子育て綴🌱赤ちゃん返り

双子たちが生まれてすぐからお兄ちゃんはかなりの赤ちゃん返りを起こしたの。「哺乳瓶でミルク飲ませて」とか「毛布でくるんで抱っこして」とか双子たちと並んで可愛さをアッピールした。

3歳半とはいえ新生児と並ぶと大きく滑稽だったけどお兄ちゃんも必死だったのよね。今までママを独り占めしていたのが小猿二匹に構いっきり。おばあちゃんも双子の世話にてんてこまい。なんだかひとりぼっち。「赤ちゃんはここにもおるぞー、みてみてー、僕のこと忘れてなーい？」お兄ちゃんの悲痛な叫びだったのよね。

うーん困ったなぁと思ったものよ。

そこで「ママねぇお兄ちゃんにしかお願い出来ないことがあるんだ」と相談を持ちかけたところ「なになに」と乗ってきた。「双子のお世話なんだけど、赤ちゃんたちの気持ちはお兄ちゃんの方がわかると思うんだ。子ども同士だから」「うんうん、分かるよ！」「ミルクもさーお兄ちゃんと一緒にあげたら早く終わるしお兄ちゃんと遊ぶ時間が増えるし赤ちゃんもたくさん飲むかもしれないと思ってるんだ」「うんうん🎶」「突然泣き出したりするからお兄ちゃんなら気持ち分かるかもだし」「やるよ！お兄ちゃんだから赤ちゃんのお世話するよ！」お兄ちゃんは張り切って言った。

お兄ちゃんの赤ちゃん返りも解消した。ミルクの作り方を覚え甲斐甲斐しく世話を始めた。赤ちゃんに読み聞かせなどもするようになったの。

「折角絵本読んであげているのに反応がない！」というようなことを言ってはこの内容が悪かったのかと絵本をあれこれ吟味し、とうとうオリジナルの絵本まで作った。

二人同時に哺乳瓶🍼を咥えさせるという荒技も編み出した。

おむつを替えたりもしたわよ。さすがにウンチの時は知らせに来ただけだったけど。

優しい素敵なお兄ちゃんでママ嬉しい〜とお兄ちゃんをよしよしと褒めた。3歳でもすごく頼りになった。

お兄ちゃんはどんどんお兄ちゃんらしくなっていった。お気に入りのおもちゃを赤ちゃんたちの前に並べたり、似顔絵を描いてあげたり、絵本を読み聞かせたりとなかなか忙しい。毎日張り切っていたものよ。

そして赤ちゃんの隣で一緒にぐーぐーお昼寝タイム。

「お疲れさん」と寝ているお兄ちゃんにもたくさんよしよししたつもり。

そんな風にお兄ちゃんが頑張っても、なんといっても双子の赤ちゃんのお世話はやることがたくさんある。

赤ちゃん返りはもう起こさなかったけれど、「ママー、遊んでー遊んでー」とそっと隣に来てお願いされたりした時は本当「ごめんね」という感じ。「これからお風呂に入れなきゃ」というとしょんぼりしてひとりでトミカで遊んでいたわ。

それを見ておばあちゃんが言った。

「たまにはママとふたりで遊んでおいで」双子は1日なんとかやっておくからという有り難いお言葉。

お兄ちゃんとふたりでららぽーとへ行き、産院仲間のママと待ち合わせたの。

お兄ちゃんも久しぶりの友達と遊び広場を走り回って喜んでいたわ。

当時ららぽーとには一階のフロアを周遊するミニSLみたいなのがあって「乗る！」というのでその時は「よし、乗っておいで！」とお友達と乗せたの。でも発車してしばらくして気づいたの。

お兄ちゃんはママとふたりで乗りたかったんだって。

ミニSLから顔を出してじっとママを見てるの。手を振ると振り返すのだけど、とても悲しそうだった。

「あぁ大失敗してしまった。ごめんね」と反省したわ。

今でもこの時の悲しそうなお兄ちゃんの顔を思い出すと涙が出そうになるのよ。「なんて酷いママだったかしら」ってね。久しぶりのママと二人っきりのラブタイム、もっともっと二人きりで過ごしてあげたらよかったのに(´；ω；`)本当バカよね。

