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春はデトックスの季節。春を健やかに過ごす為の養生法

今年は2月3日に立春を迎え、いよいよ春が始まりました。
外はまだまだ春とは程遠く、朝夕は冷え込みますが、以前と比べ明らかに日照時間が長くなり、日中はぽかぽかと心地良い暖かさの中で過ごす事が出来るようになってきました。
そのような変化を体で感じるたびに、水面下では既に春が始まっているのだなと、嬉しく感じます。
それと同時に、敏感な方であれば心や体の変化も感じられているかもしれません。

本日は春はどのような季節なのか、どのような事に気を付けて過ごしてゆけば良いのかなどをいつも通り、東洋医学視点により書き綴ってゆきたいと思います。

冬の冬眠モードから春へ

私達は冬の間は寒さから身を守る為、食べた栄養をしっかりと体に溜め込み、必要以上に体力を消耗しないよう活動意欲が低下し、興奮を防ぐ為に気持ちも沈みやすかったりなど、様々なものを自分自身の内側に溜め込みながら過ごして来ました。
自然界の動物で例えるのであれば"冬眠モード"
と言います。
そのような冬眠モードの影響により、冬にとてつもなく眠い、浮腫みやすい、やる気が出ない等の心や体の変化を感じていた方もいらっしゃったかと思います。
実は、そのような心や体に起こる冬特有の現象は、私達が春を健やかに過ごす為の必要な準備期間なのです。

春はデトックスの季節

春はデトックスの季節です。
デトックスとは、体の中に溜まっている不要なゴミを外に排出することの意味を持ちます。
冬は春の準備期間であり、溜め込む季節。というお話をしましたが、春は冬に溜め込んだものを全て外へ排出する季節になります。
それを分かりやすく、ここでは春はデトックスの季節と呼んでいます。
東洋医学では、冬は内に溜め込む陰の作用が働き、春は外へ排出する陽の働きが高まります。
その為、冒頭でもお話ししたように春の陽気と共に心や体にも変化が現れ、敏感な方であれば、心が上向きになり、うきうきしたり、人と話したい、体を動かしたい、外へ出たい等といった欲求が高まります。
それは、行動を促すことによって冬に溜め込んだものを排出させる為の心や体の自然な働きなのです。
その為、春は1年の中でも最も体の不調が派手に出てきやすい季節でもあります。

春は肝臓がよく働く季節

東洋医学では春夏秋冬において、各季節に特に良く働く臓腑というのが決まっております。
春は肝臓が良く働く季節です。
肝臓には様々な働きがありますが、最も良く知られている代表的な作用は「解毒」になります。
肝臓の解毒作用とは、体の中の毒素や老廃物を毒性の低い物質に変え、尿や汗として外へ排出する働きですので、正に先程お伝えしたデトックス作用が春は活発になります。

春に起きやすい体の不調・トラブル

春に起こりやすい代表的な体における症状は、
アレルギー、花粉症、アトピーの3つです。
何故かと言いますと、この3つの症状は体の中の汚れ、肝臓と最も深く関係している症状だからです。
これまでに、体の中に溜め込んだゴミが多ければ多いほど、春の肝臓のデトックス作用により上記3つの症状が派手に現れて来ます。
春に決まってこのような症状で悩まれる方は、ご自身の体の中に本来出さなくてはならないゴミの量が多いのだなと考えられると良いです。
(体の中に溜まっているゴミが少なくなると、自然と症状は落ち着ついてきます)
アレルギーやアトピーに関しての記事も書いておりますので、良かったら下記の記事もご参考にされて下さい。
【アレルギーやアトピーは、体の汚れのサイン】
https://note.com/yuri_v33/n/nc319c8df3b3b

また、春に現れやすいその他の症状として、寝違えやぎっくり腰が挙げられます。
今までの私達の冬の体は、自然界の動物達と同様に体を冬眠モードにしながら、あまり行動を起こさないよう過ごして来ました。
冬から春の動き出す季節は、1番初めに骨盤から緩み初めます。
骨盤含めた腰は、体の土台とも言われるぐらい上半身と下半身を繋ぐ体の要です。
普段から体が硬い方は、骨盤周りも硬く、それに伴い体を動かす際に腰を始めとして痛みが出やすい傾向にあります。
そして徐々に肩、背中へと痛みの場所が移動してゆきます。
東洋医学では、肝臓は「筋」とも深く関係しておりますので、寝違いやぎっくり腰などの筋にまつわる症状も現れやすい季節です。

春の体における三代不調を抑えてくれる食材

春に強く現れるアレルギー、花粉症、アトピー症状でお困りの方は、「玉ねぎ」を1日1個を目安に薬代わりに食べて頂けると良いです。
調理の仕方は生でも熱を加えてもお好きな方で宜しいのですが、私の体感や患者さんの様子をみていると、生の方が効き目が良いです。
もし生で食べる場合は、玉ねぎの辛味が残っているままですと胃腸の調子が悪くなりますので、必ず充分に辛味抜きを行ってから食べるようにされて下さい。
この春しっかりと続けられると少しずつ症状が緩和されてゆき、今年はもちろん来年の春に起こる三代症状もぐんと楽になります。

春に起きやすい心の不調・トラブル

東洋医学では春夏秋冬において、各季節によって発生しやすい感情というのが決まっております。
春に発生しやすい感情は怒りです。
春は心も体も外への意識が高まり、デトックスを促す季節である一方で、このデトックス作用が上手くいかない場合は、体は興奮や緊張をし怒りの感情が出やすくなります。
その中でも特に春に見られる心の不調は、イライラ、ヒステリー、情緒不安などの症状が挙げられます。
余談ではありますが、毎年春に変質者が多く現れたり、精神の病が悪化しやすいのは、この春の作用が関係しています。

