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書くことでの静けさ
ものを書いている瞬間。静けさと活発に飛び交う言葉とが入り混じったような世界にいることに気づく。
主人公がただひたすらに "飯を食う" という行為を描いた漫画があるが、ソレのドラマ版。イントロダクションで流されるあの言葉。
「つかの間、彼は自分勝手になり、『自由』になる」
言葉や文章が飛び交う中で、雑音のようなものを感じることはなく、無声映画でも見ているような感覚だろうか。情報は多いが、ソレに押しつぶされるようなプレッシャーを感じることはなく、ただ表現の中に在る。
自分勝手になっている瞬間だ。
忙しく入れ替わる言葉の中は想像すると、とても慌ただしくて落ち着かないように思うかもしれないが、不思議な静寂がある。
TOPに持ってきた写真を見ていて感じたイメージと、頭の中での出来事がとても似ているような、近しいような気がした。
樹木の枝は、まるで神経が勝手で伸び放題になっているように見えるが、その中にも自然の "意志" とか、ある種の法則性のようなものを感じさせる。
自由に枝や根を張り出してはいるが、喧騒やノイジーなものは感じさせない。自然の法則に従いながらダイナミックに活動している。
力強さやパワフルさを感じるようなとき、人間の活動ではだいたい大きな音やエネルギーを同時に発するものだが、自然のパワフルさ "成長の力強さ" はとても静かだと思う。
こちらが息を殺して注意深く集中し、観察していなければ感じない動き。
それに似たようなことが頭の中で起こっている気がする。
本人にしてみればとてもパワフルに、頭の中で文字や文章が伸びたり切れたりしながら成長してゆき、動きまわって変化しているのだが、それは外から見ることはできない。
ただただ頭の中で起こっている変化でしかない。
人間が行うパワフルな活動であるはずだが、そこに音や激しい運動は見られない。
静かに、ただただ自分勝手に言葉の枝葉を伸ばしてゆく。