
日本ってもしかして子育てしづらいの…?世界一幸せな国デンマークと比較する
妊娠中、薄々と感じていました。
妊婦健診にかかる費用も、出産費用も、助成金を使っても全然足りない。
ベビーグッズを購入した後のカード支払額を見て、こんなにお金がかかるのかとギョッとする。
児童手当の改悪話でトドメを刺され…。
当事者になって初めて気付くことはたくさんありました。
保活はやっぱり厳しいの?
育休復帰後、仕事と子育て両立できる?
そんな未来への不安もあります。
そういった問題に対して、よく引き合いに出されるのは、世界一幸せな国と言われている「デンマーク」です。
簡単に言うと、高福祉国家で、税金は高いけれど、その分社会保障が充実している国です。
そんな国と、日本はどう違うのでしょうか?
今回は、デンマークに関する本を紹介したいと思います。
デンマークに移住した著者は、日本でバリバリ働く女性の姿と重なる
著者は33歳のイギリス人の女性。
都会の刺激溢れる街で、夫と二人暮らし。
「ワークライフバランスを保ちつつも成功を収め、心の健康を維持し、その一方で最新トレンドも押さえ、きらびやかな生活を送ること」について、日々記事にしているファッション誌の編集者。
でも現実には、毎日残業し、「もっと違う生き方があるはず…」と通勤電車に揺られながら思う日々。
日曜日の夕方になれば仕事のことが頭をよぎり、胸が締め付けられる。
キャリアを積んでやりたかった仕事を任せてもらえるようになっても、さらに忙しくなっただけ。
ハッピーになったとは言えない。
…この状況に、共感する方も多いのではないでしょうか。
そんな著者が、夫の転職を機に、デンマークに移り住みます。
生活をしている中で、デンマークという国に疑問が出てくれば、ジャーナリストとして専門家にリサーチする、というスタイルで話は進みます。(さすがライターさんですね…!)
「幸せってなんだっけ? 世界一幸福な国での「ヒュッゲ」な1年」(ヘレン・ラッセル)
こちらの本は、データも充実していて、移住者の視点から見たリアルなデンマークの様子が読み物としても面白いので、選びました。
ここから、主に福祉や仕事、子育てに関するデータを紹介したいと思います。
(※出版された2017年当時のデータになります)
・一番幸せな国と言われている
(一人当たりのGDP、平均寿命、汚職のなさ、社会保障の充実、人生の選択が自由であること、寛容な文化)
※ちなみに2021年のランキングを見たところ、日本は56位だった…
・EUの中でも生活費が一番高く、住人は膨大な税金を納めている
・世界で最も貧富の差が少ない
・社会保障が充実している
・医療費が無料
・大学を含めた教育費も無料
・育児手当もある
・失業しても2年間は給料の80%を受給できる
・労働時間が一番短い国で、週平均34時間しか働いていない(イギリスは週平均42.7時間)
箇条書きではありますが、これを見ただけでも日本とは大分違いますね。
また、労働時間が短いというのも羨ましいポイントで、ワークライフバランスがとりやすい要因になっていると思います。
失業した場合の保障もあることで、転職もしやすそうです。
子育ての場として、これ以上の場所はない
子どもはすべての中心という考えで回っています。
デンマーク人の子どもたちはとてもラッキーで、ここでの幼児期はとてつもなく楽しい。
18歳まで豊かな教育を無料で受けて、それから世界でも屈指の大学で助成金を受けながら勉強することができる。
デンマークは教育費に充てる予算の割合が高いそうです。
教育を自分たちの未来への投資と考えていて、そういう投資はデンマークにとって重要で、子どもたちがより幸福になることにつながっています。
人生の出発点からデンマーク人はハッピーなのです。
保育所での様子とかも、とても楽しそうなのですが、かなり長くなってしまうので…詳しくは是非本書を読んでいただければと思います。
デンマーク人はその辺を歩いている人たちも信頼している
これはかなりビックリした話だったので紹介します。
デンマークでは家族や友人だけを信頼するのではなく、その辺を歩いている人たちをも信用しています。
それが生活や幸せレベルに大きな違いをもたらしているのです。
「大半の人が信頼に値すると思いますか?」と尋ねれば、70%のデンマーク人が、「はい、ほとんどの人を信頼できます」と答えます。
対してヨーロッパの平均では「はい」と答えるのは30%強です。
すごくないですか…?
