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火山の「〇」を探してみよう!:鹿児島県南西部平坦~中山間地域【地元再発見の小旅行vol.30】
鹿児島県の南西部平坦~中山間地域の南東部は火山活動が活発な地域です。
その中でも開聞岳は非常に綺麗な円錐形でした。
火山には火口やカルデラなど円形の地形が付き物ですが、やはりこの地域には「〇」が多いんです。
場所は?
再確認しましょう
スーパー地形(カシミール3D)より抜粋した画像をもとに筆者作成。
なおカシミール3Dは元データとして国土地理院の「電子国土」を使っているそうです(出典:国土地理院ウェブサイト)
※トップ画像や以下の地形・地図画像すべて引用もとは同じです。
鹿児島県は九州の最南端。
こんなに多くの島々も鹿児島県です。
南西部平坦~中山間地域は上図の⑦です。
今回は指宿市が舞台です!
「〇」はどこだ??
火山地形の1つにマールと言うものがあります。
火山噴火の中でも水蒸気爆発やマグマ水蒸気爆発が起こった時に地表にできる丸い穴(火口)のことです。
地下水にマグマが熱せられると、一気に蒸発して堆積が大きくなるので、爆発してしまうと言う現象です。
この時、水が間接的に熱せられて爆発するのを水蒸気爆発。
マグマが直接水に触れて、大爆発してマグマも一緒に噴出するのがマグマ水蒸気爆発です。
これらの爆発は、例えば富士山の山頂のような、何度も噴火する火道としての火口ではなく基本的に単発だそうです。
あ、ちなみにダジャレのつもりはなかったんですよ(笑)
単に「火山由来の丸い地形」をテーマにと思って題名にし、色々調べてるうちに「そう言えば、マールって地形あったな」となりました(;^_^A
ということで、探してみましょう!
この地域の新期指宿火山群の火山活動でできた丸い穴(カルデラやマール)の中で、分かりやすいのは9か所です。
カルデラは1か所だけ。
残り8か所はマールです。そのうち3つは小さいので、この縮尺では見つけられないかも?です。
また、それほど綺麗な真ん丸ではないので、ご注意を!
全部が入る範囲ギリギリまで拡大しました。
さぁ、探してみてください!!!
(※1か所だけ、この縮尺では見えません。)
「〇」はここだ!!
では順番に見ていきましょう!
①:池田湖
これはカルデラだと言われています。
約5600年前から火山活動が起き、火山灰や軽石を噴出するような噴火を繰り返します。最終的に火砕流が流れるような大噴火を起こし、カルデラが出来ました。これが現在の池田湖です。
ここです。
周囲にけっこう人が住んでいますね。
池田湖の西には南北にのびる崖が見えますが、これは鬼門平(おんかどびら)断層という断層の活動でできた断層崖(がい)です。
②:松ヶ窪、池底、鰻池、成川盆地、山川湾
池田湖カルデラを形成した噴火とほぼ同時に、その東の5か所で噴火が起こり、マールが形成されました。
こんな感じです。
西から順番に、松ヶ窪、池底、鰻池、成川盆地、山川という地名になっています。
松ヶ窪と池底は、綺麗なすり鉢状の地形ですね。
周囲を断崖に囲まれた土地に立ってみるとどんな感じなんでしょうかね?是非、行ってみたい!
鰻池は北東の沿岸に温泉街があるようです。
西郷隆盛が好きな温泉だったみたいです!
成川盆地と山川湾(やまがわわん)です。
それぞれ、マールのど真ん中が街になってます。
③:鏡池、水無池
池田カルデラとその東のマールをつくった噴火の後、池田湖の南で小規模なマールが形成されます。
なかなか可愛らしいですね。
見事な丸い穴です!
鏡池の南西の凹地が水無池です。
以前は水無池に水があって鏡池と呼ばれ、現在の鏡池には逆に水がなかったという言い伝えがあるようです。
これらのマールがいつできたかは不明ですが、火山灰の分布から、池田湖カルデラの約5600年前から、後述する鍋島岳火山が噴火した約4300年前の間だそうです。
④:鍋島岳火山噴火時のマール群
約4300年前に池田湖の南岸で火山活動が起き、溶岩ドームが形成されます。
この時にいくつかのマールも形成されます。
ここです。
実は鏡池の北東の凹地もマールでした。大底月というようです。
同じ時期にできたマールは、他に小底月と水源地と呼ばれていますが、地形図では分かりにくいので、ここでは割愛します。
3Dバーチャルツアー
では3D画像をお楽しみください。
右が鍋島岳火山の溶岩ドームです。中央に大底月があります。
以上、お読みいただき、ありがとうございました。
参考文献
川辺禎久・阪口圭一(2005)開聞岳地域の地質.地域地質研究報告(5 万分の 1 地質図幅).産総研地質調査総合センター,82p.
稲倉寛仁・成尾英仁・奥野 充・小林哲夫(2014)南九州、池田火山の噴火史.火山,第59巻,第4号,p255-268.