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田代山湿原ができたワケpart1:福島県南西部【地元再発見の小旅行vol.4】
前回は福島県南西部の田代山湿原を紹介させていただきました。
それにしても、あんなテーブルマウンテン状の地形、どうして出来たのでしょうか?
やはり地質が関係しているのか?ヒミツを追っていきます!
トップ画像はスーパー地形(カシミール3D)より
なおカシミール3Dは元データとして国土地理院の「電子国土」を使っているそうです(出典:国土地理院ウェブサイト)
※以下の地形・地図画像すべて引用もとは同じです。
田代山湿原はどんな地質?
ではさっそく地質図を見てみましょう。

地質調査所:5万分の1地質図幅「燧岳」より抜粋
この地質図は昭和31年に発行されたものなので、さすがに地名が古いです。
燧岳は現在は燧ケ岳(ひうちがたけ)という表記です。また舘岩村は周囲の村と合併し、今は南会津町になっています。
この地質図の右側に田代山がありますね。緑色で描かれている場所が田代山湿原の場所です。
この緑色の説明を見て愕然としました。凡例の画像貼り付けますね。
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湿原堆積物って・・・まんまやん!(笑)
困りました(笑)
なぜ湿原が出来たのか知るために地質図見たら湿原堆積物だなんて・・そりゃ湿原なんだから湿原堆積物になりますよね(笑)
気を取り直して地質図の解説書を読んでみますと、湿原の形成についての考察があり「熔岩流表面の平坦面上に形成された」と書いてありました。
確かに溶岩が流れて台地状になった地形を溶岩台地と言いますので、その上の平坦面に湿原ができたと考えられます。

ということで緑色の周囲のオレンジ色を見たら黒雲母流紋岩とのこと。
黒雲母(くろうんも)という鉱物が多めの流紋岩ってことです。
はて??確かに流紋岩は地表に噴出した溶岩が冷えてできた火山岩の一種。でもドロドロと粘っこいので、溶岩台地というよりも溶岩ドーム(もしくは溶岩円頂丘)と呼ばれる丸っこい山になるハズなのですが・・。
例えば家庭でお好み焼きをつくる時、粉が少なめだとサラサラで薄っぺらく横に広がりますよね。それが溶岩台地です。火山岩の中でも粘りの少ない玄武岩は溶岩台地をつくりやすいです。
逆に粉が多くてドロドロだと具と絡んで丸っこくなり、ヘラでギュウギュウしないと広がらないですよね。あんな感じが溶岩ドームです。
そして、さらに周囲のピンク色の地質は、もっと古い時代の花崗岩(マグマが地下深くで冷えた岩石)ですし、田代山湿原の地形とは無関係と考えられます。
う~ん、ますますナゾです・・。
別の地質図も見てみる
では、20万分の1の地質図を見てみます。
20万分の1だと大雑把すぎるので5万分の1を見たのですが、いかんせん古すぎる・・・。
コチラです。
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地質調査所:20万分の1地質図幅「日光」より抜粋
赤丸が田代山湿原の場所です。
この肌色の地質は溶結凝灰岩と書いてありました。
え?流紋岩じゃなかったの??(笑)
イヤでもこれは「地質あるある」で、よくある話なのです。
と言いますのは、溶結凝灰岩にはある分かりやすい特徴があるのですが、その特徴が目立たない場合もあり、火山岩と勘違いしてしまうんです。
古い地質図の説明書を見る限り、きちんと顕微鏡観察もしてたみたいですが、それでも分からないくらい見分けにくかったのでしょう。
次代が進み、研究技術の向上で「実は溶結凝灰岩だった」と言う事例が各地で起こっています。
なるほど!これで分かりました。
では溶結凝灰岩とは何なのか?
そして田代山湿原の誕生のヒミツとは??
part2に続きます!
お読みいただき、ありがとうございました。
参考文献
村山正郎・河田清雄(1956)5万分の1地質図幅「燧岳」,地質調査所,28p.
山元孝広・滝沢文教・高橋 浩・久保和也・駒澤正夫・広島俊男・須藤定久(2000) 20 万分の1 地質図幅「日光」,地質調査所,7p.