【国内発売CDの】マゼール&フランス国立管:オッフェンバック「パリの喜び」ほか【とある第1号】
高校1年生の秋。所属していた文化系サークル(部活)が中国大会の出場権を得て、広島市に行きました。鳥取に帰ってきて帰宅する途中、最寄りのレコード店で買ったレコードです。
のちにCD化もされましたが、実はこのCD、国内発売のCDにおけるあまり名誉とは言えない第1号になっているのです。
マゼール&フランス国立管:オッフェンバック「パリの喜び」ほか
広島市で行われたコンクールについては特に強い思い出はありません。松江北高や崇徳高など、名門と謳われる学校はやっぱりうまいなーと感じたことくらい。うちの高校もかつては名門だったんだけど、私の高校時代はすっかり落ちぶれていました。その後もますます(以下略)
中学校から高校にかけて、私の一番好きな指揮者はロリン・マゼールでした。演奏する曲に思いもよらない「仕掛け」を必ず作る。それが「外連味だ」と嫌う人も大勢いましたが・・・・。
ベルリン・フィルやウィーン・フィルなどの名門オケも信頼を寄せる常連指揮者で、当時は「カラヤンのあとを継ぐのはマゼールか?」などとも言われていました。実際はそうはならなかったのですが・・・・
1980年代初頭、マゼールはクリーヴランド管弦楽団の音楽監督のほかに、フランス国立管弦楽団の首席客演指揮者を務めていました。ただ、レコーディングはほとんどクリーヴランド管弦楽団との録音でした。そのマゼールが、もう一つの手兵であるフランス国立管弦楽団とフランス音楽を指揮して録音したのがこのレコードです。
<曲目>
ジャック・オッフェンバック(マニュエル・ロザンタール編曲):バレエ音楽「パリの喜び」抜粋
カミーユ・サン=サーンス:交響詩「死の舞踏」
ポール・デュカス:交響詩「魔法使いの弟子」
指揮&ヴァイオリン:ロリン・マゼール
フランス国立管弦楽団
フランス国立管弦楽団の響きは、やや線が細いですが、明るく軽やかで色彩的です。重厚なベートーヴェンやブラームスにはちょっと合わないかもしれませんが、フランス音楽を演奏するにはぴったりです。
バレエの内容は、花の都パリを訪れたペルー人が、金に飽かせて遊びまくり、きれいなパリジェンヌに恋をし、デートをし、彼女を巡ってイケメンと決闘をし、しかし決闘に敗れて彼女を奪われ、でもまだトランクの中にはお金がいっぱい。明日もパリの生活を謳歌しよう・・・・という他愛もないもの。
そんなストーリーを、フランス国立管弦楽団の色彩豊かで軽やかな響きが彩ります。最後に流れる有名な「ホフマンの舟歌」は、夕闇迫るパリの街にたたずむペルー人の哀感がにじみ出ています。
録音も、フランス国立管弦楽団の色彩豊かな響きをよくとらえています。ただ、よいのは「パリの喜び」(LP時代のA面)だけです。
「死の舞踏」と「魔法使いの弟子」の「何なの?これ」
2曲目の「死の舞踏」と3曲目の「魔法使いの弟子」は(LP時代のB面)、同じ日に同じ場所で録音されているのに、どうしたわけかまったく録音が悪く、詰まったような鈍重な響きで、色彩感も繊細さもまったくありません。「死の舞踏」ではマゼールがヴァイオリンの腕前も披露しているのですが、録音が悪く台無しです。CD化されても、これは変わりませんでした。
なんの(あまり名誉でない)第1号かというと・・・・
CDが国内で発売されたのは、たしか1983年の冬でした。CD開発を積極的に進めてきたSONYも、松田聖子やビリー・ジョエルの名盤を一気にCD化して市場に放ちました。
クラシックでもレナード・バーンスタインやロリン・マゼール、ズービン・メータたちの最新録音を発売しました。その中にマゼール&フランス国立管の「パリの喜び」も含まれていました。
ところが・・・・翌1984年の夏には、このCDはもうカタログから消えていました。
つまりマゼール&フランス国立管の「パリの喜び」は、国内CDの廃盤第1号なのです。私が勝手に推測しているのではなく、CDが爆発的に普及した1985年のCD雑誌に、「こんなに売れてるCDに廃盤なんてあるの? それがあるのです! マゼール&フランス国立管の(以下略)」と不名誉な紹介をされていました。
たしかにこのCDをネットオークションで探してもなかなか見つからず、やっとのことで見つけたのが画像のCDです。
ちなみに同じ雑誌で「こんなに優秀な機能のCDに、録音の悪いCDなんてあるの? それがあるのです! それはマゼール&クリーヴランド管のベートーヴェンの第9 聴いてみればこれは分かる! 固いヴァイオリンの音色。フラフラと定まらない左右の低位。奥行き感がまったくないままに直線上に並ぶ弦楽器・管楽器・打楽器。 録音の悪いCDは文句なしにこれ!」と、マゼールの第9はここでも酷評されていました。
まあ、この頃にはすでに、私はイヤな批評は無視したり鼻で笑ったりする図太さ、図々しさ、憎々しさを身に付けていたので何とも思いませんでしたが。
でも、私の天邪鬼&「いちがいぼっけ(鳥取弁で”頑固者”の意味)」な性格に拍車がかかってしまったのは否めないかも・・・・
次回予告 鳥取市の旧丸山火葬場の新しい事実
次の鳥取訪問に向けて隠れキリシタン関係の資料を読んでいて、旧丸山火葬場に関する新事実を見つけました。
その報告をいたします。