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長い年月のうちに・・:ポッコリ山はどのようにできた?その3【都道府県シリーズvol.10富山県part2 東部山間地域no.1-5】
富山県上市町の大日山日石寺の「六本滝」の左右にある大きな岩塊がナゼそこにあるのか?
前回は大岩山日石寺が建つ斜面が地すべりである可能性が浮上しました。
前回記事はコチラ👇
ポッコリ山はどうやってできた?
と言うことで防災科学技術研究所の地すべり地形分布図を確認してみましょう。
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画像中央の標高292mがポッコリ山です。
西の斜面は茶色に塗られており、やはり地すべり地形でした。
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この方向の断面図を見てみましょう。
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地質図を参考にザックリとつくったので正確ではありませんが、泥岩と安山岩は概ねこのように分布していると考えられます。
これを見ると、泥岩の斜面がまるで上からズリ落ちたかのように見えますよね。
ポッコリ山は泥岩が地すべりになって少しずつズレ落ちてなだらかになり、山頂部の硬い安山岩が取り残されるかたちでニョキッとしたかたちになったのでしょう。
岩塊は旅をしてやって来た?
ポッコリ山(大岩山?)の西側斜面は地すべり地形だと分かりました。
では六本滝にある岩塊は、どのような経緯で現地にあるのでしょうか?
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そこで仮説です。
赤点線が過去の地表面だとします。
安山岩は硬く泥岩は軟らかいので、差別侵食により、安山岩部分は急斜面で泥岩部分はなだらかになるので、図のような段差地形になっていた可能性があります。
長い年月の間に急斜面から安山岩が落石し、泥岩の斜面にたまります。
また同時に、泥岩の斜面は地すべりで徐々に斜面下方へ動いていきます。
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地すべりが生じれば、斜面のあちこちに段差亀裂ができます。
その亀裂が上図のように岩塊の足元にできることもあるでしょう。バランスを崩した岩塊は段差から落下し、斜面を転げ落ちることもあったと想像できます。
しかしポッコリ山の山頂部付近から六本滝までは約200m程度、緩やかな斜面が続いています。上のようなシチュエーションの「転げ落ち」だけでは到達するとは考えにくいですよね。
そうなると、別の現象の関与も考える必要があります。
ポッコリ山の西側斜面は泥岩起源の地すべりだと考えられます。
そして泥岩の場合は「小規模な地すべりが多数生じる」と言うパターンが良く見られます。
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上図のように、下の斜面が地すべりで動いて段差ができると、上の斜面の押さえが無くなって不安定になり、地すべりとして動く場合があります。
上の地すべりが下の地すべりに覆いかぶさると、下の地すべりの頭部が重くなり、バランスが悪くなって再び動きます。
すると、下の地すべりがさらに下の斜面を覆い、下の斜面が不安定になって新たに地すべりになって動く・・・といった具合に、連鎖反応で複数の地すべりが代わる代わる動くことになります。
そうすると、まるでバケツリレーのように、上部斜面の落石が斜面下方に運ばれることとなります。
以上のような様々な現象の組み合わせで、山頂部付で落石した岩塊が大岩山日石寺まで到達したのかも知れません。
岩塊の中には、ずっと地表面に載っていたものもあれば、地すべりに埋もれた後に周囲の土砂が洗い流されて地表に再露出したものもあるでしょう。
もちろん、これはあくまで私の仮説ですが、「単なる岩」で終わらずに「なぜここに、こんな大きな岩塊があるのか?」とアレコレ考えてみるのも、楽しいと思いませんか?
以上、お読みいただき、ありがとうございました。
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