ええぇ??断層が2本並んでるんですか?!:北西部山間地域【都道府県シリーズvol.38茨城県part1】
茨城県は地形的特徴から9の地域に分けられ(※筆者の個人的見解です)、大部分が平地で、山地と明瞭に区別できるような地形です。
今回はその中でも比較的に山深い地域である、北西部山間地域の地形と地質を見ていきましょう。
場所は?
再確認します!
茨城県は関東地方の北東部に位置しています。
周辺都道府県との位置関係はこんな感じ。
北西部山間地域は③地域です。
大子町の全域と常陸太田市・常陸大宮市それぞれの一部地域です。
地形を見る
ではさっそく行ってみましょう♬
全体的に山がちですが、北東部と北西部は特に山深いですよね。
東は阿武隈(あぶくま)山地、北西は八溝山(やみぞさん)です。
そして北北西ー南南東方向に流れる川がたくさん目につきます。
と言うよりも主要な河川はみな北北西ー南南東方向です。
特に東にはスパッとしたまっすぐな地形・・。これは何かありますね。
だいたいで図示してみました。
上の地形図と見比べてみてください。
地質図を見てみると、これらは断層でした。
ところどころ点線になってますが連続していると考えられています。
図示してみました。
なんと2本の断層が並行して数10kmにわたってのびています。
これは棚倉断層(たなぐらだんそう)と言い、日本を代表する大断層のうちの1つなのです。
しかも2本のうち左を「西縁(せいえん)断層」、右を「東縁(とうえん)断層」と呼び、その間は破砕帯(はさいたい:断層運動でバキバキに砕かれた地層)で、なんと幅約3km!!
これらを総称して棚倉破砕帯と呼ばれることもあるんです。
でもご安心ください。
これまでの研究の結果、活断層ではないと言われています。
そして、もっと広い目で見ても、さらに北まで伸びているように見えます。
また宮城県南部から福島県にかけてもスパッとまっすぐな地形(双葉断層)があり、同じような方向にのびた平行な地形が見えます。
スケールが大きいですね。
大地の成り立ち
そんな北西部山間地域はどんな歴史をたどったのか?
大きく分けて3つのステージがあります。
〇ステージ1:中生代ジュラ紀中期~白亜紀前期
まだ恐竜が生きていた約1億6600万年~1億2500万年前、海に堆積した砂岩・泥岩・チャートなどがユーラシア大陸にくっつきます。
いわゆる付加体ですね。
上図の赤で囲った範囲。
濃い黄色が砂岩、青灰色が泥岩、オレンジがチャート、薄い黄土色が砂岩泥岩互層です。
紫色の閃緑岩が2箇所ほど見えますが、これは次のステージになります。
〇ステージ2:中生代白亜紀前期
ステージ1のすぐ後の約1億2500万年~1億1300万年前、ドロドロのマグマが貫入して地下深くでゆっくり冷え、花崗岩類が形成されます。
この地域の東に隣接する地域がメインの分布地域ですので、この地域では点在するくらいです。
薄いピンクが花崗岩、濃いピンクが花崗閃緑岩、紫が閃緑岩です。
〇ステージ3:新生代新第三紀中新世
ステージ1、2の地質を土台として、約2000万年~1400万年前に様々な地層が形成されます。
赤線で囲った地域一帯は当時、棚倉断層の横ずれ運動の影響で盆地になっていました。
その凹地に砂や泥などが溜まります。
最初は陸地で川の堆積物(砂や礫など)が堆積します。
シカなどの哺乳類が棲んでいたようです。
だいたい、赤点線の地域より西側がこの時の地質です。
その後、海になって海底火山が噴火します。
赤点線の範囲です。
デイサイトという、流紋岩と安山岩の中間の成分のマグマが噴出しました。
主に溶岩類と、それが砕けて流れて堆積した火砕岩です。
実はこれ、私が大学生時代に研究していた地層でした。
男体山火山角礫岩(なんたいさんかざんかくれきがん)という地層名です。なつかしいなぁ。
私のnoteのトップ画像が、この地層です(笑)
この火山が落ち着いた後もしばらく海で、泥岩や礫岩が堆積します。
この時の礫岩には、東の花崗岩の大きな岩塊(数mレベル)が入っています。棚倉断層が大きな崖をつくり、その活動(地震)で崩れ落ちたものと考えられます。
今回は以上となります。
お読みいただき、ありがとうございました。
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