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「なつきにけらし」で読書

 初夏にやろうよと持ちかけていた「な」「つ」「き」「に」「け」「ら」「し」それぞれの文字から始まる好きな本を挙げる企画やります。秋になっちゃったけど。面白いなと思っていただけたら、あなたも記事に書いてみてください。見にいきます。

 記事のヘッダ画像は「け」枠に入らなかった『源氏物語』です。ランクインしなくてごめんね、紫式部、というか与謝野晶子よ。

なつのひかり

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 この本みたいに小説を書きたいと思い、同時にこの本の真似になってしまったら困る、と思いながら小説を書き始めました。
 雑誌などの印象ですが、江國香織さんにとっては、氏の作品のなかでは評価が低いような気がします。私は大好きなのですけど。確かに鉄板の恋愛よりも、奇妙な筋書きという方が良さそうだけれど。
 単行本を図書室で何度か借りて読んでいて、文庫化したとき、購入出来ると思うと本当に嬉しかった。裏表紙にこう書かれています。

シュールな切なさと、失われた幸福感に満ちた秀作。

 「シュールな切なさと、失われた幸福感」と唇にのせてくるおしく想う。「シュールな切なさと、失われた幸福感」幸福って失ってからが本来なのかも知れない。
 ファンタジーなんていう安い言葉じゃ形容出来ない。

月の男

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 新風舎が倒産してしまったので、現在は販売されていません。架空ストアさんに在庫があるかも。コジマケンさんが以前に描かれた漫画の作品集です。
 コジマケンさんは森博嗣先生の著作の装幀画で知って以来、その魅力にハマっています。細密画と云えばそのジャンルのひとは多々いますが、コジマケンさんは特別。noteのアカウントでも毎日絵を描いていらっしゃるので飛んでみてください。云うなれば知らない野菜と果物のミックスジュースみたいな画風です。云うなれているのかなこれで。或いは終わりなきハロウィンの行列の果てみたい。何を云っているのだろう。
 新風舎から発行されたときに1冊買って、倒産後に不安になって時期をおいて2冊買ったので、3冊持っています。いや、布教用にもう1冊買った気がする。パッション、パッション、パッション、パッション、と無数の妻が出掛けていく頁なんか、ずっと眺めていられますね。

キャンディと王様


 弊社の本です。全3巻、『野球が大好きだった、高校時代、ぜんぶ』の物語。千舟女子高非公式野球部、エースの呼び名は、「キャンディ」、四番の呼び名は「王様」と云って、滅法に野球が巧い。〝野球部は恋愛禁止〟という自らが敷いた戒厳令を破って王様が初恋に落ちてから、流転する野球部……。
 私は野球のことが好きではなくて、なんならアレルギー的にちょっと嫌いでさえあるのですが、なのでルールも殆ど分かりません。

白昼社.bot @Hakuchu_bot
「キャンディと王様」の編集者は野球をほとんど分かってない。だから、野球を全然知らないひとにも楽しんでもらえる作品になってると自信をもって言える。これは「女の子が野球をする小説」ではなく「野球をする女の子の小説」なんだと思う。(にゃんしー・談)

 編集を終え、前田健太が大好きなにゃんしーさんに、マエケンと同じ帽子を買ってあげたり、広島のズームズームスタジアムに何度か連れられていっても、まだあまり分かっていませんが(覚える気が無いので云われても忘れるし、判別基準が察せない)キャンディと王様は、思い出深い本です。分厚いのでなかなか売りにくいのが悲しい。
 表紙は湖ゆり氏がモデルをしていて、舞台である尼崎でロケをしたのも楽しかったですね。今も私とにゃんしー氏は、千舟高校の近く、神崎川周辺で暮らしいてます。

 kindle版もあります。

人間のように泣いたのか

 記憶に新しいような気がしましたが、発行は2018年ですね。キョートが出てくるので、京都育ちとしては面白い。森博嗣Wシリーズです。このシリーズはタイトルが面白くて『彼女は一人で歩くのか?』『私たちは生きているのか?』『風は青海を渡るのか?』『青白く輝く月を見たか?』といった具合です。『ペガサスの解は虚栄か?』という語が好きです。この本に限らず、森先生はタイトルが良いですよね。



ゲーデル、エッシャー、バッハ

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 「け」から始まるタイトルの本を選ぼうとして、鷺沢萌『ケナリも花、サクラも花』にしようとしていたら予想通り被りました。後出しだったので違う本を選ぶことに。『ゲーデル、エッシャー、バッハ〜』は子どもの頃に読んで、幼くて理解はあまりしなかったけれど詩集を読むように読みました。幼い頃はそういう読み方が出来た。子どもの頃、数学的なモティーフが好きななかで、「アキレスと亀」というものにも強く惹かれていたので、アキレスと亀の対話が登場するというだけで、父の本棚から手に取った本でした。今は私の本棚にあります。良い感じに電書化しないものかなあ。

ランゲルハンス島の午後

 村上春樹の短篇のなかでも、そこまでシヴィア過ぎない作品の多い短篇集だった筈。高校生の頃に読んだのでだいぶ忘れました。再読したい。表題作「ランゲルハンス島の午後」が幸福な陽だまりの香りのする素敵な話だった記憶です。
 中学〜高校生だった頃、何のつもりか私は授業中教室の机の上に本を何冊も並べたり積んだりしていて、諦められていたのか黙認されていたのか、本当に7冊くらい常時自席に置いて過ごしていたのですが、小説には基本的に目も暮れなかった数学の先生がきょとんとして「ランゲルハンス島って何か知ってるの?」と私に尋ねてきたのが印象的な一冊。そりゃあ、ランゲルハンス島に午後があるなんて、それはどんな午後よって感じですよね。

白川夜船

 小説家になりたいなと思っていた子どもの頃、初期吉本ばななの本をよく読んでいました。そのなかで好きな一冊。一冊の文庫本に3本の中篇が入っていて、その分量具合が何か良く、もっと云ってしまえば小説家になりたかった当時の私は、この長さなら書けるかも、などと思ったりもしていました(不届きです)。
 文学賞に応募することも考えたとき、最初に送りたかったのは、吉本ばなながデビューした海燕だったのですが、思い立って調べたらもう海燕文学賞は無くなっていました。その後色々調べた結果文学賞を目指して作家デビューしたいという気持ちは無くなり、今に至ります。

 吉本ばななさんの装幀画は原マスミさんの絵の方が有名かも知れませんが、初期の増子由美さんの装幀の本が好きです。最初に読んだのが『アムリタ』だったからかも知れません。やっぱり、好きな本は装幀も好きだと思う。

 以上です。お疲れさまでした。

楽屋裏


 当初にゃんしーさんと、『ケナリも花、サクラも花』が被ったので、『ゲーデル〜』に変えました。『源氏物語』でも良かったのだけど。あと、『解夏』かな、解夏は未読です。

「『ら』、絶対被ったよね?」
「え、なんで? てか『き』被るかと思って外したんだけど」
 という会話を交わした『ら』は『ライ麦畑でつかまえて』で、『き』は『キャッチャー・イン・ザ・ライ』でした。サリンジャ大好きか。

 秋らしい言葉が思い付いたらまたやりたいですね。

参考リンク

にゃんしーさん「なつきにけらし」

「今年もよろしく」で読書

追記
秋になったら「てるやまもみじ」で読書をします。良かったらご参加ください。 #てるやまもみじ

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