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”バカになれ”というけれど

外国人のマネージャー達にとって、日本のビジネス文化への理解の壁が高い。「なぜ日本人のクライアントは、アンケート回答率が低いの?なぜ点数が他の国よりこんなに低いの?あなた達はさぼっているの?」。日本人は、自他に対する評価が、他民族に比べて低い傾向にあり、また、業務/サービスに対して、「やって当たり前」であって、それに「非常によくできている」とは安易に評価しない。何度もそのことを説明しているが、一向に理解を示す気配がない。そんな私に、若い同僚が言った。

バカになる方が得だよ

これまでも似たような言葉を言われたことはあった。私なりに解釈をすると、「一生懸命取り組むより、時には無知なフリをする方がいい」ということだろうか。あー、「また一生懸命なことへの批判か」、と悲しくなる。

いや、もしかして、責任を持って何かに取り組み失敗したり、その過程でごちゃごちゃ外野から言われてストレスが溜まるなら、例えそのことを良く知っていても、「出来ない」「知らない」「わからない」と言っておけば、重圧から逃れられ、苦しまずに済むという意味合いが込められているのだろう。何かに対してすごく苦しい思いをして、「助けてあげたい」「何とかしてあげたい」という優しさを含んでアドバイスだろうか?とも考えた。いやいや、やっぱり「一生懸命はバカを見る」だろう。

例えば、責任ある仕事を誰が担当するかを決める際、「私にふらないでくれ!」と思っている人にはいいだろう。ちゃんと遂行できそうにない人には、誰だって重要な仕事を任せたくない。だが私は、責任逃れをしたいとか、楽することを優先したいとは思っていない。思いや考えが容易に相手に伝わらないとしても、最初から諦めたくはないし、それは結局は相手を見下して、バカにしていることだ。たとえ相手に気がつかれなくても、失礼だと思う。

途中で「もうダメだ、この人とは分かり合えない」と思ったら、もう何も言わない、黙る。バカなフリも、人を見下し自分の気持ちを納得させることも、自分を、他人を偽っていることに変わりない。それはいつどんな時もそれはしたくないな。”バカ正直”とバカにされても。

追記:etoramuneさんのイラストを使わせていただきました。ありがとうございました。


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