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カレーと煮卵と銭湯と。 湯の輪でつながる町の文化。
神田・稲荷湯を拠点にする我々は、「稲荷湯に入る → 街ぶら」が毎度のルーティンとなっている。
神田に限らず、湯の輪らぼのメンバーでどこかに出かけるとなったときも、必ず「そこのエリアに銭湯あるよ」「一応タオル持っていくか」というセリフが見られる。
このように、出かける目的の一つに銭湯が入ると、銭湯そのものももちろんだが、その後の散歩・食事というセットメニューが、我々に新たな出会いをくれることも少なくない。
本日の記事は、そんな銭湯が繋いでくれる素敵な出会いを紹介する。
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(文=たなかい)
実に一年前、稲荷湯の新たな銭湯絵の案を考える時に、我々はカレーを食していた。
そのワケも、「なんか至るお店にカレーと書いてあるのぼりがあるなあ」と思い、神田で一年に一度のカレーの祭典が開かれていることに気づいたからだ。
そうして、我々は神田カレーグランプリ2021のスタンプラリーに参加しているお店に入り、打ち合わせをすることにした。我々湯の輪らぼメンバーは銭湯絵を考える傍ら、「来年は実際にグランプリ会場に行ってみたいね」と呟いていた。
そして時が経つこと一年。神田の、とあるカレー屋さんのお手伝いもしている、稲荷湯三代目(仮)のまもるから、「来週の日曜、カレーグランプリだよ!」とお知らせ。待ちに待った日に、胸が高鳴った。
そして当日。神保町の駿河台下で待ち合わせ、会場の千代田区立小川公園へ。
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まさにお祭りとも言うべき、夢のゲートが待ち構えていた。
さあ入場、と思いきや、そこには長蛇の列が。昼12時に来た我々が遅かったのか、会場にはすでに多くのカレーファンがいた。
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しかしカレーに想いを馳せていたらあっという間に順番が。ついに入場だ。
入り口でパンフレットをもらい、メンバーはそれぞれ行きたい店に目星をつけ、一時解散。カレーを調達した後、テーブルで落ち合うことにした。
私が一食目に選んだのは、普段は神田駅前のアパホテルに店を構える「APRON The Diner」。
看板メニューの「レモンクリームチキンカレー」という文字の並びに、魅せられてしまったのだ。
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調理スペースを見ると、多くのスタッフが忙しそうにカレーを作る。
上に乗っかるタンドリーチキンが鉄板の上で大量に焼かれているのに見惚れ、恐る恐るカメラを構えたら、調理していたお兄さんが「じゃんじゃん撮ってってちょうだい!!」と、ご快諾どころではない反応をしてくれ私は連写した。
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そして湯の輪らぼ当日メンバー、全員集合。
私はレモンクリームチキンカレー、ユウト・ザ・フロントは無水ココナッツ豚バラカレー、しゅんたは海老スープカレー、そしてまもるはバターチキン・キーマカレーのチーズナンといわし・さばフレークがけカレーの二個食い。(もちろんビールの誘惑には勝てなかった。)
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絶品カレーをたいらげ、まだいけるとなったメンバー一行。お互いのカレーを味見した結果、私はユウト・ザ・フロントの食していた無水ココナッツ豚バラカレーに魅せられ、提供する「三月の水」へ。
残念ながら写真はないが、そのくらい一心不乱に食べていたと考えていただきたい。
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そしていよいよ投票。カレー1食につき投票券を1枚もらえるシステムのため、私は2枚の投票券を握り締めた。結局私は投票券2枚を、いただいた2店に投票することにした。平和主義な性格が出てしまう。
結果、無水ココナッツ豚バラカレーを出した「三月の水」が準グランプリとなった!
もちろんグランプリではないことは残念だが、「準」なところが自分が王道ではないちょっとツウな人という気持ちにさせてくれ、悪い気はしない。
ここでこの日は終わったが、どうしてもこのカレーの美味しさを体感してほしく、別の友人と「三月の水」を訪れることに。
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店舗は神保町の靖国通りを一本入ったところにある建物の3F。少し場所が分かりづらかった上、扉にも明確には店名が書いてない。絵を解読し、三…月…水…
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するとそこには受賞ほやほやの賞状が。絶対ここだと確信を持てたところで入店。
店内はテーブルが5つほどのアットホームな雰囲気。マスターが一人で切り盛りされていた。カウンターにはお酒がずらりと並んでおり、夜はバーになるそうだ。
そして壁には、音楽のレジェンドたちの似顔絵がずらり。プリンス、セロニアス・モンク、ビル・エバンス… 顔からアーティストの名前を思い出すのが楽しかった。帰ってから聴いてみよう。
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店内をキョロキョロ見渡しながら待っていると、お待ちかねのカレーが出てきた。他のメニューもあったが、フェスで食べた無水ココナッツ豚バラカレーをもう一度食べたかった。
ハーフサイズで販売していたフェスと違い、店ではフルサイズ。それだけで嬉しかった。
美味しくたいらげ、マスターに「カレーグランプリで食べて美味しすぎて実際に来ちゃいました!」と伝えると、思い浮かべていたバーのマスターとは違い、とても丁寧に「とても嬉しいです。本当にありがとうございます。」とお辞儀とともにお返事された。
小粋な音楽と、絶品カレーと、優しいマスター。これ以上の体験があるかと自分に訊きたいほど、素敵なお店だった。
カレーのことを話しすぎて忘れていたが、全ての始まりは神田の銭湯に入ったことにあった。「すべての道はローマに通づる」ならぬ、「すべての道は銭湯から通づる」というところだろうか。
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(文=ユウト・ザ・フロント)
空の青さがきりっと澄み渡る。
そんな秋晴れの土曜日、正午。
私、ユウト・ザ・フロントは練馬にいた。
というのも、湯の輪らぼでフォトグラファーをつとめている、たなかいがお気に入りの練馬銭湯と周辺地域を紹介してくれるというのだ。
「練馬って、あんまり銭湯のイメージ無かったな......」
そう思いながら、ひとまずは案内人のたなかいに、行き先を委ねる。
・・・🚶🚶♂️・・・
「着いたよ!ほら」
看板を指差すたなかい。
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お!
