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【旅行記】ハンブルグとリウ

8月頭の休日に北ドイツの港町、ハンブルグに行ってきました。
初めて行った場所なのにどこか懐かしく、学校生活を過ごした横浜の街を思い出しました。
今回ハンブルグに行った主な理由は、親友のリウに会いに行くこと。普段は田舎にこもってなかなか街に出てこない彼女と久々に二人きりで過ごした時間でした。

美術館でのあれこれ

ハンブルグにはとても大きく、さまざまな絵画を所蔵しているくKunst Halleという美術館があります。どこかの街に行ったら必ずそこの一番大きい美術館を訪ねることにしている私は、今回も例に漏れず、その美術館を訪れることにしていまた。
芸術家であるリウにその話をすると、自分もぜひついていきたいというので、ハンブルグ到着後、中央駅のすぐ近くにあるその美術館に寄りました。事前に学生割引があるということをリサーチしていた私が、割引価格で入ろうと思う、ということを伝えると、彼女は自分も試してみる、というのです。
彼女がハンブルグに来た理由は、芸術アカデミーの短期コースに通うためだったので、その参加許可メールを見せてみるとのことでした。
彼女は若干不安そうにしていたので、私が聞いてみてもいいと思う、と背中を押したのですが、いざ彼女が受付のおじさまに話し出すと、秒でOK。
私も何も見せずに割引価格でチケットを購入できたのでした。
緩いおじ様を引き当てる豪運と人と直ぐ仲良くなる肝の強さに、これがリウだったと改めて再会の喜びを感じた一幕でした。

美術館は想像以上に大きくて、数時間で回りきれる量ではなかったのですが、夕方に行ってしまったということもあって、かなり時間を巻きながらまわりました。
リウが目が疲れたというので、私たちは併設のカフェで一旦お茶をすることにし、リウはカプチーノを、私はホットチョコレートを飲みました。リウが何かの種の入ったケーキを買っていて、私たちはそれを半分こにして食べました。
議題はもっぱら、私がドイツに残るか残らないか、この先どうするか。
リウは常々私にドイツに残ることを勧めてくるので、今回もドイツが外国人の居住に対して規制を緩めたことなどを教えてくれました。
そして、何かあった時、金銭的に人に頼ることを恐れてはいけない、それが、彼女が今回私に一貫して伝えようとしてくれたことでした。
私はドイツ人の恋人が出来たことを伝え、リウは、自分が今のパートナーとどうやって出会ったのか、どうしてその人を選んだのかを教えてくれました。
人を試すわけではないけれど、自分のやりたいこと、欲しいこと、いざという時に助けてもらわないと私たち外国人はドイツでは簡単に生きていけないこと、具体的な金銭的援助が必要になる場合があること、それをきちんと伝えて、全てを受け入れてくれる人と共にありなさい、ということを繰り返し私に言って聞かせました。
私は日本という恵まれた国で恵まれた家庭に育っていることもあって、彼女ほどドイツ滞在、それこそ人生について深く、重く考えることはないし、できません。何かあれば全て投げ捨てて日本に帰ることができるという選択肢が、私をそこまで真剣にはさせないのです。だから、そういう話を身近でしてくれる彼女の存在が、私にはとても必要なのだと強く思いました。

長い散歩

閉館間際の美術館を出た後は、今回滞在予定のリウの部屋に行くことになりました。彼女曰く、歩いて行ける距離だというのですが、そこに着くまでは実際かなり長い道のりでした。
ただ、広いハンブルグの街並みを堪能できたり、リウが道端でVerschenkenの本を見つけたり、充実した長い散歩となりました。私はその本の中からマークトウェインの旅行記を見つけ、持ち帰りました。リウは英語の勉強をするんだと言って、参考書を選んでいました。
道中もなんだかんだとおしゃべりを続けていて、上海時代の話を色々と聞きました。
その時の恋人は、リウの全てをその場で受け入れてくれなかったこと、だからさよならをして、今のパートナーにであったこと。
今のパートナーはリウを全て受け入れてくれただけでなくて、色々なチャンスを与えてくれる人だということ。特にリウが何かを学ぶチャンスを喜んで与えようとしてくれるということ。今回のハンブルグ遠征も喜んで送り出してくれた、と。
リウが彼に出会えてよかった、心からそう思いました。

