは本物じゃなくて絵っぽいですね。イリュージョンと言うか、本物の建物の中に絵として建物の彫刻の一部分まで描かれていると言うな感じでしょうか・・
なんかアテナイの学堂とかを思い出しますが・・大きく奥行きがまずあるのが特徴的かな。画面と同じような半円型のアーチがずっと向こうまで続いている・・ここも何か神殿みたいなところの状況で・・画面の左手と右手に大きく人物が分かれているっていう感じですかね。
どっちかと言うと、右側の人達っていうのが・・兵士とかそういう人達にも見えますが、ちょっと神様っぽい感じもするんですよね。画面中心に近い、一番強い躍動感がある人・・風神雷神の風神みたいな布をまとってる人がいますが、その不自然に風をまとってる感じっていうのが、こういう絵画とかでよく神様とか、人間じゃない人達・・後は超人とか、すごい人って、こう変な風が吹いて髪やマントがなびいてるイメージがあるんですけど、まさにそんな感じというか・・
そのイメージがあるので、馬に乗ってる人とかも、もしかしたらそういう神様とかそういう人じゃないかなと感じさせますね。よく見るとちょっと浮いてますもんね。この風神みたいな人は、ふわっと・・
一番目立つのは馬に乗ってる人なんですが・・若い男性ですかね。鎧を着て、頭の上には何か乗っかってますね。金色の鎧ですけれども・・なんですかね頭の上の動物は・・龍かな、ドラゴンぽい感じ・・ドラゴン退治で馬に乗ってるって言うと、あれかなジョルジョとかそういう系かな・・
この金の鎧の人もそうですが、馬も怒ってますね。この下に踏み潰そうとしてる人・・金貨をばらまいて倒れて、許しを請うているような・・この人も兵士っぽいですね。
この人をやっつけてる・・懲らしめてる、追い出してるみたいな感じですかね。その一味みたいな人々が画面右の方に押し込まれているような感じかな。
そして画面左の方はですね・・その様子を平然と眺めるような人たちが、一番端っこの方にいて・・「しょうがないよね」みたいな感じの達観した雰囲気に見えますね。聖職者っぽい感じの人たちです。そして、その人たちが担ぐお神輿の上に乗っているのは・・王様なのか、教皇と言うか、宗教関係者なのかという感じです。
周りの女性たちは慄いているいるような感じで、子どもたちも恐れている感じかな。すこし上には柱にしがみついてる人がいるんですけども、この人は何なんでしょうね。何をしてるのか・・それを止めようとしてる人もいてね。右側の様子をよく見ているような気もしますが・・顔の向き的には、この絵の中心で祈りを捧げている、真ん中の奥の方にいる人の、机の上にあるものを見ようとしてるような気もしますね。なんか見ちゃいけない・・秘技的な・・そういうのを見てるのかなーとか思いました。
祈りを捧げている人の前にある燭台みたいのがあるんですけど、これなんかユダヤ教のお祈りの時に使う7本のろうそくの・・そういう燭台のような気がしますね。
後は奥の空かな。画面の奥は薄暗くて、ろうそくの火とがかついてるんですけれども、一番奥のこれは・・これは本物の空なのか、描かれた絵の中の絵の空なのか・・どっちなんだろうなっていうの思いました。
・作家と作品
・再び5分の鑑賞で気づいたこと
ラファエロさんが描いた、「神殿から追放されるヘリオドロス」という作品でした。バチカン宮殿の壁画をたくさん描いていて、ラファエロの間っていうのが4部屋あるそうです。その中には、さっき話にも上がった「アテナイの学堂」もあるんですけど、この作品もその中の一枚ということでした。
ヘリオドロスと言う、タイトルにも名前が出てる人っていうのは、神殿から追い出されてるので、この馬に踏み潰されそうになってるこの人なんでしょうね。この人が王様にこの神殿にある財宝を奪えと命じられてやってきて、それに対抗するために、画面真ん中の奥で祈ってる人は大司祭オニアスさんで、この人が神に祈ると、騎士とそれを援護する若者・・この2人は天使っていう風にも書いてありましたけれども、神が彼らを送り込んでヘリオドロスを追い払ったというシーンみたいです。
左のお神輿に担がれてる人は、この作品含めバチカン宮殿の壁画制作を依頼したラファエロのパトロン、教皇ユリウス2世だそうです。神輿を担いでいる人の、このユリウス2世の左手の下に頭がある人・・これがどうもラファエロの自画像という風に言われているという話もありました。
もう一人その左側に担いでる人もこっちに目が合ってて、この二人だけが鑑賞者と目が合うので、こっちの人もしかしたら実在の人物なのかなっていう感じがしますね。
前に青木繁の「海の幸」を見た時も、奥さんの「たねさん」が絵の中に組み込まれていて、その人だけちょっと顔色が違ったりとかこっちを見てたりとかしてたので、それと同じような雰囲気を感じました。大勢がいる画面の中で、その人だけ目が合う登場人物は、絵の作者の可能性があるってパターンがだんだんあるあるになってきましたね。みなさんもそんな絵を見つけたら、ちょっと疑ってみてください。
物語の流れとしては、中心の祈りから始まって、それで出てきた右側の人達、そしてそれを見ている左側の方達みたいな流れになるのかなーという感じですね。
詳しいことが調べてもあんまりわからなかったんで、ここからはもう一度絵を見た感想になるんですが、追い出そうとしている三人が手に持っているものが、棍棒とか木の枝を束ねたハリセンみたいな感じのもので、敵を殺すとかいうよりは、痛めつけるとか、お仕置きするみたいなそういうイメージものを手にしている様に感じられて、そこがちょっと面白いなーとかって思ったり・・
風神て言ってた人・・多分天使の人の影がですね、画面のど真ん中の空間に落ちていて、この黒くなってるのがこの人の影だと思うんですけど、それがなんか不自然と言うか、もうちょっとこの人の真下に来たりしないのかなって思うんですけど、なんかそこは画面的にそうやるとシンメトリックじゃないくなっちゃうから、ど真ん中に影を落としたのかなぁなんていう風に思ったりしました。
後、この周りの一番絵の縁にあたる白いアーチのところですが、これがすごい良い表現だなーって改めて見て思いました。現実の壁面から絵の中に導入していく部分として、すごくちょうどいいと言うか・・今はもう描かれててからおそらく500年ぐらい経っているので、ひび割れが画面のあちこちに入っているんですが、それが大理石のヒビとして表現された、絵として表現されたものなのか、実際の経年劣化のヒビなのか分からないぐらい馴染んでいる感じっていうのが、すごいなって思います。
実物の壁の装飾の、かなり年季が入ってる感じと、すごいマッチして、一番最初にこの絵を見た時に、この一番外側の白いアーチって多分絵だと思ってなかった気がして、よくよく見ると、あ、これも絵なんだっていうのは、後で見て気づいて面白かった点ですね。
あなたにはどう見えましたか?
また次回!
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