おお!あれは銭湯のマーク!
いきなり目玉の銭湯行っちゃうのね!
...ん?
...
...いや、よく見たら銭湯のマークじゃない。
...
ラーメンだ!!!!!!
さすが、練馬の案内人こと、フォトグラファーたなかい。
ランチを求める私の胃へのケアも怠らない。
魚介スープの豊かな香りが、店の外まで漂ってくる。
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浅草寺で、線香の煙を浴びるように、スープの湯煙を仰ぎ寄せる。
あゝ、この魚介スチームサウナがあれば、多少の行列なんて苦ではない。
そう思いながら席が空くのを待つ。
・・・十分後・・・
キター!!!!!!!!!
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皆さん、これがこの世で一番綺麗な茶色です。
薄茶煮卵とのコンビが映え映えの映え。
感激しながら麺をすする。
うまい!
お皿は綺麗なのに、ラーメンはしっかり濃厚。しっかりすぎるほど濃厚。
美人プロレスラーのようなギャップ。
美味な練馬スープレックスをモロに食らったあとは、少しばかりの食休み。
・・・🚶🚶♂️・・・
消化を終えて、今度こそ目玉の銭湯へ。
露天風呂の中庭で全裸で雨に打たれたりできるから、雨の日の久松湯もなかなかオススメですよ。 pic.twitter.com/sq9bHMubGo
— 瑛太みたいな髪型にしてください (@sellvidewalker) November 23, 2022
(画像:Tweet埋め込みにて)
ついに到着!
ここが、たなかいイチオシの練馬銭湯「久松湯」!
見た目は非常にスタイリッシュ。
たぶんモダニズム建築(適当)
四角い打ちっぱなし建造物は、モダニズムと言っておけば、だいたい何とかなりません。
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「ゆ」のデザインも非常にシャれている。
この建物の見た目と「ゆ」のデザインから分かるように、久松湯の浴場も、とても洗練された空間だった。
写真をお見せできないのが心苦しいが、ぜひ自分の目と心で確かめてみてほしい、
プロテスタントの教会のような質素さの中に、和を感じるあの心情を。
サウナも80°ほどで、誰でも入りやすい。
居心地が良すぎて、どうやら2時間近く、銭湯に入っていたようだ。
2時間も経った気がしない。
こんなにも、2時間があっという間なら、どうしてタワー・オブ・テラーの待ち時間はあそこまで長く感じるのだろう。
ディズニーに歯向かった恐怖を「オロポ」で飲み込んで、湯を上がった。
※オロポ=オロナミンC+ポカリスエット。サウナドリンクの定番。
・・・🚶🚶♂️・・・
湯上がりといやあ、飲むっきゃないよね?!!?🍺
さて、人格が変わったところで、この日訪れた居酒屋たちを紹介します。
1軒目は「渡來」
あのナイツの塙も訪れる、練馬の名店。
頼んだのは...
カキフライ、白子の天ぷら、ゆずサワー
納豆天ぷら、きゅうりにんにく
練馬居酒屋短歌でした。
ちなみに、カキフライは冬の季語。(怪しい)
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さて、2軒目は「江古田漁師のあぶり家」
中に入ると、騒がしい同窓会が開催中。
それをBGMに、たなかいと再度乾杯。
話が弾む。
箸が進む。
「すみません!追加の注文お願いします!
えーっと、チャーハンと...
野菜の味噌煮。
あと、林檎酒のソーダ割り。
あ、最後に煮卵入りポテトサラダもください。」
そう言い終えた私は、ハッとする。
あっ、煮卵。
そういえば、お昼のラーメンの煮卵も美味しかったなあ。
今日の始まりのラーメン屋と、今日最後の居酒屋が、煮卵の楕円でつながる。
今日、楽しかったなあ。
煮卵数珠つなぎで、一日を振り返る。
そうだ。
思い返してみれば、今日練馬に来たのは、久松湯に入るというただ一つの目的のためだった。
それなのに、美味しいラーメン屋、ユニークな女将の居酒屋「渡來」、店員さんがどこまでも優しい居酒屋「江古田漁師のあぶり家」と出会えた。
これこそが「湯の輪」なのだろう。
銭湯を中心に、いろんな文化と触れ合える。
あゝ なんと素晴らしい。
練馬の湯の輪は、煮卵のような楕円形だった。