Liu’s Spezialität

リウが間借りしている部屋に着くと、二匹の猫がお出迎えしてくれました。
私は猫におやつをあげながら、リウが夕飯にパスタを作ってくれるのを手伝いました。
トマトとバジルのPESTOにししとうとパセリを小鍋で煮込んだら、中華チリソースを最後に入れて完成です。
配膳の時にチーズを乗せて、栄養満点、大満足の一品でした。
食事中の会話はやっと私のターンでした。
電話で何度か話してはいたものの、改めて恋人と知り合った経緯、付き合い始めた流れなどを説明しました。私が彼のどこに魅力を感じているか伝えたものの、リウの反応は厳しく、上手く伝えきれない自分にも少しがっかりしました。
まだ私も自分のパートナー探しに真剣になりきれてない部分があるのは確かです。自覚していませんが、一旦今居心地のいい男で茶を濁しておこうという甘い考えが私の深層心理にあるのを見抜かれたのかも知れません。
リウのお手製パスタと前日に買ったという赤ワインで私がリラックスし始めたころ、大家さんが帰ってきました。
挨拶をすると、どうやら近くの公園で噴水ショーをするという情報を教えてくれたので、少し休憩してからまた出かけることにしました。

ちょっとしょぼい噴水ショー

その噴水ショーは暗くなってから始まるので、日没少し前の9時半頃に部屋を出ました。日本と比べるとまだまだドイツの日は長いですが、少しずつ短くなってきたことを実感します。
公園に着くと、席に座るためにスタンドでビールを買いました。赤ワインを半瓶ほど飲んでいたので、さらに飲む気はあまりなかったのですが、リウが付き合ってほしいというので、お決まりのWeißbierを頼みました。
ショーは音楽に合わせて水圧を変えて上下する水とライトアップというものでしたが、とても小規模で、気づくと人はどんどん減っていました。
私たちはショーが終わった後も席に残って、ビールを空けました。
そこでリウがカフェを開こうと思っているという話を聞きました。
私は結構酔いが回っていたというのもあって、結構単刀直入な意見を言ってしまっていたのですが、結局話はリウは占い師とか、カウンセラー、コンサルタントになるべきだ、ということを私が熱弁して終わりました。リウの話は人を元気にする、話し相手がいなくて暇をしている金持ちの老人相手に、リウが話しをしに行く仕事が一番いい。貴女には、貴女の話にはそれだけの価値がある。そんなようなことを思いつくままに言った気がします。
部屋に着いてシャワーを借りるなり私は爆睡してしまいました。

帰り際、中央駅にて

次の日、リウは授業があったので、私は一人でハンブルグを見て回りました。
私の帰りの電車が来る頃にリウは授業が終わるというので、そのタイミングで駅でまた落ち合いました。
私は肉屋のおじさんにせっつかれながらソーセージを買い、リウが買ったシリア料理の店で一緒に食事をしました。駅付設のフードコートのようなところでしたが、私が一応店員に確認を取っていると、リウは、そんなことしなくていいのよと澄ましていました。
次の休暇の予定などを話して、しばらくはまた会えそうにないけど、共通の友人がいるケルンに遊びに行こう、と言い合いながら、別れの時間がきました。
リウは電車が来た後も、発車するまでホームで見送ってくれて、私は投げキッスをしてお別れをしました。通路を挟んだ隣のおじさんに笑われてしまったのは少し恥ずかしかったです。
ハイデルベルクまでの道中、寂しさが込み上げてきて、何度も涙を拭いました。
夜一人で寝れそうにないと思った私は、深夜なのに電車が遅れているし、疲れていて自宅まで辿り着けそうにないということを言い訳に恋人の部屋に泊まらせてもらいました。リウの言っていた、自分が助けが必要な時にちゃんと受け入れて、助けてくれるのか、という試金石のひとつを試してみたかったと言うのもあったのかもしれません。

翌日、昼過ぎまでぐっすり眠り、近くのパン屋で焼きたてのパンを買い、短くも長い旅を終えました。






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