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"左横ずれ"の痕跡を探る!【都道府県シリーズ第2周:岐阜県 山県市編no.8】
都道府県ごとに地形・地質を見ていく「都道府県シリーズ」の2周目。
岐阜県山県市の中部には、山県市を袈裟懸けに切るような真っすぐな谷地形が走っています。
※前回記事はコチラ👇
トレンチ調査箇所の"左横ずれ"
産業技術総合研究所がトレンチ調査を実施した箇所は、明瞭な"左横ずれ"の地形的特徴があります。
とても分かりやすいので、山県市外ではありますが、紹介します。
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前回は「左横ずれの証拠は何でしょう?」と謎かけして終わりましたが、分かりましたでしょうか?
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こうです。
いくつもの谷(沢)が同じ方向に曲がっていますよね。
これらの曲がっているポイントを線で結べば、確かに「左横ずれ断層」だと分かると思います。
ん?でも待ってください。
真ん中や右の谷(沢)は曲がっていないのはどういうこと??
と思った人も多いでしょう。
でもこれについては少々お待ちください。後で説明します。
自分で考えてみたい!と言う人にヒント。
曲がってる谷(沢)、それぞれ曲がり幅が違いますよね。これとも関係があります。
さて一旦、山県市内の左横ずれ地形を見に行きましょう。
山県市内の"左横ずれ"地形
さっそく場所の確認です。
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黄色がさきほど紹介したトレンチ調査箇所で、その約5km東南東にある青丸が、山県市内で左横ずれ地形が見える場所です。
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どうでしょうか?見えますか??
図の右側は山と平坦地の境界が直線になっていますね。
これも断層地形なのでしょう。
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武儀川断層は黒点線のように走っていると思われます。
トレンチ調査箇所と似た地形がありますが、見えますか?
真ん中あたりにありますので、上の図と見比べてみて下さい。
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これです!
いやぁ~、面白い地形だと思いませんか?
面白い地形を深堀りしてみよう
私の場合は地形図を見ただけで「面白い地形だなぁ」と思いますが、「いやいや、どこがどう面白いの?」と思う方も多いでしょう。
そこでもう少し深掘りして、この地形のどこがどのように面白いのか?
詳しくお話ししましょう。
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ここの地形の特徴を図示しました。
上の図と見比べながらお読みください。
山地に刻まれる谷は、概ね北北東-南南西(NNE-SSW)方向です。
このうち、真ん中あたりに3本の谷がありますが、この谷の下流は2本しかありません。
一方で、北北東-南南西方向の谷に対し、西北西-東南東(WNW-ESE)方向の谷が交差しています。この方向の谷は一直線に繋がっているように見えるものの、実は繋がっていない。
一見すると、どのように流れているのか?わけが分からなくなる地形だと思いませんか?
沢の流れから紐解いてみる
ということで、沢の流れを追ってみましょう。
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この場所の沢の流れは上図のようになっています。
上流部から見ると、水は北北東から南南西へ流れ、武儀川へ合流します。
しかし一番西の谷は途中で急激に東南東方向に屈曲し、真ん中の沢に合流しています。
また東の沢には、東南東方向に流下する支流がありますよね。
これらの東南東方向へ流れる谷は、周囲を見回しても似たようなものはなく、異質に感じませんか?
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広い視野に戻り、もう1度このあたり一帯を眺めてみましょう。
大局的に見ると、まず武儀川の流れ(西北西ー東南東)があり、それに山が面しています。
そのため武儀川の北に面する山の斜面は、大局的に南南西方向を向いています。
水は高いところから低いところへまっすぐ流れるので、このあたり一帯の沢の多くは、南南西方向に流れています。
上の図をパッと見ても、北北東ー南南西方向の谷が目に付きますよね。
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そういった目でもう1度この図を見ると、西北西ー東南東方向の谷地形には非常に違和感を感じます。
これらの沢は、まるで赤点線のように屈曲したように見えませんか?
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谷の曲がり方をもとに断層線を描きました。
これを見ると、確かに"左横ずれ"の影響で谷が曲がったと納得できるのではないでしょうか。
このように、地形に着目すると「断層の動き」について考察できるなんて、楽しいと思いませんか?
今回はここまで。
次回はもう少し詳しく「断層による地形の変形」について考察し、トレンチ調査箇所の疑問を解き明かします。
お読みいただき、ありがとうございました。