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三十路

三十路

うつらうつら
ひたすら自己欲求を満たそうと
生きていた二十代
誰かのために生きる幸せを
学べたのは三十ちかくになってから
あなたが産まれてきてくれたから

快晴

快晴

親と喧嘩した時
泣きじゃくりながら行く先は
いつもあなたの部屋だった
もうこの家にいたくない
そう何度叫んでも
そんなこと言いなさんな、
となだめてくれるあなたは
私の太陽だった

会話

会話

私が母になって
あなたにひ孫ができました
今は遠くにいるあなたは電話するたびに
そのことを忘れているのだけれど
わあ、可愛いわね
とあなたが言うその褒め言葉が誰が言うよりも嬉しくて
何度でも写真を送るし、何回でも同じ会話をする

アイスコーヒー

アイスコーヒー

静かな一人の昼過ぎ
朝の残ったコーヒーを口にしたら
ふとあなたがよく淹れてくれた
アイスコーヒーを思い出した
思い出の中でしか味わえないと思っていた
ほろ苦い味は心に沁みた