時を戻せるならお兄ちゃんと一緒にミニSLに乗るわ。

お兄ちゃんは本当に色々手伝ってくれたの。今みたいにショッピングセンターにベビーカーごと入れる大型トイレ個室なども無かったからトイレに行く時にはトイレの前でお兄ちゃんにベビーカーの見張り番をしてもらった。

「変な人が来たら大声出してママに知らせて」って伝えてね。

今ならスロープもあちこちにあるけれど、当時は無くて、ほんの5〜10段程度の階段はいちいちエレベーターに乗るのは面倒くさい。だからベビーカーから赤ちゃんを下ろしてベビーカーを担いで下まで下ろす間、並んでタオルの上でパヤパヤしている赤ちゃんふたりの見張り番もしてもらった。

本当にお兄ちゃんが双子を一緒に育てたという感じなの。

歩き回るようになると双子たちをベビーサークルに入れることもあった。「出して出して」と泣き叫ぶから、赤ちゃんたちを柵から出すとお兄ちゃんに被害が及んだ。レゴを作っては双子たちに壊され続け、トーマスで線路を組んではいたずらされる。お兄ちゃんは「もー、やめてよー」と、とうとう自分がベビーサークルに入り邪魔されないように遊んだりしていたわ。笑

だからお兄ちゃんだけずるい、おやつのクッキーが1枚多い、などと双子たちが不満を言った時には「君たちはお兄ちゃんが育てたようなもの」「お兄ちゃんのおかげでママ助かった」「お兄ちゃんが色々お世話したのよ」「お兄ちゃんは偉い」と折に触れ何度も言ったの。

だから双子の妹たちもお兄ちゃんを認めてお兄ちゃんが特別でも当たり前だと思っている。

お兄ちゃんは偉い、お兄ちゃんは頼りになる、ととても懐いたからお兄ちゃんもそんな妹たちをより可愛がったしお世話もした。

双子の妹たちはお兄ちゃんが大好きでいつもお兄ちゃんにくっついていたわね。お兄ちゃんの真似をして、お兄ちゃんの話しについていこうとしたわ。ベイブレードやポケモンで一緒に遊んだわ。

友達と遊びに行くからとお兄ちゃんが出かけると「連れてってー」と追いかける。お兄ちゃんは巻こうと全力で走るんだけど、置いていかれないように妹たちも必死なので、双子たちはいつの間にか、かなり鍛えられたみたいで走るのがとても速くなったの。笑

お兄ちゃんと妹たちは大学生と高校生になった今も仲が良い。

これはお兄ちゃんが双子たちをお世話したことをちゃんと双子たちに話して聞かせ続けたから。だから今だに双子たちはお兄ちゃんに頭が上がらないのよ。大切にしてくれたことをちゃんと覚えているのね。

理数系のお兄ちゃんは数学が苦手な妹たちに時々解き方を教えたりしている。

「なんでここまで放置した。どこから分からないんだよ」「信じられん、ひょっとしてバカなの？」などとぶつぶつ言いながらも相手をする。

今の兄妹たちの信頼関係はお兄ちゃんが赤ちゃん返りを起こしたことから始まったのよね。

もし赤ちゃん返りもせずに我慢してしまい、ママも気づかなかったらこんな風にはなっていなかったに違いない。双子たちを憎たらしく思って意地悪していたかもしれないわ。

だから赤ちゃん返りはママからしたらかなり困ってしまうのだけど、怒ったりしないで一緒にお手伝いの戦力になってもらうと良いと思うよ。

むしろ赤ちゃん返りをして「さみしいー構ってー」と教えてくれてありがとう、ですよ。

失敗だらけのママだけど、この作戦はわたしの子育ての中でなかなかうまくやったなぁと嬉しくなることなのです。(*´∇｀*)