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#3 出発の朝
誰かから、旅に出かけるときは、家にずっと飾ってある石をもってでかけると、安全に家に帰ってこれるという話を聞いたことがあった。
どうも、家にずっとある「石」が、家に帰りたいという力を発揮してくれ、何事もなく旅の幕を閉じれるというらしいのだ。
しかし、マンション暮らしの私は、庭に石が転がっていないため、とあるものを石の代わりにすることにした。
それは、「貝がら」。
それも、ただの貝がらではなく、目八葵貝(モクハチアオイガイ)という、砂州が出現する時にしか見ることのできない、普段は海の中に沈んでいる神秘的な貝がらなのだ。
鹿児島県指宿にある、ちりりんロード(3〜10月の中潮もしくは大潮の干潮の時間帯だけに現れる砂州)を歩いて渡って着く知林ヶ島で、現地のガイドさんに紹介されて私は、モクハチアオイガイと出会った。
サイズがほぼ同じ貝殻を2枚拾って重ねると、ハート型になることから、幸せの貝と自分の中では名乗って部屋に飾っていた。
そんな思い出深い貝を、私はバックのポケットに入れ、今日から始まる旅を祈念し家を出発する。
太陽が、私を明るく照らしてくれている。
改めて、「いってきます。」
こうして、私の旅は始まった。