優しい世界を信じたい
私は本当にネガティブな人間で、この世界もネガティブな要素でできていると信じていた。
よく巷では「東京の人は冷たい」とか。一方で「日本人は優しい」とか。私の住む世界では二律背反な意見がせめぎ合っている。
私はこの20+年間、同じ環境で生きていて、海外がどんなところかなんてまるで知らない。少しばかり知ったところで、どんな人がどんな生活をしているのか、想像の範囲でしか知ることができない。
ただ、これまで数人の外国籍の方と接してきて、日本は優しいねと言ってもらえることが多くて、その度に複雑な気持ちになった。
長く生活していれば、もちろん嫌な人だってたくさん見てきた。
「なんで平気でそんなこと言えるのだろう」
そんなふうに、なんで?が頭の中を支配して、こんな世界そんな人ばかり、と絶望に耽った日もある。
そんなことはどこに行ったって同じだということは知っている。
どの国だって、どんな地域、民族だって、平等に良い人もいれば悪い人もいる。小学生でも理解できることだ。
それでも私は嫌なことがあれば全部いやっ!って頭を抱えてしまう。
つい昨日、私は駅のホームで動けなくなった。大丈夫だと思っていたのに、電車の中でパニック発作が起こり、下半身から硬直してしまった。どうせ誰も助けてくれないから、このままここで蹲っていよう、そう思っていた。
今振り返れば本当に恥ずかしくて、悲劇のヒロインみたいで”気持ち悪い”と思ってしまう。
でも想像以上に色んな方が気にかけてくださって、みんなが優しい言葉をくださった。
仕事終わりで疲れているのに、落ち着くまで傍に居てくださった方までいた。
私の存在なんて迷惑だ、いない方がいい、目の前ほホームに飛び込めば…。
本気でそう思っていた。
でも誰も迷惑なんて感じさせないほど、助けてくださった。
いつか誰も助けてくれないなんてぼやいてた過去の自分が恥ずかしい。
世の中捨てたもんじゃない。
”冷たい”世界の中から、”温かい”部分を切り取って見ていきたい。
そして、私もいつか恩返しができるように、強くなりたい。
おわり。