春の心おける不調・トラブルを抑えてくれる食材

春のイライラ、ヒステリー、情緒不安などの心における不調を整えてくれる味は東洋医学では「酸味」になります。
酸味には肝臓の働きをスムーズにする事により、怒りの感情を抑え、興奮や緊張を緩めてくれる作用があります。
酸味はなるべく自然なものから取り入れられると良いです。
日常で簡単に酸味を取り入れる方法として、ポッカレモンなどのレモン果汁があるととても便利です。料理にはもちろんですが、普段飲まれている
飲み物に入れ小まめに飲んで頂くと良いですよ。

私は毎年春になると塩レモンを作るのですが、
パスタ、豚肉料理や魚料理、唐揚げ、サラダ、ドレッシングと幅広く使えるので、こちらもお勧めです。

春のデトックス力を高める為に出来ること

●23時までには睡眠につく
東洋医学では、24時間の中の2時間を区切りとし、各十二内臓(五臓六腑)が担当する時間帯が決まっております。
肝臓の担当する時間は、午前1時〜午前3時です。
この肝臓の時間帯に眠ると、肝臓は良く休むことができ、デトックス作用がより高まります。
反対に、この時間帯に起きてしまうと、血液に汚れが残り様々な病気になると言われています。

ここまで読まれた方は、デトックス作用を高めるには肝臓の時間の午前1時に眠りにつけば良いのね。と思われるかと思いますが、実は肝臓のデトックス作用を高める為には切っても切り離せない肝臓のサポート役、胆の力が必要です。
胆は肝臓で作られた胆汁を溜め、肝臓の持つ解毒作用(デトックス作用)と協力し老廃物を体外へ排泄する働きをもっています。

胆の担当する時間は、午後23時~午前1時です。
この胆の時間帯に寝ていると胆汁の分泌や排泄が活発になり、肝臓の解毒作用(デトックス作用)が高まる一方で、この時間帯に起きていると、胆が休まらず、胆嚢や肝臓の病気になりやすくなると言われています。

●横になり目を瞑る
東洋医学では目は肝臓と深い関係があり、目を使い過ぎると肝臓は消耗してしまいます。
1日のうち3分でも5分でも良いので横になり目を瞑ることで、肝臓の働きが回復します。
春は特に目の疲れが現れやすいので、デスクワークでの作業が多い方は、意識的に行って頂くと良いです。

●春の旬食材を食べる
春の旬野菜にはキャベツ、新玉ねぎ、新にんじん、アスパラなどが挙げられます。
春野菜には、春の体を手助けする栄養が沢山含まれておりますので、春の間は特にこれらの野菜を沢山食べて頂くことで肝臓の働きが高まります。

●甘味に気を付ける
心が前向きになり、体は行動を起こしたくなる春ですが、外へ外へと意識が向かう事で知らず知らずの内に体が緊張・興奮しやすい季節でもあります。
そうすると私達は無意識に体を一時的に緩ませる
為に、甘味によって心や体をリラックスさせようとします。
しかし、甘味は肝臓のデトックス力を弱め、かえって体の中にゴミを溜めてしまうことの原因となりますので、春は特に気を付けられたい味になります。
また、甘味を多く含む炭水化物やお菓子、ジュースなどには、依存性があり、習慣化してしまうことが多いので注意が必要です。
(甘味が無性に食べたくなるのは、心や体が緊張・興奮しているサインです。)

●運動
現代は様々な運動方法がありますが、私が最もおすすめしている運動は、歩くことです。
歩くことは全身を整える骨盤矯正法であるのと同時に、私達人間が今まで生きてきた中で自然に行われてきた人間の基本的な運動となります。
注意点としては、あまり歩き過ぎてしまうとかえって体力が消耗し疲れてしまいますので、1日3,40分を目安に体が心地良い範囲でお散歩を運動として取り入れられると良いです。
適度な運動は、睡眠の質を高め体のデトックス作用を高めてくれるのはもちろん、心や体に対する緊張感や興奮も沈めてくれます。

●日常に取り入れるストレッチ
春になり興奮、緊張が行き過ぎてしまう場合は適度にリラックスすることも必要です。
リラックスをしようと思いつつも、中々どのように行えば良いのかが分からないという方もいっしゃると思うのですが、1番簡単な方法は体を緩ませるストレッチを行うことです。
ストレッチはシンプルなもので宜しいので、日常的に行い習慣化されてゆくと、自然と体が緩むという状態を覚え、徐々に緊張しづらいリラックスした体の使い方が出来るようになってきます。
過度な緊張や興奮を沈めることは、高振り過ぎた肝臓の働きを抑え、肝臓の働きをスムーズにする作用があります。

以上が春を健やかに過ごす為の東洋医学的な養生法となります。
上記に記載しているこれらは全て肝臓のデトックス力を高め、春に悩まされやすい症状を予防する為の方法になります。
反対にこのような養生法に逆らった過ごし方をされますと心身の不調に繋がりやすいので、気を付けられて下さい。

最後に。

春は植物が芽を出し、虫達や動物達が動き回るように、普段は隠れているけれど実は元々もっている自分自身の弱い症状が表面化してきやすい季節です。
反対に言いますと、自分の体質的に弱いところが明確に分かるチャンスでもあります。
いつも皆さんにお伝えしているように、健やかな体を取り戻すには、今の自分自身の心や体で起こっている原因を知り、対処することが大切です。

春の不調は、そんな自分自身を知るきっかけにもなりますので、決してネガティブに捉えず、前向きに捉えて頂きたいところです。

今まで溜め込んできた不要なものをしっかり出して、すっきりとした気持ちで1年のスタートを切りましょうね。ここまで読んでくださりありがとうございました。良い1日をお過ごしください。

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