イギリスお金事情⑩家庭向け支援策として2年間の光熱費の固定が決定!事業向けは6か月【全文無料】
表題の件についてご紹介する前に、エリザベス女王の体調がかなりおわるいとの緊急ニュースが入ってきました。チャールズ皇太子を始めとするお子様方全員、およびウィリアム王子がバルモラル城に向かわれています。とても心配です😔
新首相の任命儀式が重荷になったのではとも。これほど生涯をかけて国に尽くされた方、96歳というご高齢でもあり、もう公務は他の王室メンバーに譲ってのんびりしていただきたいです。
①待ちに待った発表!世帯向けの支援策は?
さて、一昨日(9月6日)に新首相に就任したリズ・トラス。数か月ごとに倍々くらいのペースで急上昇を続ける光熱費に関して、新政権が世帯や事業に対してどのような支援策を打ち出すかに注目が集まっていました。
そして今日9月8日、待ちに待った発表が行われ、以下のことが決まりました。
①の年間2,500ポンドは月208ポンド=約34,000円
②6か月間の毎月の支援額が67ポンド=約11,000円
つまり、10月以降の平均的な家庭の実質的な出費は月約23,000円となります。
現在の平均的な光熱費は月164ポンド=約27,000円であるため、10月以降は今と比べても少し安い水準になります(※もっとも冬は暖房費がかかるので、現実的な出費は増えるのですが…)。貧困家庭や年金生活者、障害のある方には別途手当てが支給されるので、ほとんどのケースにおいては十分な支援と言えるかと。
ちなみに「平均的な世帯」とは「年間ガス12,000 kWh+電気2,900 kWhを使用する家庭」を想定。ガスと電気の配分(今はオール電化も多い)、またそれぞれの使用料で料金は変動するため、当然、世帯ごとに年間2,500ポンド(約41万円)より高くなる場合も低くなる場合もあります。
②事業向けの支援策は?
光熱費の値上がりで困っていたのは家庭だけではありません。むしろ、事業向けの支援策は現在まで存在しなかったので、企業や団体の方が苦しい思いをしていました。ロンドンの飲食店などを見ていても10~15%の値上げを余儀なくされているところがほとんど。
とくにフィッシュ&チップス屋やパン屋などの薄利多売のビジネスは、食用油や小麦粉などの物価高騰とも重なって、廃業を考えるところも増えていたくらい💦支援が必要なことは明白であったため、以下のような事業向けの救済策が発表されました。
これによって救われるところが多いと思いますが、場合によっては不十分であるため、また何らかの救済案が出てくると思います😌
③財源は?
「とりあえず良かったやん~」と言うのは、まあもちろんそうなのですが…。「その莫大な支援金はどこから出すの??」というのが当然の疑問としてあります。なにしろ、支出額は1,300億~1,500億ポンド(約2.1兆~2.5円)にのぼると言われているので。
女王陛下の犬が「ここ掘れワンワン!」と言うところを掘ったらあっちこっちで100億ポンドが出てきたぁ!!みたいなことがあると良いんですが、ざんねんながらそういうことは(たぶん)ありません。
そこで、イギリス政府はこの大量の資金を公庫から借り入れることに。パンデミック中にもかなりの借り入れを行っていたので、なかなかリスクが大きいのですが、この支援策でインフレ率をできるだけ抑え、景気後退に陥らないことを重視しているようです。
ちなみにイタリアやスペインのようにエネルギー会社から特別税を徴収するべきという議論はずっとありましたが、大企業重視という保守党の在り方と、リズ・トラス首相が元シェル勤務だということも関係しているのでしょう。イギリスでもこのエネルギー危機を通じてがっぽがっぽ儲けているエネルギー会社からの徴収は、現在のところは見送りになっています😅
④イギリス人の反応は?
さて、イギリス人の反応ですが…。まず、貧困層を支援するチャリティー団体は早くも「不十分」という声を上げています。
一方、光熱費の高騰は、相対的に見ると富裕層にとってはたいした打撃にはなりません。わたしの比較的裕福な友人も「支援と言っても、右のポケットから出して左のポケットでもらうようなものだからね~」と。補助金を受け取る人が多ければ多いほど、結果的に国の財政は悪化するわけで。困窮者のみにピンポイントに配るのが、本来は効率的だという意見。
このように、それぞれの立場で言い分はあるでしょうが…。10月以降に自分の生活が安定していると感じられるか?人々が将来を恐れて買い控えに走り、不景気に陥らないか?というのは、その時になってみないとわからない部分も。とくにイギリス人が最も散財するクリスマスシーズンに人々がどの程度の購買意欲を見せるのか…。そっと観察してみたいと思います🎅
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