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会議を開くと、集団のパフォーマンスが低下する

タイトルは、サボタージュマニュアル(後述)から抜粋したものです。

見逃し配信で、BS世界のドキュメンタリー 「なぜ仕事がツライのか “燃え尽き症候群”を生むシステム」を見て、お恥ずかしながら、私はサボタージュマニュアルというものの存在を知りました。
今回はサボタージュマニュアルの書籍も購入したので、その内容の概略と思ったことをまとめます。

サボタージュマニュアルってなに?

本題に入る前に、サボタージュマニュアルについて、解説いたします。
サボタージュマニュアルとは、「一般の人々がちょっとした工夫でできるサボタージュ活動、つまり枢軸国側へのレジスタンス活動のやり方」のことです。

第一次対戦以降の諜報活動やスパイ活動の一つとして作られたマニュアルで、相手国にわざとスパイを送り込み、このサボタージュマニュアルのことをレジスタンス活動としてさせることにより、組織が崩壊することが狙いです。

具体的に言うと、どんな「ちょっとした工夫」をすれば、組織がまわらなくなったり、人々をイライラさせることができるのか、そして、事故や災害、機械の故障や破壊などを起こさせるのか、が書かれています。


なぜ、会議を開くとパフォーマンスが低下する、と言われているのか

では、タイトルの本題に戻ります。会議を開くと、次のような経験はありませんか?

  • 会議では議論より、配布資料の説明する時間が長い。

  • 結局、情報共有で終わってしまい、次に何するかが未決定のまま。

  • 何度か会議をしたが、1ヶ月前の議論に戻ってしまった。

  • 決裁者やレビューアーの言うことが異なり、方向が決まらない。

  • みんなで決めるを重視した結果、意見が割れて決まらないまま。

上記は、私の経験です。会議で皆の意見を聞かずに、一人で行動した方が、もっと結果が良いものが得られたのでは?と思ったことが何度かありました。

上記の例ですと、単純にファシリテートや会議に呼ぶ人が悪いなどの問題もあるかもしれませんが、ここで言いたいのは「みんなで決める」ことは、パフォーマンス向上には寄与しないと言う点です。

もちろん、集団でやった方がパフォーマンス向上ができるものもあると思います。1人よりも5人いた方が早く終わらせるもの、そういうものは集団の方が向いているでしょう。

しかし、さまざまなアイディアを出して、問題を解決するような場合において、5人が1グループになって考えるケースと、5人が1人1人別で考えて、その解答を持ち寄る場合ケースでは、後者の方がより効率的に課題を解決できると言うことがわかっているそうです。

出典:Does Group Participation When Using Brainstorming Facilitate or Inhibit Creative Thinking?(ブレインストーミングを使用する際のグループ参加は、創造的思考を促進または阻害しますか?)

サボタージュマニュアルでは、「会議で開き、議論して決定させよ」を悪としています。


集団のパフォーマンスが低下するメカニズム

ここでは、要因のみ紹介し、気になったところを個人でピックアップします。(取り上げていない詳細を知りたい方は、本を買ってお読みください)

集団のパフォーマンスが低下するメカニズム
(1)社会的手抜きの発生
(2)評価懸念による発言の抑制
(3)沈黙の螺旋
(4)同調
(5)調整損失

P 26

自分が気になったのは、(1)社会的手抜きの発生と、(5)沈黙の螺旋です。
(1)社会的手抜きの発生について言うと、人は集団になると怠けるという点です。私はどんな人にも未知数の可能性があると信じていますが、誰かやってくれる人がいると思うと、人は本来のパフォーマンスを発揮しなくなります。人は楽をしたい生き物なので仕方ないですが、誰かがいることで、自分はここまでで良い、としてしまいがちです。自分しかいない場面だと、しっかり自分で深く考えたりするので、これは私も反省すべきだなと思いました。
なお、社会的手抜きについては、以下の本がよく書かれているようです。

次に(5)沈黙の螺旋について、自分が少数派だと思うと、どんどん意見を言えなくなっちゃうやつです。これは、昔は自信がないのも理由の一つと思っていましたが、今は自信があるときでも言えなくなることが多いです。(まぁ、端的にいうと、面倒臭くなってしまうわけです。自信があっても少数派の時点で、多数派よりもパワフルに意見を言うし、論理的に順序立てて話すようになるのですが、気づいたら一人で熱くなっているし、自分に対する質疑応答だったり説得される場になってしまいます。)


会議を開くとパフォーマンスが上がらないなら、じゃあどうすれば良いの?

個人的な見解としては、集団で議論する前に個人で行動することが大事だと思います。

例えば、

  • 会議で指示をされてから動くのではなく、自分が必要だと思って動くようにする。

  • 情報収集をし続けるのではなく、情報収集をある程度で打ち切って、その時点で結論を出す。

  • 人の意見を頼りにせず、自分がこうしたいという意見や方向性を常に持っておく。

今回は、会議の話だけですが、サボタージュマニュアルにはまだ他にもカテゴリーがありますので、ぜひ内容読んでみていただけると幸いです。


余談:「異なる意見やアイディアが大事だから、会議や議論は必要」という意見に対する私なりの見解

まず、異なる意見やアイディアを大事にするのは素晴らしいと思っています。その場合、私は異なる意見やアイディアを持った理由について着目します。それが誰の目線なのか、どんな観点に基づくものなのか、これによって発想が広がるからです。

ただし、何も持たずただ集まって議論しようは、効率が悪いと思います。一人一人が真剣に考えてから、意見を持ち寄ることが大事だと思います。これは立場によらずだと思っていて、マネージャーだから詳細のアイディアを考えてなくても良いとか、平社員だからコスト目線を持たなくて良いとかは全くないと思います。

さらに、余談ですが、異なる意見やアイディアの理由として、「自分がやりたいから」「自分がやりたくないから」という理由を持っている人は
、少し厄介だったりします。その人は、やりたい/やりたくない結論に持っていくために、さも正論なありとあらゆる意見を言ってきます。その上、「やりたい/やりたくない」という究極の理由を隠すので、その人に付き合う時間の無駄になってしまいます。

この件は、昔読んだアドラー心理学と交えて話をしたいので、その機会に詳細取り上げてみようと思います。


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