日本じゃありえないことだと正直思ってしまいます。笑
私は迷わず「NO」と答えてしまいそうです。。
具体的には、デンマーク人の親は「安全だから」と屋外やカフェ、レストランにベビーカーを置きっぱなしにするそうです。
自転車も鍵をかけずにおいてあるし、窓も開けっぱなし。
デンマークの防衛予算は少なく、攻撃を受けたらほば自衛は不可能。
でも隣国とは良い関係を保っているから、恐れる必要もない。
皆が平等に国から面倒を見てもらっていて、不信の原因は少ないそうです。
夫が午後4時に帰ってくる。金曜日はもっと早く帰ってくる。
デンマークでは4時がラッシュアワーだそうです。
帰ってきたら、家族との時間を過ごしたり、習い事をしたり、趣味の時間に当てるのです。
羨ましすぎる…(本音ポロリ)
働きすぎても税金を取られるので、収入よりも好きなことを仕事にする
日本では児童手当の所得制限の改悪や、税率を更に引き上げるという話も出ていますね。
デンマークの人は、働くこと、働いて税金を取られることに対して、以下のように考えているようです。
「収入で仕事を選ぶのではなく、興味があることを仕事にしている。
教育費は無料だから、誰でも学びたいことを訓練できる。
膨大な税金を支払うのだから、給料がいかに高いかよりも好きなことをしたほうが良いって言う考えなんだ」
「じゃあ、お金のために仕事への充足感を犠牲にする必要はないのね?」
「正確に言えば、稼げば稼ぐほど税金も多く支払わなくてはならない仕組みだからね」
稼いでも多く税金を取られる。それなら好きなことを仕事にしよう、という感じでしょうか。
皆、喜んで税金を払う
デンマーク人は、ちゃんと価値があると信じている制度にお金を払っています。
日本と違い、信頼関係が成り立っているからこそだと感じます。
「世界一の福祉を享受できると知っていますからね。
学校、大学、病院は無料ですし、有給休暇も多く、雇用主はデンマークの居住者に本当に役立つ年金制度にお金を払っていますから。
人生のどこかの時点で大半のデンマーク人が公共サービスを必要とすることになりますし、家族が病気になる可能性もあります。
国民はインフラを理解して、自分たちのお金の行き先がわかっているのです」
これ以上収入を得ても幸福度を上げることはないという基準額があり、それは年間約320万。
これは日本のデータではないので、どの程度当てはまるものなのかわからないのですが、面白いなぁと思ったので紹介します。
富は満足いく人生を得る助けにはならないそうで、満足するに必要な収入には分技点すらあると。
それ以上お金を得ると裕福にはなるが、人生満足度は減るそうです。
もしすでにこれ以上稼いでいる場合の解決策は、働く時間を短くすること、もっと税金を支払うこと。
もしそれも難しければ、デンマークに移住することだそうです。笑
政治家は「普通の人」
多くの国で政治家は信頼されない存在ですが、デンマークではビックリするほど人々から高い信頼を得ているそうです。
政治家も「普通の人」としてとらえられていて、大臣たちも地に足がついており、普通の市民と気軽に接している。
税金が役立ち、汚職もなく、国民から信頼されています。
最後に、超個人的な意見
日本から見ると、驚くこと、羨ましいポイントがたくさんありました。
日本は子育てに限らず、より良い制度へ改善していってほしいですね…!
本書を読んで、今まであまり気にしていませんでしたが、「信頼」というのは大きい問題だと感じました。
おそらく日本で同じような政策をやろうとしても…税金をちゃんと使ってくれるの?という不信感もあり、成立しなさそう。。
日本の場合、投票率が低いのもやはり問題ですよね。
もちろん、声を上げることも必要ですし、選挙には必ずいくべきだと思いましたが、まずは自分の環境を変える方が早いと感じました。
可能であれば子育てに理解のある会社で働くことは、かなり効果があるように思います。
また、私はなんだかんだ言っても日本という国が好きで、これを読んだからといってデンマークに移住しようとは思いませんでした。
日本の文化や気候、食、アート…私は海外旅行よりも国内旅行が好きです。
日本にも日本のよさがあり、海外に誇れる部分もありますよね。
ただ、子どもには海外移住の選択肢があってもよさそうだと思いました。
それは別に留学費用を貯めておいてあげよう、とかそういうことではなく…他国の文化を教えてあげて、自分で住むところを選択できるということです。
まぁ、自分の子どもが大きくなる頃には、日本の制度もよくなっていてくれたら嬉しい限りですね…!